Serpil Çevikcanコラム:大統領職、正常化への道

2015年06月11日付 Milliyet 紙
「従来と違った大統領になる」と言ったエルドアン大統領が踏み出した、従来と違った歩みの一歩を我々は昨日知ることとなった。
エルドアン大統領は、選挙の結果がもたらした衝撃から連立政権の模索へと転じたアンカラで、波紋を呼ぶような会談を実現させた。大統領はCHPの元党首で、アンタリヤ選出国会議員であるデニズ・バイカル氏を、自身が住んでいた外務官邸に招いた。

「会談を求めたのは誰か」という質問への答えは、「宮殿ではなくなぜ外務官邸で会談したのか」という質問への答えよりも価値が有る。会談の要求が大統領側から来たことがバイカル氏によって明らかにされた。バイカル氏は、トルコ政治の生き字引として評価される人々の中でも筆頭に来る人物だ。政治で多くの職務を担い、混乱の時代に重要な役割を果たしたバイカル氏は、最長老の政治家であり、野党の元党首の一人でもある。そのため、バイカル氏が昨日大統領と行った会談は、より政府の誠意、知的誠意がもたらした結果だといえるだろう。 

■温かく、穏やかな会談であった。

決然とした選挙キャンペーンと政府の予想を覆す選挙結果が出た後に、「今度は何が起きるのか」というパニックを広げるかもしれない一歩が踏み出されたことを、重要視する必要がある。この観点から、エルドアン大統領の招待が(トルコの)正常化に寄与するものであることに疑いの余地はない。私が会談の後バイカル氏と話した際には、同氏は「とても温かく、穏やかで、洗練された会話だった。私は大統領が明らかにした計画において正常化へ貢献する必要があるという私の考えを説明した。これらは自然になくてはならないことだ。皆がお互いの言うことを聞くべきだ」と言った。

■「私は使者ではない。橋渡しなどしていない。」

バイカル氏は、エルドアン大統領との対談を実験的な「観察者」としての見方で行ったことを強調し、「トルコを熱い政治的緊張の外で観察する一人の人間として、国会議員を何期も務め、そこで起きた数々の出来事を経験した一人の政治家として、国民の理解を、私が理解している形で国民が選挙で明らかにした景色を、そして良識を持つ必要があることを示そうとした。『これをちょっと見てください』と言った」と述べた。

AKPとCHPの連立に関して何らかの役割を担っているという噂も明確な言葉で否定し、「特別な使者、橋渡し役を担っているという噂は笑い話だ。全く関係ない。トルコで何が起きているのか、何をする必要があるのかについて話し合った」と述べた。バイカル氏と私の会話とバイカル氏の周辺からアンカラで密かに広まっている情報をもとに、昨日のサプライズ会談の全体的なあらましを次のように描くことができる。

■エルドアン大統領のアプローチ

エルドアン大統領は、AKPと自分自身に敵対する政党がつくりあげた共同戦線が選挙で獲得した結果を分析しており、それをAKPの失敗についての分析の前に対抗勢力の躍進の理由について行っている。

エルドアン大統領が立てられた計画の中で見据えている最初の選択肢は早期選挙だ。連立政権が健全に機能しなければ、トルコにとって負担となるであろうという見解に誇張はないだろう。しかし、彼は連立政権の選択肢も断定的に反対してはいない。すぐに、もしくは中期的に早期選挙が行われるなら、この間にAKPが政権についている必要があると考えている。大統領として、慣習に従いアフメト・ダヴトオール首相に組閣の任務を与えてから後、ダヴトオール首相が誰とコンタクトをとるかということが、新しい政府がどの政党の間でつくられるか、もしくはつくられないかを具体的に明らかにすると信じている。
しかし、CHPのケマル・クルチダオール党首に組閣の任務を与えるという条件がつけられたら、大統領はこうするだろう。つまり組閣プロセスにおいて、国家元首としてあらゆる権限を行使していくだろう。

■「あなたに責任があると考えてください」

バイカル氏が大統領との会談について語ったことはというと…バイカル氏は早期選挙がトルコにとって深刻な負担となることを、2015年、更には2016年を無駄にしうるということを述べた。また、(大統領に)「選挙で国民が犯した間違いが修正されること」のような理解は間違いであると伝え、新しい選挙がトルコにも、政党にも負担となると強調したという。

さらにバイカル氏は会談で、連立は慎重に試されるべきであるとし、「この計画において突破口は見つけられるだろう。政治家の仕事はそれを生み出すことだ」というアプローチで大統領が解決策の創出において最も重要な貢献をしうることを述べ、「あなた自身にその責任があると考えてください」と言った。そして「大事なのは、『トルコを我々がどのように機能させていくか』ということである」と話した。
(バイカル氏は会談で)重要な点を、さらに強調した。
「全ての連立のモデルは、同じくらい価値のあるものである」と述べ、CHP、MHP、HDPが提示する連立の方式が採用される必要があり、大統領がこれについても責任を持つことを強調した。これはつまり、CHPのクルチダオール党首に組閣の任務が与えられても、提案される連立構想に大統領は反対しないように、ということだ。

バイカル氏が周辺に語った以下の観点は重要だ。「選挙結果を排除という感情で行動がなされぬ必要性を述べた。大統領は早期選挙を優先している。これが間違いであることと、連立政府という選択肢が試される必要があることを私は話した。これに聞く耳を持たないわけではないと見ている。」

■正常化は共通の決断

エルドアン大統領がバイカル氏を招待することが、いずれにしても緊迫した政況に前向きな貢献を見せるのは間違いない。

加えて、この会談はクルチダオール党首のみならず、ダヴトオール首相の耳にも届いている。しかも、会談の前日の昼ごろには知っていたというのだ。6月10日に出た情報によるとダヴトオール首相は正常化に貢献するあらゆる交渉にゴーサインを出したという。加えて、エルドアン大統領がこの種の会談を、様々な立場の人と続けていくことが明らかになった。

大統領と首相の間で行われた最近の会談でこの問題も取り上げられたことを知った。エルドアン大統領が、この文脈における最初の接触をCHPと切り離すことのできない人物と行ったことは非常に重要だ。あらゆる選択肢は開かれている。与党で協議が続いている。
ダヴトオール首相に近い情報筋は、MHPもしくはCHPとの連立の枠組みにおいて、A KPから何人かの人物が首相によって任命されたという情報を認めていない。
組織的な意味で対話は行われていないと述べられると同時に、裏で流れている情報によれば、MHPと濃密なコンタクトが行われているという。ダヴトオール首相は組閣に入ることを決定している。首相の周辺は、昨日の時点で状況を、『全ての選択肢は開かれている』と説明している。


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翻訳者:矢加部真怜
記事ID:37808