イラン5,000年の宝物、ロンドンで展示 写真
2021年05月28日付 Hamshahri 紙


 5,000年前から現代までのイランの宝物300点がロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館において展示されているが、どのような作品が外国の歴史家やメディアの注目の的となっているのだろうか?

【ハムシャフリー電子版】イスナー通信によると、5月29日[イラン暦ホルダード月8日]から3か月間にわたってロンドンで開催される本展『壮大なるイラン(Epic Iran)』は初日チケットが完売しており、5200年前から近現代期までにわたる300点以上が出品されている。また、この展覧会は開展以来多くの西洋メディアの注目を浴びている。ヴィクトリア&アルバート博物館の関係者によると、このような展覧会は90年ぶりとのことだ。

 多くのメディアの注目も集めているこの展覧会の特殊なセクションはイスファハーンのシェイフ・ロトフォッラー・モスクの建築の一部を再現したものであり、光や太陽の回転に付随するモスクのタイルの色彩の変化を示している。



 5200年前のエラム(イーラーム)、カーシャーンのスィヤルク、アラッタ(ジーロフト)の各文明の出土品と古代イランのコレクションを展示する「イラン文明の出現」がこの誉ある歴史見学の出発点だ。紀元前1200年から紀元前800年の雄牛の形をした陶器の壺、立体的なガゼルの彫刻が施された同時代の黄金の鉢と、黄金、ラピスラズリやその他の貴重な素材からなる彫刻は全て個人のコレクションや、ルーブル、大英博物館など他の博物館から借り受けたものである。



 幾度の売買、盗難を経て最終的にヴィクトリア&アルバート博物館の手に渡った紀元前500年から紀元前330年の黄金のブレスレット。

 『壮大なるイラン』では、アケメネス朝を主としたペルシア帝国に焦点を置いた別のセクションがあり、そこには黄金の戦車、王や兵士たちの像やレリーフ、金や銀のリュトンや杯が展示されている。キュロス大王の人権憲章もまた大英博物館から借り受けたものであり、傑出した作品として紹介されている。ガーディアン紙はこの壮大な時代を「ペルシア帝国は壮大で壮麗な儀礼的なあり方を見せつけた」と解説した後にケンブリッジのフィッツウィリアム博物館から貸与されたレリーフを詳しく記述し、当時の文化芸術の優雅さを説明した。また同紙は続けて読者に向けてペルシア帝国は外国人の目にどのように写ったのか、アレクサンドロス大王が帝国に対して何をしたのかを知るためには古代ギリシアの歴史家、ヘロドトスの歴史を読むように提案している。



 キュロス大王の憲章は大英博物館に保管されており、『壮大なるイラン』における展示のためにヴィクトリア&アルバート博物館に貸し出された。

 [宗教の転換]はこの展覧会の別のセクションであり、イランのイスラーム期における作品を扱っている。その中で最も重要な文書は『シャー・ナーメ』であり、諸王列伝であるこの文書は西暦11世紀初めにフェルドウスィーによって作詩されたと考えられている。本展では『シャー・ナーメ』の美しい写本も展示されており、そのなかにはサファヴィー朝期の画家の傑作も含まれている。

 

 タフマースプの「シャー・ナーメ』。サーリーハーニーコレクションからの借り受け。

 一方で、この展覧会はイランの近現代芸術にも多くのスペースを費やしており、様々な芸術流派も紹介されている。またその作品の内半分はイランの女性アーティストによるものである。



 マスウード・アラブシャーヒーによる『フォルーハル』は『壮大なるイラン』の近現代セクションに展示された。



 この青銅製の素晴らしい鋳物は中期エラム時代(紀元前1500年から紀元前1100年)にまでさかのぼる。台座の上に立つ夫婦は豪華な衣服を着ており、王と王妃であると推測される。彼らのたたずまいから、礼拝の姿を表したものであると考えられる。この小さな彫像はおそらくフランスの調査隊がスーサで発掘したもので、現在展覧会のためにサーリーハーニーコレクションから出品されている。


 
 この黄金のベルトの断片は鹿とライオンの頭が型押しされており、紀元前7世紀にまでさかのぼることが出来る。この黄金のベルトは1947年にコルデスターンのズィーヴィーエ地方において村人により青銅製の棺から発見され、後に散逸しその内の14個の破片が世界中の博物館に保管されていると報告されている。このベルトの破片の1つはイラン国立博物館に所蔵されている。ベルトの後ろの穴はこれが革に縫い付けられていたであろうことを示唆している。壮大なるイラン展に出品された断片はサーリーハーニーコレクションから貸与されたものである。



 この銀の皿(西暦500年から750年)はササン朝がイランを支配していた時代のもの。一羽のキジの周りに光輪があり、首飾りが首から下がっている。これはその時代の王を象徴するものである。



 ペルシア詩の記された瓶と鉢。西暦1180年から1220年に制作されたもので、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館に所蔵されている。


今回の展覧会のためにサーリーハーニーコレクションから出展された、西暦 439年から457年ごろに制作された王の胸像。



 17世紀の天球儀。天空に観測される星座がこの球面に刻まれている。この球体は当時の天体観測機器であり、特に王政期には占星術のために用いられた。



 ペルシア語の詩とともに、馬に乗った猟師と豪華な服を着て立っている若者が描かれている西暦17世紀の写本。頁面の周囲にはサアディ―の詩が書かれている。この写本もロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館に所蔵されている。



 エスマーイール・ジャラーイールによる絵画『サモワールの周りの女性』(1850~75)。ナーセロッディン・シャーの時代のハーレムの女性と予想されるが、おそらくこの絵画は写真を見て描かれたものである。この作品もまた、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館に収蔵されている。



 カーシャーンの男性用ロープ、アバー。西暦1877年以前のもので、ヴィクトリア&アルバート博物館に所蔵されている。

 この展覧会は9月12日(イラン暦6月)までロンドンで開催される。

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( 翻訳者:NA )
( 記事ID:51181 )