Oral Calisirコラム:エルドアンでもオジャランでも「簡単にはいかない」―クルド問題解決プロセス

2015年03月23日付 Radikal 紙
政府と大統領の間で、危機が起こっている状況である。オジャランも、PKK(クルディスタン労働者党;非合法)を説得するために尽力している。変わることは、簡単なことではない。リーダーのカリスマ性だけでは、変化を実現するには十分ではない。

タイイプ・エルドアン大統領が解決プロセスを理由に政府に向けた批判は、オジャランのノールーズの発表にも影響した。

オジャランのノールーズのメッセージでは、PKKに対して「武装解除」を呼びかけることが見込まれていた。発表は、予期されていることとは反対に、条件付きのものとなった。

ビュレント・アルンチ副首相によれば、発表の中にある「武装解除の呼びかけ」は、エルドアンが監査委員会の問題についておこなった批判と反発のために、条件付きとされたようである。条件は、「監査委員会の設置と活動」という形で、声明文に加えられた。

エルドアン大統領がウクライナからの帰国の際に新聞記者に行った論評からからわかるのは、2月28日に政府と人民の民主主義党(HDP)が行った共同発表も、大統領によれば、間違いとされているのだ。ここで再び明らかになることは、彼はこの発表にかんして、前もって情報を得ていなかったということである。

■違い

構図は明らかである。政府と大統領の間で、解決プロセスへの動きにおいて、違いがみられるのである。大統領は、この問題に関する反発を、国民に示そうと望んでいる。

政府スポークスマンのビュレント・アルンチの会見を、「政府の態度」として受け取れば、大統領との間で深刻な問題があるということである。アルンチ副首相は、大統領制に反対している。(これを個人的な見解として発表した)アルンチは、中央銀行総裁へ向けた大統領による厳しい批判を認めなかったということにも、言及している。

ここ最近、「解決プロセスの運営」の点で緊張が生じている。

プロセスの構築者としてエルドアン大統領は、決定者としての役割を続けたいと思っている。見て取れることからして、政府も、自分の権限内でこのプロセスを「自身の考える方向へ進めようと」動いている。

アルンチ副首相は、大統領が次々と政府に対して行った厳しい批判へ、最後に以下のような返答を与えた。
「しかしながら、批判のやり方が、新聞記者に向けて、画面の前で、告発するかのように、または政府を無力であると提示する形としたのは、一部の人々に[そう]伝わりうるという点で誤解を生まないようにしなければならない。」

アルンチが行った「はっきりとした発言」や反発を、他の閣僚や首相は、恐らく、示しはしないだろう。かなりの確率で、あれやこれやの形で、合意の道は見つけられる。選挙までは、こうした状況は、動きを伴って続くのだ。私たちがもう慣れてしまったように…。

■オジャランも簡単にはいかない

アブドゥッラー・オジャランは、著した本や論評の中で、PKKの視点から、「トルコに対する武装闘争」が終わりに至っていると述べている。ノールーズの発表でも、この定義を以下のように公式化している。「40年もの間の私たちの活動、痛みを伴ったこの闘いが無駄ではなかったと同時に、まさに継続できない段階に至ったのである。」(「まさに続けられない」という際に意図したのは、武装活動だ)

しかしながら、最新の会見でもまた見て取れることは、オジャランは、PKKへ、トルコに対して「武装放棄」の呼びかけを行うことが難しくなっている、ということだ。オジャランは、かなりの可能性で、組織が、このことに未だ納得しておらず、もしくはいまだこのような呼びかけを認めることが出来ないと考えて、呼びかけに幾つかの予防措置をとることを怠らなかった。

■プロセスは簡単にいかない

PKKの武装放棄も、トルコがクルド人たちの自治請求に対して好意的な返答を与えることが出来るということについても、いまだにそれほど「単純な問題」ではないというのは明らかだ。エルドアンも政府も、このプロセスの最後に「クルド人たちが自治請求」を持ち出すのはわかっている。 エルドアンは、これを、「トルコを分断するための目標」と評価している。

解決プロセスの開始当初に私が書いた記事で、この道のりの中で皆が変化し、そして変化しなければならないと述べた。「野党もまた変化する。政権も、クルド人も変化する。トルコ人も、公正発展党(AKP)も変化する」と述べた。

双方共に簡単ではないと見て取れる。政府と大統領の間で、危機が起こっている状態である。オジャランも、PKKを説得するために尽力している。変化することは簡単ではない。リーダーのカリスマ性だけでは、変化を実現するには十分ではない。

この問題は名称上でクルド問題である。このように深い問題が容易に終わらせることはできないということは、分かっている。大統領は、「否定、抹殺、同化の時代は終わった。このために、この問題はなくなった」と言っても、国、官僚制、法律の中に築かれた差別は存在する。なくすことも、簡単ではない。

■プロセスは進んでいる

もちろん、これらのあらゆる状況にもわらず、プロセスは、進行し続けている。2月28日のドルマバフチェ宣言は、大統領の反発にも関わらず、既に歴史的な事実である。解決プロセスの避けえない段階の一つ、「強化された火消し」は続いている。

プロセスは、トルコ大国民議会で出された法律によって、法制化した段階である。

我々が昨日、ノールーズの祝賀の際に今一度目にしたのは、平和へ、解決へ、トルコ人、クルド人とともに全社会が関わるということである。プロセスの力は、これを本源としている。


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翻訳者:堀谷加佳留
記事ID:37181