Ismet Berkanコラム:クーデターの危険は、今も・・・

2016年07月20日付 Hurriyet 紙
金曜日の夜、この国で何があったのか、まだ完全には分かっていない人々がいる。

この筆頭には、自身を全面的に「反対派」であるとしている地元グループの人々とほとんど全ての西側の報道陣が挙げられる。

クーデターの進行が失敗したことから、タイイプ・エルドアン大統領がもはや強い権力を持つとか「国をイスラムの独裁に変えるだろう」というのは最も広まっている間違った解釈もしくは意図的に誤った解説である。このためナチスの有名な国会議事堂放火事件を例に使う人さえいた。

ここにある「クーデターの企ては実はエルドアン大統領が指示した」という暗示を無視したとしても、政治や国内の情勢を理解するのに重大な問題が存在している。

問題を、タイイプ・エルドアンを敵とする見方をするのではなく、自分たち自身も身を置くトルコという目線から見たら、分かると思う。

あなた方が強権的であるというタイイプ・エルドアンはなぜイスタンブルにいるのか?なぜ彼の周囲を継続してたくさんの人々で囲む状況にしているのか。

エルドアンも公正発展党(AKP)も良くわかっていることだが、7か月以上前に50%の票を獲得したにも関わらず、国の永続を図る最後の試みにより対処するには、より広い連立と相互扶助が必要とされている。

■共和人民党(CHP)の態度がとても重要

トルコでのクーデターの危機は過去のものではない。それは、トルコ国軍が「正常化される」まで続き、現実の脅威になり続けるだろう。(トルコ国軍に向けた蔑みがキャンペーンに変わることや継続性を願うことが私たちにとってかなり大きな現実的脅威である。)

この理由から、今日において野党が、とりわけCHPの態度はとても重要で、とても建設的である。もちろん民族主義者行動党(MHP)や人民の民主主義党(HDP)の態度も称賛に値し、重要である。

国会や共和国大統領の政治論争を暫し棚上げにして、この先あらゆる政治論争を行う問題について共通基盤を築こうと動き始めることは、現実のクーデターの危機をある範囲で減少させよう。

■憲法に協調が必要

今後政治が行われ、政治闘争や更なる論争が予想される基盤は憲法である。知る限りでは、CHPが草案を準備している。 AKPの草案も最終段階にあるはずである。議会は、ある人物やグループの政策ではなく、諸権利や共通の民主主義的基盤を第一にした憲法ということで協調するべきだ。

議会における党やリーダーたちが、協調ではなく論争を選び、国で再び民主主義を確立する件をAKPと共和国大統領エルドアンにのみに委ねれば、トルコは長期間立ち上がれない状況になるかもしれないのを恐れる。なぜならこの仕事はAKPだけでできるものではないからである。単独で行うことが様々な障害になるような仕事である。

AKPと共和国大統領エルドアンはこの意識を持って行動し、協調を可能にすべきであり、最大級の要求をするべきではない。そして、同様に野党も自身に国家の永続の責任があることを理解しつつ行動するべきである。

■行き先が天国でありますように、エロール...

クーデターの後、ある共通の友人の電話メッセージを聞いた、君が息子と一緒に兵士の武器から発せられた弾丸で亡くなったという。

2週間前、記憶に生き生きとして残っている大層笑い声の溢れた会話をしていた。3日前電話で話した。一緒に朝散歩するために約束をした時、アジア側かヨーロッパ側かで散歩することについて私たちは合意できなかった。

私はぐったりと倒れた。あなたの微笑んだ顔、みんなを助けに走り、どんなに忙しくても友人を忘れず、振り返って「あなたはアブハズ人で私はアディジェ人である。分かり合えない」と言って笑いかけたこと、何百という思い出...…。

確かに橋をクーデターを起こした殺人者たちから取り戻すために家から真っ先に出て行ったのでしょう。

行き先が天国でありますように…。

■「もともとあなたもクーデター犯」を引き継いだ人びとへの「論理 101題」

金曜日の朝...
たしかにこの国に独裁化の向きがあった
たしかに表現の自由がかなりの危機的状況にあった
たしかにギュレン派の人々にこの政府が公職の扉を開いた
たしかに国は良いように治められていなかったし、不正はちゃんと調べられていなかった
たしかに国を二分させる瀬戸際であった
まさにその晩クーデターの試みが勃発した

上に挙げた(挙げるのを忘れた)全ての問題を今日まだ議論できるならば、私たちの民主主義が不完全かつ脆弱であろうとも、まだ与党を投票で変えられる可能性やその場に留まり続ける権利を持てるとしたら、これはあのクーデターが失敗に終わったがためといえる。

クーデターが失敗したと悲しむ人々もいる。彼らに言えることは何もない。しかし一方で、「私はクーデターには反対です」と言って、その後も上に挙げた不足/不備を続けるのなら、いとも簡単に「この政権はクーデターでひっくり返すに値する」と考えているのです。

まず議会、選挙制度を守れ、その上で政治論争をいずれにせよ、やれ。


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翻訳者:佐藤彩乃
記事ID:40920