セニョーラ首相がナスルッラー書記長に反論 反対派勢力の座り込みはいつまで続くのか(アル・ナハール紙)

2006年12月09日付 Al-Nahar 紙
■ 「抵抗運動の武器を押収せよとの首相命令」は受けていないと国軍司令部が否定
■ セニョーラ首相がナスルッラー書記長に断固反論:「クーデターを起こすと脅しているが、我々は危機を乗り越えるであろう」
■ カッバーニー師が政府打倒を「レッド・ライン」と表現、スファイル総大司教は国内に飢えが蔓延する可能性を警告

2006年12月09日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 フアード・アル=セニョーラ首相は、穏やかに、しかし断固としてヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長の激しい演説に反論した。またナスルッラー書記長の演説に対してレバノン共和国のムフティーであるムハンマド・ラシード・カッバーニー師も、「全力で」セニョーラ首相を支持すると宣言するに至った。カッバーニー師は、首相と内閣の打倒は「決して越えることを許されないレッド・ラインであり、全ての人々は憲法に則った国家機構に依拠するべきである」と述べている。

 今日問われるのは、ヒズブッラーがいつまで街頭での座り込みを続けるのかということである。セニョーラ首相とその内閣に対して国内外から支援が相次いで表明されているため、座り込みの今後の展望が行き詰まることは目に見え始めている。

 多数派勢力側では、「ナスルッラーは激しい演説によって街頭行動の第二段階を開始し、早期の国会選挙実施と、他の勢力を遠ざけた次期政権の樹立を目標にしていることを明確にした。ヒズブッラーは協議を破綻させるために街頭行動の実行を決めたが、今回は政権交代まで街頭行動を続けることを決めた」と見ており、政府の反対派勢力への対決姿勢は今後も政治的なものであり続けるだろうと強調し、「ヒズブッラーが自身のメディアで喧伝しているような市民の暴動、公共機関の業務妨害、主要道路の分断にまで至れば、それ相応の報復措置がとられることになるだろう」と述べている。

■ 首相府

 首相府では昨日、セニョーラ政権を支持する派遣団がさらに多く訪れた。セニョーラ首相は、ナスルッラーが「クーデターを実行しようとしているか、あるいはクーデターを起こすと脅している」「ナスルッラーの言い方は脅迫同然であり、レバノン人の間に亀裂を生じさせる」と非難した。首相は、「(危機は)終結し、我々は危機を乗り越えて、国軍が望んでいるような未来へと進むであろう」と述べた。

 国軍司令部もナスルッラーに反論し、声明の中で「国軍司令部は、レバノン南部に運び込まれる抵抗運動の武器を押収せよとの首相命令を受けていない」と強調した。国軍がそうした首相命令を受けた、とナスルッラー書記長は一昨日の演説で述べていた。

 ヒズブッラーは、国軍の声明に対して「国軍司令部がセニョーラ首相と、真実を述べることとの間で板挟みになっていることは理解できる」とのコメントを発表し、「司令部の言葉の半分が真実で残り半分は隠されているゆえに」ヒズブッラーは不正な扱いを受けることになったと述べた。

■ ビキルキー[※マロン派教会総大司教座]

 ヒズブッラーに属する「抵抗運動への忠誠ブロック」の派遣団は昨日ビキルキーを訪れた。同派遣団の代表であるムハンマド・ラアド議員は、マロン派教会のナスルッラー・ブトゥルス・スファイル総大司教にハサン・ナスルッラー書記長からの挨拶を伝え、「マロン派教会の前提条件」という文書に対するヒズブッラーの立場を説明した。

 本紙が得た情報によればラアド議員は、マロン派教会文書の中には「新しい項目と議論を必要とする項目」があると指摘した。ラアド議員に対してスファイル総大司教は、「当教会の前提条件に示されている一連のプロセスが必ずしもそのまま日程となる必要はない。私はできる限り早く解決に至ることを希望している。なぜなら街頭に留まっても成果は保証されていないし、事態がコントロールできる範囲を逸脱してしまう可能性がある」と述べた。また総大司教は、「飢えが蔓延する兆候が明らかになり始めている。今後の希望も少なく、現在の難しい状況から抜け出すことが皆の利益となる」と注意を促した。

 「抵抗運動への忠誠ブロック」の派遣団は、優先事項は挙国一致内閣の樹立、大統領の交代、国際法廷という順序であるべきだと提案した。総大司教は、ヒズブッラーがマロン派の前提条件に書面で同意することを求めた。また総大司教は、会談に参加した総大司教代理であるサミール・マズルーム大司教とハーリス・シハーブ氏にヒズブッラーとの対話の継続を委任した。

 会談の直後、ラアド議員は「街頭行動の停止は、政治的解決によって行われる」と述べた。

(中略)

■ 座り込み

 昨日で8日目に入った反対派勢力による座り込みで注目されたのは、現場で行われた金曜礼拝において、「イスラーム行動戦線」のリーダーである宣教者ファトヒー・ヤカン氏が、「2月14日勢力の手と魂は、レバノン人の血で滴るほど染まっている」と糾弾したことであった。



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翻訳者:森本詩子
記事ID:4135