気候変動:ボアズィチ大学で、気候変動に耐えられる「ハイバーネーション植物」のための事業がスタート
2021年05月25日付 その他 紙


ボアズィチ大学分子バイオロジーと遺伝学部のスティーヴン・フティット氏とそのメンバーは気候変動に対応できる「ハイバーネーション植物」が生産されるために必要な遺伝的な各種の研究を開始した。ボアズィチ大学科学調査財団(BAP)によって支援がなされていて、二年間続く予定のプロジェクトによって、気候変動が、植物が種子で発芽するのを防ぐ休眠状態にどのような影響を与えたのかということが、明らかにされる予定である。フーティー氏によれば、このようにして、ハイバーネーション植物が生産されることに大きな貢献がもたらされながら、トルコにおける農業と農作物の安全性の問題において重要な一歩となる。

ボアズィチ大学においては、気候変動が農作物の安全性への諸影響に関して数多くの調査が続いている。このうちの一つがボアズィチ大学バイオロジー・遺伝学部の博士助手スティーヴン・フティット氏とメンバーのプロジェクトである。植物の種子における休眠状態を遺伝子研究によって理解をしながら、気候変動に対して適用することのできる「ハイバーネーション植物」の生産事業の展望をひらくことを目的としている。組織的通信オフィスの各種の質問に返答をした調査メンバーリーダーのフーティット氏は、各種の種においては、休眠状態を減らす各遺伝に集中しながら、植物が気候変動に対してさらに簡単に適用することができるようになると語っていてそしてまた付け加えている。「この研究プロジェクトによって、トルコにおいて持続可能な農業と農作物の安全性のために必要性を感じられている気候の観点から、ハイバーネーション植物が生産されることに大きな貢献をもたらしたいと思っています。

■「異常な暑さは、発芽を防いでいる」

世界中で、様々な国々における仕事ののちに2019年にボアズィチ大学にやってきたスティーヴン・フティット氏は、気候変動と結びつく形で、異常な暑さが、種子を第二の休眠状態へともたらしながら、発芽を阻害する可能性があったと述べている。これは実際のところ、生き残るための戦略であると述べる科学者は、トルコにおける農作物の信頼性を脅かすことになりかねないこのプロセスを以下のように説明している。

「植物は、異常な暑さのようなストレス下の状況に対して、生き残るために様々な戦略を発展させるのです。なぜならば、自然選択は、植物がこのような類の困難な諸条件に耐えることもしくはこれらから逃れることの助けとなるメカニズムをもたらしたのです。このような振舞いの一つが、数多くの植物がその種子において実現する休眠状態(ドーマンスィ)によって、植物が成長をすることを止めることです。それぞれの種子が、母体組織からまき散らされたのちに触発される睡眠状態です。「適当な水、光そして熱の諸条件下であったとしても発芽を阻害し続け得ます。種子が、発芽するのを可能にする環境的な諸要素に対し反応するようになるまでに、この休眠状態が減る必要があるのです。しかしながら、種子がまき散らされたのちに、異常な暑さのような発芽を阻害するような発芽を阻害する諸条件が続いた場合には、さらにも深い第二の休眠状態が出現します。この形で種子は、適当な諸条件がつくりあげられるまでその土地で何年間かにわたって生き続けることができるのです。これは、実際のところ、大部分は野草たちが生き残るために使用される保身の戦略です。この戦略は、異なる植物の植生が適応する諸環境と結びついているものであるため、各種の間で相違を示します。」

■「種子が発芽するのを防ぐ遺伝子が地図化される」

スティーヴン・フティット氏とメンバーは高度な遺伝的な多様性を有している『シロイヌナズナ』植物においておこなう予定の遺伝子の地図化作業によって、種子におけるこの睡眠状態のメカニズムを解明することを目的としている。これが気候変動に耐性のある「スマート植物」が育まれるために大きな貢献をもたらすだろうということを強調した科学者は、「プロジェクトの一環として『シロイヌナズナ科』を使用する予定です。この植物は平均で、30-40日間の寿命で、第五の染色体上に約25集団の小さなゲノム構造を持っています。白いナズナ科は遺伝的な多様さのレベルが高く、そしてこれもまた、異なる環境タイプにおける気候への適応によって生まれる変異種が発見されるのを簡易化するのです。私とメンバーは、異常な暑さのような第二の休眠状態の理由として、種子の発芽を妨害するプロセスを修正する役割を担う、気候に適応した遺伝子を地図化する予定です。これもまた、私たちに将来における気候変動に適応する植物が育まれるために大きな貢献をもたらすことになるしょう。これは、トルコにおいて農業と農作物の信頼性のためにも非常に重要な一歩です。」と語っている。

■「北キャンパスに186の植物のための新たな栽培室が作られた」

ボアズィチ大学において、植物栽培、収穫、また分子生物学と遺伝学的な諸研究を包括することのできる集中的な実験室の作業を実行する予定です。メンバーは、各調査のために遺伝的に異なる186の異種遺伝子型の植物を栽培します。そしてこのために北キャンパスに新たに作られた植物栽培室を使用するのです。この部屋では調査プロジェクトのために特別なシステムが作られたと述べるフーティット氏は、施設に関して「植物を育てることを最適化することのできる日々の自然な暑さそして光周期を模すことのできる光学システムが存在します。ここにおける光学システムは、カーボンフットプリントを減少させる形でただ植物を成長させるためだけに設計がなされた低エネルギーLEDから構成されています。」という情報もまた伝えている。

■「私たちの調査プロジェクトは、二年間にわたって比較するものとして続く予定」

二年間継続する予定として計画されているプロジェクトは、最終的に明らかになるデータ、また比較対象として分析がされる植物の動きのうち、どれが気候変動に対してさらに良い答えをもたらしえたのか、ということを明らかにする予定である。科学者たちは、トルコが豊かな自然の植物相を持っていて、このために植物が気候変動に対しての反応に関し手にすることが出来るだけの情報を、遺伝的な植物の多様性を守るという名目で重要になるであろうと強調をしている。またこのプロジェクトからは、手にすることの出来る各データと共に、二度目の休眠状態を縮小させながら、農業的な観点から植物において更に早い植生をもたらすことの出来るエリート種の生産に使用する事の出来る遺伝子が突き止められる予定だ。

■スティーヴン・フティット博士とは誰なのか?

スティーヴン・フティット博士は、何年間にも渡って様々な種子における睡眠の状態に関しての分子と環境生理学の事業を進めている。ノース・イースト・ロンドン・ポリテクニックの卒業であるフティト博士は、未だ学部生の時代にインターンシップとして王立植物園キューガーデンにてキャリアをスタートさせた。更にのちにドクターを得るためにアメリカにあるルイジアナ州立大学においてコメの種子における休眠についての研究をおこなった。ドクターの後にエディンバラ大学、スウェーデン農業科学大学、ウプサラ、世界で最も古い農業研究機関のうちのひとつであるロザムステッド試験場大学をはじめとして、いくつもの大学においてドクターののちに科学者として職務についた。ウォーリック大学において、ビル・フィンチーサヴェージ教授とともに共同で進めた事業において、土壌の種子が環境的な様々なシグナルに対してどのような反応を与えるのかということを更によく理解するために実行された休眠状態について様々な分子的な環境生理学の事業を率先した。科学者は、2019年にボアズィチ大学の分子バイオロジーと遺伝学部のスタッフとして参加をした。

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( 翻訳者:堀谷加佳留 )
( 記事ID:51464 )