■アサド一族が体制の資金調達のため麻薬「カプタゴン」の密輸に加担しているとドイツの捜査官らが公表
【ベルリン:本紙】
ドイツ『デア・シュピーゲル』誌は、長年にわたる詳細な調査の末、(シリアの)バッシャール・アサド体制が合成麻薬ビジネスに深く関わっているようだと明らかにした。捜査官らは現在、シリアの独裁者が麻薬マネーによって政権の資金繰りをしているという証拠を見つけている。
同誌によると、全ては偶然に始まったという。2022年4月、ルーマニアの税関職員らが冷蔵ユニットを搭載したコンテナの中に船荷証券の記載よりも興味深い商品、つまりその中に約200万錠もの「カプタゴン」が隠されているのを発見したのだ。調査の結果、同貨物はシリアから来たもので、ルーマニアを経路しサウジアラビアへ運ばれる途中であった。この取引は欧州の治安機関が犯罪者らを追跡するためにつかんだ糸の端のようなもので、そこから得られた情報で捜査官らは電話の傍受に成功、疑わしい会話を監視下に置くこととなった。そしてじわじわと、とあるグループを束ねる「アブー・フアード」と呼ばれる人物が浮かび上がってきたのである。
徐々に明らかになってきたことは、「アブー・フアード」が「イヤード・S」という人物であるということだ。シリアのラタキア出身の55歳、グループの重鎮である。彼はバッシャール・アサドによるシリアの独裁体制に直属する精鋭部隊「第4機甲師団」の支援を受け、港で貿易会社を経営していた。2017年某時期に事業を開始すると、一手に事を引き受けた。また、「アブー・フアード」の家族の複数名が2015年にドイツに逃亡したとみられており、そのこともドイツ治安機関が彼を追跡する誘因となった。
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