Murat Yetkinコラム:選択は難しい―7月総選挙

2015年04月08日付 Radikal 紙
次期総選挙において公正発展党(AKP)が第一党となる事に関して、現段階では何の話題も出ていないが、そもそもこの選挙の見どころは別のところにある。本当の見どころは、AKPがエルドアン大統領に圧倒的権力を与える議席数を取れるか取れないかだ。

各党は昨日4月7日火曜日17時時点で、候補者リストを高等選挙委員会に提出した。当該リストを見ると、この選挙がすべての党にとって、特に設定目標の高さという点で、AKPが苦戦するだろうと言える。昨日の様子から、以下の様な分析ができる。

1、選挙の最も重要な特徴のうちの一つとして、セラハッティン・デミルタシュ人民の民主主義党(HDP)共同代表が以前言った通り、6月7日の選挙に党として参加することだ。単刀直入に申し上げると、HDPが10%の最低得票率を超えれば、共和人民党(CHP)、民族主義者行動党(MHP)の票が全く増えなかったとしても、AKPが単独でタイイプ・エルドアン大統領をスーパー大統領とするための憲法改正の実現は、ほぼ不可能に近くなる。この選挙の最も重要な要素はまさにこれである。HDPの広範な層に向けた政策に注目する社会主義的・自由主義的なトルコ人はそもそもCHPに票を入れない。しかしHDPが希望を抱いている中道右派、保守派クルド人はAKPに投票している。つまり、HDPが10%の得票率を超えたとしても、その結果CHPが議席を失うことは考えにくい。しかし、AKPの減はある。

2、AKPを苦戦させる他の要素として、至福党と大統一党が、至福連合として選挙に参加することも挙げられる。2党の得票率は最低得票率の10%を超えないだろう。しかし、この2党が獲得する票は、これらの党が出馬しなければAKPに入れられていたはずの票である。中部および東部アナトリアのいくつかの中心都市において、AKPは貴重ないくつかの議席を失い得る。

3、CHPは6月7日の総選挙に向けて、比較の上ではあるが、最も透明度の高いプロセスをたどっている。ケマル・クルチダルオール党首は、自身も含め、立候補者の約3分の2を、(党内の)予備選によって確定させる道を開いた。この状況は党基盤を活性化させ、他の党執行部に今後の選挙でより一層感じられる支持層を作る基礎を築いた。

クルチダルオール党首が党運営会議と昨今行った会議で明確となったリストからは、何人かの著名政治家が除外されていた。今回は党運営会議メンバーの60%以上が刷新され、更に重要な事には女性候補を積極的に採用した。例えば非ムスリム少数民族の諸団体の共同候補であるセリナ・オズズン・ドアンが、イスタンブル1区の第一候補となった。このような新機軸は、CHPの新たな顔を紹介する事を目的としている。しかし、アレヴィー有権者という点に関しては、今回の選挙で、CHPとHDPの間に問題が起こりうる。東部、南東部で、かつての民主市民党(DYP)党員が候補となっていることは、その地域においてAKPから票を奪い取ろうとしているようにも見える。

4、候補者リストにおいて、最初のサプライズを行ったのはMHPだった。CHPとの共同大統領候補としたエクメレッディン・イフサンオールが(少し前にCHPからの提案を拒否したにも関わらず)イスタンブル2区の候補となることが発表された。この区で大波乱が予想される。ドルムシュ・ユルマズ元中央銀行総裁もMHPである。デヴレト・バフチェリ党首は、中道右派に重きを置く人物を並べ、さらに政府がクルド問題解決に向けてPKKと対話したことでAKPに奪われた票の一部を取り返すことを目標としている。MHPは候補者の変化が最も少なく、執行部の15人全員が再び候補者となる事を伝えた。

そして最後にAKPである。リストを極秘裏に準備したことは、アフメト・ダウトオール首相を中心とした候補者決定委員会のメンバーに、一人ずつ守秘義務を課した情報から明らかだ。これは、暫く政府系メディアの報道で流れた、リストをダウトオール首相が用意しているのか、それともエルドアン大統領なのかという議論が原因と思われる。

結果として、昨日発表されたリストで、エルドアンに明確な決定権があると言及するのは難しい。それよりも両者の合意に基づいて発表された、一方が反対した人物が、取り入れられなかったかあるいは下位に置かれているリストのようである。

例えば、AKP創設者メンバーでありながら、3期目に当たる為リストに名前が挙がらなかったビュレント・アルンチ氏が言及した、アンカラ広域市市長メリフ・ギョクチェキの息子オスマン・ギョクチェキ氏の名がリストになかったこと、一方エルドアン大統領の婿ベラト・アルバイラク氏がイスタンブル1区の第六候補となったことが、この状況をよく表している。

かつてトルコ・クルディスタン社会主義者党指導者であったオルハン・ミロール氏がマルディン県のリストのトップとなったこと、イラクのクルド人指導者バルザーニ氏と親密である事で知られるハシム・ハシミー氏がディヤルバクル県の第三候補となったことが注目を集めた。この決定はAKPのHDPに対する答えであるかのようである。候補者名簿でダウトオール首相は党会議メンバーのほぼ半分を刷新しようと目指した。

次期総選挙においてAKPが第一党となる事に関して、現段階では何の話題も出ていないが、そもそもこの選挙の見どころは別のところにある。本当の見どころは、AKPがエルドアン大統領に圧倒的権力を与える議席数を取れるか取れないかだ。それも上述した通り、HDPが最低得票率を取れるか否かにかかっている。HDPは未だにギリギリのラインをたどっているようにみえるが、より信憑性の高い世論調査の結果が、候補者の紹介の後、4月下旬に向け出始めるだろう。


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

同じジャンルの記事を見る


翻訳者:渡辺夏奈
記事ID:37272