ローマ時代の墓跡、財宝狙いで爆破

2022年08月26日付 Cumhuriyet 紙

トカト県のクズク村近郊にあるローマ時代の洞窟墓跡が、財宝狙いたちによりダイナマイトで爆破され破壊された。洞窟墓跡がある洞窟の入り口には、ドリルで穴が開けられていた。トカット・ガジオスマンパシャ大学の科学文学学部歴史学科長のアルパスラン・デミル教授は、この類の人々はお金持ちになることを夢見て数多くの歴史的建造物に被害を与えているとし、「財宝狙いは病気である。治療が必要な病気だ。」と話した。

トカト県クズク村南部の河床の端に位置するローマ時代の洞窟墓は、違法な財宝狙いに略奪された。自然写真家や地元の観光客の注目のスポットとなっていた洞窟墓跡があった岩場は、財宝狙いによりダイナマイトで爆破され破壊された。洞窟墓跡がある洞窟も、ドリルで穴を開けられており、周辺でも掘られた後が見つかった。

■地下で見つかったものは自分たちに所有権があると考えている

トカット・ガジオスマンパシャ大学の科学文学学部歴史学科長のアルパスラン・デミル教授は、「まず次のことを知る必要がある。それは、この類の盗掘や財宝狙いは基本的に、『これらは地下で見つかったものであるため、自分たちに所有権がある』と考えているのだ。しかしながら1989年から文化財はすべて政府の財産なのである。これを知ることが必要だ。法的な側面があることを知る必要があるのだ。ある場所に財宝があると明らかになった場合、政府の許可を得る必要がある。もしその土地が自分のものだとしても、そこで見つかったものの50%は政府の、50%は発見者の所有物となる。もし土地が自分のものでなかった場合、10%はその土地の持ち主、40%は発見者、そして50%が政府のものとなるのだ。これら全てが我々の文化遺産である。従って、それが被る損害は、発見された資料が国外に持ち出されること、すなわち文化遺産がトルコ国外に流出するということである。この問題には道徳的な側面があり、法的な側面もある。これは全ての人が知る必要があるのだ。」と話した。

■「良心が全くない」

調査のためにトルコの数多くの県や村を訪れたというデミル教授は、「私は何千もの村に滞在していた。これは一種の病気であり、財宝狙いは病気なのだ。治療が必要な病気である。これらをしている人には良心が全くない。つまり、爆弾をも使用し、古美術品に傷をつける。だが、知らなければいけないことは次のことである。私が滞在した村で財宝狙いと話した。これらを見つけたのか?と尋ねると、『全部は見つけていないがこれを見つけた』と言った。彼らは希望を持って行動しているのだ。だがこのプロセスの中で古美術品を傷つけている。これらの全てが私たちの未来へ、子孫へ引き継ぐ遺産なのだ」と話した。

■「破壊されている」

当該地域で自然写真家として活動するフェフミ・エルティン氏は、当該の墓跡は3年前まで良好な状態で、破壊された姿を見て悲しい気持ちになっており、「とても美しく、ローマ時代から残っていた墓跡だった。3年後に友人とここに来ると、周辺全体がダイナマイトで爆破され、財宝が漁られていた。現在周辺は非常に荒れている状態だ。トカトの歴史や文化の特徴となっていた場所だった。私たちはこれらを守り、紹介しようと努めていたが、残念なことに市民はこれを保護したくなかったようだ。昔は墓跡周辺はもっと美しかった。今はダイナマイトで爆破され破壊されている。これは良いことではない。発見された全ての墓跡には財宝があるわけではない」と話した。


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翻訳者:瀬戸慈弘
記事ID:53958