ムーサー事務局長、今日アサド大統領と会談

2007年02月12日付 Al-Nahar 紙
■ ムーサー事務局長、今日アサド大統領と会談 イスラーム諸宗派の指導者が明日ハリーリー元首相の墓を訪問
■ 多数派勢力、鎮静化の中で集会へ大衆を動員
■ ビッリー国会議長、「解決策」の発表よりも前にその「成熟」に向けて努力

2007年02月12日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 殉教者広場で水曜日に行われるラフィーク・アル=ハリーリー元首相暗殺2周年記念集会にむけて、ベイルート中心街の多数派・反対派両勢力の集会場の間でいかなる軋轢や挑発も起きぬよう、今日から明日にかけて組織面および治安面での準備が進められる。

 この機会ゆえに危機にある両勢力の政治的休戦状態が余儀なくされ、ハリーリー元首相に対するすべての勢力の好意的な立場によってこの休戦状態が強化されているわけだが、反対派が座り込みを行っている広場と3・14勢力が再び集う予定である殉教者広場とを隔離するためにここ数日にわたって国軍がとっている一連の措置は、2月14日を平和に過ごすための分離壁を形成するであろう。この措置は3・14勢力の支持者たちの通行のために特定の道路を開放し、その他の道路を封鎖するというものであり、当事者たる諸政党や勢力はその支持者らに、この措置を厳守するよう呼びかけた。

 現在行われている準備は、3・14勢力側がハリーリー元首相暗殺記念日に2つの主要なメッセージを発する方針であることを反映している。その1つ目は記念集会に多くの参加者が集まることを通してのメッセージであり、2つ目は数時間以内に決定されることになっている4人の演説者が表明する政治的な立場を通してのメッセージである。

 3・14勢力の有力指導者筋が本紙に明らかにしたところによると、2つのメッセージにおいては、主権と独立のための闘いを完遂する方針、国際的な性格を有する法廷の設置が不可避であること、議員選挙の結果を無視して憲政機構の機能を阻害することへの拒否といった同勢力にとっての前提条件を堅持する姿勢が確認されるという。

 そうしたなか、ヒズブッラーとアマルの共同使節団が先週の土曜日からテヘランを訪れており、これはレバノンの危機を打開するためのサウジアラビアとイランの努力が進んでいることを反映する動きであると見られる。

 それと同時に、アラブ連盟のアムル・ムーサー事務局長が昨年末に提示した解決案が実現に向けて前進する可能性があるとの楽観的な見通しが伝えられており、ムーサー事務局長は本日シリアのバッシャール・アル=アサド大統領とこの解決案について協議する予定である。ムーサー事務局長は昨夜ダマスカスに到着した。

 しかし解決の見通しに関する情報は未だ曖昧で矛盾しており、その証拠にレバノンの危機の当事者である両勢力は、この見通しについて同一の見解を示してはいない。

 この一連の流れの中で土曜日の夕方、ナビーフ・ビッリー国会議長と「ムスタクバル潮流」のサアド・アル=ハリーリー代表の間で新たな連絡協議が行われたと伝えられている。アイン・アル=ティーナ[※ビッリー議長邸の所在地]を訪問した人々は昨日、「解決に向けて何かが進められているが、ビッリー議長はそれを成功させるために詳細には言及しないことを望んでいる」との印象を持って議長邸を出た。訪問者らによるとビッリー議長は、「我々は解決策を成熟させてからそれを発表することを望んでいる。なぜなら毎回成熟する前に解決策に対して横槍が入り、反故にされてきたからだ」と述べた。またビッリー議長は、「それにこの件はかなり先の段階まで早くも達している」として楽観的な見通しを伝えた。

 情報によると、多数派と反対派による2つの委員会の設立に関して協議が行われているという。1つ目は法律委員会で、特にヒズブッラー、アマル、ムスタクバル潮流の代表者を含み、国際法廷の設置規定について議論するものである。2つ目は政治委員会で、政府拡大問題について協議する。この情報によれば、2つの委員会に関する「原則的な相互理解」が今月末までに実現する可能性があるとの前向きな見通しが生まれているとのことである。

 またビッリー議長は昨日、イスラーム・シーア派最高評議会のアブドゥルアミール・カバラーン副議長に対して明日、暗殺2周年記念日の前日にハリーリー元首相の墓をウラマーたちの代表団とともに訪問するよう願った。カバラーン師は議長に対し、明日、レバノン共和国ムフティーであるムハンマド・ラシード・カッバーニー師とドルーズ派指導者ナイーム・ハサン師とともに、クルアーンの開扉の章を読むためハリーリー元首相の墓に向かう予定であると伝えた。

(中略)

■ ムーサー事務局長

 一方ダマスカスでは、本紙のシャアバーン・アッブード特派員が伝えるところによると、昨夜シリアのワリード・アル=ムアッリム外相と会談したアラブ連盟のムーサー事務局長は今日、アサド大統領およびファールーク・アル=シャルウ副大統領をはじめとするシリア政府高官らと協議を行う予定である。

 ムーサー事務局長はダマスカスに到着した後に、「アサド大統領と会談して、中東地域とアラブ世界の現状について、とりわけシリアの同胞諸君と議論をしないわけにはいかない一連の諸問題について話し合う予定だ。アラブ連盟の努力は今なお継続中で進展しつつあり、レバノンで現在起こっている危機に対処するため、複数の側面から連盟の努力のあり方について議論していく。アラブ連盟、サウジアラビア、エジプト、シリア、レバノンの諸勢力ならびにレバノンの現状に関心を抱いている全ての勢力の間で調整が行われている」との声明を発表した。

 そして「レバノンの危機が近いうちに解消される」よう希望を表明し、明日ではなく近日中にレバノンを訪問する予定であることを明らかにした。

 さらにシリアの消息筋が述べたところによると、ムーサー事務局長のシリア高官との協議においては、「レバノン問題の政治的解決に向けたアラブ連盟事務局長の努力について話し合われるであろう」とのことである。

 ムーサー事務局長による今回のダマスカス訪問は、ハリーリー元首相の暗殺2周年記念日の2日前であり、レバノン問題を解決するためにサウジアラビアとイランがシリアとの協議なしに合意に達し提案を行うと報じられた直後であるために特に重要である。この動きについてある観測筋は否定しており、「いかなる動きも実際に成功するためには、レバノンから発せられ、一部の集団や勢力だけでなくレバノン人全員が合意しなければならない」と述べた。

(後略)


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翻訳者:新谷美央
記事ID:10204