Murat Yetkin コラム:米国、トルコへモースルでPKK排除を保証

2016年10月08日付 Hurriyet 紙
トルコとイラクの間でモースル作戦に対する動きの減速が強まる一方、アメリカがモースルに関してトルコにPKK(クルディスタン労働者党)排除を保証していたことが分かった。

政府高官からの情報によると、9月27日にアンカラを訪れたアメリカの政府関係者たちがこの保証を口にした。アメリカ側はイスラム国からのモースル奪還のため準備を進めていた作戦に「PKKやPKKと繋がりのある」いかなる組織も含めないという保証をトルコ関係者に提示した。名前を明かさない条件でヒュッリイェト紙に情報提供をしたこの関係者は「この保証を真剣に受け止めているが、どこまで実現されるかは現場で見極める」と語った。

この発表には具体的な価値だけでなく象徴的な意味もある。モースルは違ってもその北はPKKの実効支配下にある。カンディールとロジャヴァと言ったところは、シリアでYPG(クルド人民防衛隊)の支配下にある地域内で通行が保証されている地域の一つだ。ヌサイビンと昔同じ町だったシリアのカーミシュリーはPKK/YPGの作戦基地の一つである。トルコは以前イラク政府の情報の下、バシカに訓練基地を作ることでイスラム国に対抗して民兵に軍事教育を行ったが、もう一つの目的はPKKが南、つまりモースルとキルクークへ向けて降りてくる道を遮ることだった。一方、この保証はアメリカがシリアで自らもテロリストと見なしているPKKと「繋がりのある」YPGと協力しながらも自分が何をしているのか十分分かっていることを暗に認めていることになる。

我々が集めた情報によると、アメリカのバラク・オバマ大統領のイスラム国との戦闘の特別大使ブレット・マクガーク氏とアントニー・J・ブリンケン国務副長官を含む外交官、軍人、諜報担当から成る代表団の話し合いにおいて実際の議論の中心は世論で取りざたされていたラッカではなくモースルだった。

タイイプ・エルドアン大統領が9月23日のアメリカのジョー・バイデン副大統領とのニューヨークでの会談で、YPGが加わるならばトルコはラッカ作戦に参加しないことを引き合いに出したことで、アメリカ関係者がモースルのためにこの提案をしたと考えられている。

アメリカの代表団は疑問も投げかけた。もしかしてトルコがモースルの近くのバシカ・キャンプで一定期間教育を行っていたハシュディ・ヴァタニとその他のスンナ派・トルクメン系グループがアメリカ中央軍、CENTCOMとして「統一され」、一体化し、その司令の下でモースル作戦に参加できたのだろうか。

これと関連する話題はその日、つまり9月27日にエルドアン大統領とビナリ・ユルドゥルム首相の参加のもと、ベシテペで行われた安全保障会議でも、9月28日のMGK会議でも取り上げられた。メヴジュト・チャヴシュオール外相が国家安全保障評議会の前にイラクのジェヴァド・ザリフ外相とアンカラで会談した際も、モースル作戦とイラクとシリアの近況が取り上げられた。

モースル作戦に関する私たちの疑問に答えた高官は昨日までのアンカラの態度を明かす中で、「私たちが教育を行ったグループが共通の軍のもとにいることに反対はない」と述べた。「このことは公にしていた。しかし問題はこれでは終わらない。」

問題は、トルコ政府がアメリカ政府に軍事教育を行ったスンナ派が多数を占めるグループがCENTCOM軍に入ることに反対しないと表明した後、イラクのハイダル・アル・アバディ首相がトルコに土地を離れるよう望んだことだ。一方、以前のバシカ危機の後、トルコはこの訓練キャンプの軍にイラク人軍人がいることを認めていた。

高官は「アバディは自分の力を誇示している。発言は現場の真実を反映していない」と言う。「トルコが隙を見てモースルを奪うという宣伝活動が行われている。しかし訓練と基地の保護でトルコのバシカ駐留軍は限界であることをイラクもアメリカも知っている」

状況を見守っている国にはイランがいる。なぜならイランはイラクやシリアでイスラム国と戦うイスラム革命防衛隊やハシュディ・シャビもモースル作戦に参加することを望んでいるからだ。しかしアメリカは人口の圧倒的多数がスンナ派であるモースルにシーア派の集団が入ることで別の深刻な衝突を招き、イスラム国を再び強化するかもしれないと気付いている。

ここで本質的な問題は次の通りだ。では、ザリフとの会談はイランの態度に全く影響しなかったのだろうか。この質問に対する外交レベルでの答えはイラン政府の二面性である。イラクとシリアで戦うイスラム革命防衛隊やシーア派民兵たちはハサン・ルハーニー大統領やザリフ外相よりも強力な支持者である宗教的指導者のアリ・ホメネイ氏の言うことを聞く。アバディ政権はイランの宗教的指導者たちからの支持によって成り立っていると考えているのだ。

このためこの問題によってアメリカ政府の11月8日の選挙前にモースルをイスラム国から奪還する計画も崩れそうだ。トルコがモースル作戦に参加するか否かは今の条件下では不透明なままだ。


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翻訳者:南澤沙織
記事ID:41378