サッカーワールドカップで活躍のトルコ人審判チャクル、インタビュー

2018年06月17日付 Milliyet 紙
ロシアで我が国トルコを代表してFIFAのレフェリーワッペンを持つジュネイト・チャクル審判が、われわれのインタビューに応じてくれた。チャクル氏は、「人々が私を強く批判した試合でもなく、とてもいい判断だったと言った試合でさえも私を最も強く批判したのは父でした」と語った。

ロシアで我が国を代表してFIFAのレフェリーワッペンを付けて活躍しているジュネイト・チャクル審判は、「母がサッカーは辞めて審判になりなさい。あなたはワールドカップで試合を管理するようになるわ。私にはわかるの。と言ったのです。母のこうした小言のおかげで、私は17歳からこの職業を始めました」と話した。

チャクル氏のインタビュー内容は下記の通りだ。

審判という職業についたきっかけは、父親のセルダル・チャクルさんにサッカーのサークルを紹介してもらったことだと話すジュネイト・チャクル氏は、審判という職業を選んだそもそもの理由を次のように語った。「私は10歳のときから、カルタルスポルクラブの下部組織で7年間サッカーを学びました。友人たちは、私の容姿や8番の背番号がついたユニフォームを着ていたことから、私をルドゥヴァン・ディルメンになぞらえてラドと呼んでいました。17歳のときに障害を患い、サッカーから2,3ヶ月離れました。チームには戻りましたが、監督とわかりあえませんでした。母は私に、サッカーはやめて審判をしなさい。ワールドカップで試合を管理するのよ。私にはわかるわ。と言いました。母のこうした小言のおかけで、17歳のときに審判を始めたのです。」

■「父は師匠であり、且つ私を最も厳しく批判してくれる人」

かつてサッカーの審判員であった父のセルダル・チャクルさんを鑑としていると強く述べたジュネイト・チャクル氏は、父親との関係性について次のように語ってくれた。「私は父の試合を見ながら育ちました。審判員を始めてからは、正に師匠となりました。人々が私を強く批判した試合でもなく、むしろとてもいい判断だったと言ってくれるような試合でさえも、私を最も厳しく批判するのは父です。父の経験は私にとって非常に価値あるものです。私は父の背中を追ってここまで来ました。」

■「審判員の階級は妻とともに乗り越えた」

妻であるガムゼ・チャクルさんとは16歳のときから道をともにする仲であったと話すジュネイト・チャクル氏は、妻の協力をいつも身にしみて感じていると話し、次のように語った。「妻と知り合ったのは16歳のときです。審判になる前から、アマチュア審判員時代、そしてプロになるまでずっと彼女の支援があったおかげだと感じています。審判員の階級は、妻とともにステップアップしてきたと言えます。審判を始めたばかりの頃、審判をした試合数が規定に足りていないことがありました。その日、私が赴いたグラウンドでのすべての試合で審判を行いました。妻は疲れと苦労の中にあっても、私のために身を削って支えてくれました。」

■「人々の祈りのおかげで、一ヶ月半で病気を克服した」

UEFAチャンピオンリーグの決勝戦で審判をすることが、すべての審判員の夢だと話すジュネイト・チャクル氏は、2015年のバルセロナ対ユヴェントスの決勝戦について思い出を語ってくれた。「審判員はみな、2つの夢を持っています。1つ目はワールドカップで審判をすること、2つ目はチャンピオンリーグの決勝戦で審判をすることです。2015年は、私にとってとてもありがたい年になりました。そのために私はとても勉強し、試合計画やプログラムを進めて一つ一つステップアップを重ねました。トルコサッカーの名の下、名誉ある夜でした。見ず知らずの人からメッセージや電話がきました。しかし、私にとってこの年が重要な理由はまだあります。そのシーズン、ゲンチレルビルリイ対カラビュクの試合中に胸が苦しくなり、私は試合の残り半分を放棄せざるをえなくなりました。しかし、みなさんの祈りが通じて一ヶ月半で病気を克服しました。UEFAのYOYOテストを急いで受け、無事に合格しました。そしてこの名誉をトルコに捧げることができました。私にとっての最大の勲章は、国旗を若い審判に託すことです。私は若い審判員たちを最優先に考えています。」

■「国外でも他国、トルコでも他国の試合の審判をしていると言われた」

国外で審判をした試合に関してネガティブな批判をされることに対し笑顔で答えるチャクル氏は、この件について次のようにコメントした。「国外でも他国、トルコでも他国同士の試合の審判をしていると言われました。これを最も良く言い表していることがあります。2018年ワールドカップの審判に選ばれたという知らせを、FIFAからメールでいただきました。そのメールには次のように書かれていました。『おめでとうございます。国外のアリーナや本国において審判を行った試合におけるすばらしい功績を讃え、あなたにロシアで開催されるトーナメントへの参加権利を授与します』と。私にとってこれ以上の言葉は必要ありません。」

■「好きなヘビメタのグループがいる」

2016年にTOÇEV主催のナイターで歌手のフェリドゥン・ドゥザーチ氏と歌を披露したジュネイト・チャクル氏は、音楽のない世界など考えられないと話した。すべての人が夢を叶えるべきだと話すチャクル氏は、どのようなジャンルの音楽か好きかも語ってくれた。「ロックやヘビメタが好きです。マノウォーやアイアン・メイデンなどがお気に入りのグループです。ボン・ジョヴィやクランベリーズも好きですね。クランベリーズのソリストであったドロレス・オリオーダンの訃報はとても残念でした。試合前には必ず音楽を聴きますし、音楽なしなどありえません。マノウォーの『Thor』という曲は、私の人生の曲です。」

■「本屋に行っても彼のすべての著書を同時に見ることはできませんが、私の書斎であれば見ることができます」

全世界で有名な緊張と恐怖の作家であるスティーヴン・キング氏を称賛すると話すチャクル氏は、「本屋に行っても彼の全著書を同時に見ることはできませんが、私の書斎でなら見ることができます。特に『ダーク・タワー』シリーズには感嘆の言葉しかありません。トルコで見つからない本は、国外から取り寄せています。」同時にシリーズ物のドラマもよく見ると話すチャクル氏は、「ロストやプリズン・ブレイク、ブレイキング・バッド、ゲーム・オブ・スローンズといったシリーズドラマが好きです。今見ているインターネット・ドラマは、ジャンス・デレやハルク・ビルギネルが出演している『個性(原題:şahsiyet)』です。大好きな映画は『ショーシャンクの空に』と『ブレイブハート』です。私にとって『ショーシャンクの空に』は常にベスト5内に入る名作です。」


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翻訳者:永山明子
記事ID:44931