イラク:「ローザンヌ条約失効」神話は本当か?(2)

2022年06月19日付 al-Quds al-Arabi 紙

■イラクとローザンヌ条約失効の神話

【トルコ:本紙】

「ローザンヌ条約失効」神話のイラクに関する側面に目を向けてみれば、物事は歴史的に「モスル問題」として知られる問題を巡り展開していることがいえよう。「モスル問題」とは、イギリス委任統治のもとで成立後間もないイラク王国とトルコ共和国の間の法的紛争によって生じたものである。国境紛争は両国間の法的紛争へとかたちを変え、解決のために国際連盟の委員会へ付託された。また紛争の平和的解決を求めて、国際司法裁判所(ICJ)およびそれに属する専門家らへの諮問が行われた。

ここで指摘できるのは、「ローザンヌ条約失効」神話、あるいはエルドアン率いるトルコが旧オスマン領に対する支配を求めて払っている努力にかかわる言説を流布しているグループが、アラブ人の間に2つ存在することである。第1のグループは、トルコが支援するイスラーム主義に敵対する者たちだ。彼らは「来る2023年に「鬼(トルコ)」が来て、かつてオスマン帝国に属していた中東の諸地域への支配を、現代のトルコへと取り戻すだろう」といった考えのプロモーションを試みているのだ。

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翻訳者:吉岡珠実
記事ID:53840