レバノン大統領がサウジ訪問、ジャアジャア氏はエジプト、アウン氏はイランへ

2008年10月14日付 Al-Nahar 紙
■ スレイマーン・レバノン大統領、対サウジアラビア非難の悪影響を解消
■ ミシェル・アウン氏、アフマディーネジャード・イラン大統領と会談
■ サミール・ジャアジャア氏、ムバーラク・エジプト大統領と今日会談

2008年10月14日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 アブダ、タッル、バフサースでの爆破を実行したとされるテロリスト細胞を国軍および治安部隊が摘発したことについて、政界が稀に見る一致した賞賛の態度を示すなかで、レバノンのミシェル・スレイマーン大統領は昨日、サウジアラビア王国への訪問を終えた。今回の訪問によって、このところサウジアラビアに対して向けられていた政界からの非難の後遺症は解消され、「特別で温和な」両国間関係の正当性が確立されたもようだ。

 これに関連して消息筋は本紙に対し、スレイマーン大統領とアブドゥッラー・ブン・アブドゥルアズィーズ・サウジアラビア国王の会談は注目すべき熱烈さをもって行われたと述べた。スレイマーン大統領は昨日、ジェッダにおけるサウジアラビアのビジネスマンや現地在住レバノン人らとの会談で、レバノンおよびサウジアラビア在住レバノン人に対する「(サウジアラビア)王国からの恩義」について、躊躇することなく重ねて発言した。それらの発言には、サウジアラビアに対するレバノン国家の政策には何ら穿った解釈の余地はないとのメッセージが込められていたという。

 同筋によると、スレイマーン大統領とアブドゥッラー国王の会談では、経済および開発分野について詳細な協議が行われた。例えばスレイマーン大統領は、ザフラーニー浄水場を再稼動の可能性について話を持ちかけ、アブドゥッラー国王は出来る事を検討すると約束した。

 またスレイマーン大統領はサウジ国王に対して、レバノン北部での社会事業支援によって青年の雇用機会を創出し、一部地域での治安悪化に対処する可能性について提起を行い、国王はレバノン駐在のアブドゥルアズィーズ・ハウジャ・サウジアラビア大使とこの件に関して真剣にフォローアップを行うと約束した。また双方はハウジャ大使の努力を称賛し、スレイマーン大統領は同大使をサウジアラビアにおけるレバノンの大使でもあると評した。アブドゥッラー国王は、ハウジャ大使の果たしている役割について称賛した。

 アラブ諸国間関係とそのレバノンへの影響については、サウジアラビアのサウード・アル=ファイサル外相がスレイマーン大統領との会談の中で「サウジアラビアの一部諸国との問題はレバノンが原因だが、レバノンが安定すればサウジアラビアはどの国とも問題がなくなる」と発言し注目された。これに対してスレイマーン大統領は、「アラブの連帯を強化し、アラブ諸国に好影響が生まれるよう、適切な時期に適切な役割を担う」用意があると返答した。

 スレイマーン大統領はジェッダでサウジ在住レバノン人らと会談を行った際、「最も著名な在住レバノン人の1人であった殉教者ラフィーク・アル=ハリーリー元首相は祖国のために尽くし、そのためにアラブ中東地域および世界各国での人脈を活用したが、ついには暗殺の魔の手によって斃れた」と言及した。また、「サウジアラビアがレバノン国内平和へのプロセスを支援し、様々な方法でレバノンに援助の手を差し伸べたこと」を称賛し、「この良き国の恩義は、レバノンの様々な立場や勢力に属する人々や集団に及んでいる」と述べた。

■ ジャアジャア氏、カイロへ

 その他の政治の動きに関して言えば、観測筋の注目を集めたのは昨夜、「レバノン軍団」党のサミール・ジャアジャア執行委員長が事前の予告なしにカイロに到着したことだ。この訪問によって、マロン派各勢力の指導者同士の競合の場は中東アラブ地域レベルに拡大されたことになる。時を同じくしてミシェル・アウン中将が、日曜日に到着した訪問先のテヘランでイラン政府高官らとの会談を開始したのである。

 情報によるとジャアジャア氏は数日間に及ぶ公式訪問のため昨夜、ベイルートからカイロに出発した。訪問にはアントワーン・ザフラー議員、ジョー・サルキース元観光相と「レバノン軍団」の外交関係責任者であるジョゼフ・ニアマ氏が同行している。ジャアジャア氏は今日エジプトのホスニー・ムバーラク大統領、アフマド・アブルゲイト外相、アラブ連盟のアムル・ムーサー事務局長その他の高官らと会談する予定である。

■ アウン氏、テヘランへ

 アウン議員はテヘランで昨日、イランのマヌーチェフル・モッタキー外相との会合の後、マフムード・アフマディーネジャード大統領と会談した。テヘランからの情報によると、アウン氏とイラン大統領の会談と時を同じくして、コフィ・アナン国連前事務総長も偶然、イラン大統領を訪問するためテヘランに滞在中であった。これに関してアウン氏は、「会談は、レバノンとイランおよび地域各国の相互の信頼と理解に努める立場を確認するために行われた」と述べた。

 イランのファールス通信によればイラン大統領はアウン氏を迎えた後、「レバノンの独立と安定はシオニスト体制のあらゆる企てを挫くことになろう。アメリカ合衆国とシオニスト体制は崩壊寸前であり、もはや中東地域に両者の居場所はない」と述べた。

 アウン氏はモッタキー外相との共同記者会見で、「イランは特に、レバノンが抱える問題への対処と国民統合の実現のために支援を行っている」と述べた。またモッタキー外相は、「イランはレバノンの国民統合を支援する」と述べた。

(後略)


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翻訳者:平川大地
記事ID:14985