AKPとMHPのスカーフ法案、国会委員会通過

2023年01月25日付 Milliyet 紙

公正発展党と民族主義者行動党による、スカーフの使用を憲法上で保証し、家族のあり方を再調整する法案が、トルコ大国民議会憲法委員会で承認された。

アイシェギュル・カフヴェジオール記者(アンカラ)
憲法委員会は、先週全体に亘って議論した憲法改正草案の条文を審議するために、昨日再招集された。法案のスカーフに関する第一条について、共和人民党と善良党は共同で改正案を提出した。法案に記されている「いかなる女性も、宗教的信条を理由に頭を覆うこと、自ら選んだ服装を理由に教育・教授、労働、選挙、被選挙、政治活動、公的機関で働き始めること、その他のあらゆる基本的権利及び自由を行使する点、又は公的・民間部門よって提供される物品及びサービスを享受する点で、いかなる不利益を被らない」という条文の「宗教的信条を理由に」の部分を条文から除くことが提案された。代わりに「いかなる女性も、頭を覆う・覆わないことをも含む自ら選択した服装を理由に…」という表現を用いるよう求めた。

■憲法第41条に対する直接の異議申し立て

共和人民党と善良党は、家族のあり方を再調整する第41条の改正草案を用意しなかった。第41条を直接否定する見解が採用された(注)。

■野党側の賛成なし

民族主義者行動党のフェティ・ユルドゥズ副党首は、共和人民党と善良党の法案にある「宗教的信条を理由に」という表現の削除要請に関して、「未来のある人々はファッションのために頭を覆うのではない。宗教的信条が理由で頭を覆うのである。この憲法改正はまさに宗教的信条が理由で行われるものである」と述べた。

審議後に共和人民党と善良党の法案は却下され、与党側が提案した条文はそのまま採用された。善良党の会派副代表のエルハン・ウスタは「この態度はスカーフに対する裏切り行為である。公正発展党グループがスカーフ問題を解決することに微塵の関心もないことが分かった。したがってこれ以上会場にいても意味がない」と述べた。その後善良党の委員たちは会場を去った。

共和人民党のビュレント・テズジャン副党首も、「私たちには、この問題を満票の600票で議会を通過させ、歴史的な合意を得る可能性があった。この問題に対するあなた方の意図は分かっていたが、なおも私たちが勘違いしているものと思いたかった。真摯に答えると、トルコ全土でスカーフをつけた皆さんたちにあなた方のことを訴える」と述べた。テズジャン副党首が発言した後、共和人民党員たちも会場を去った。法案はいかなる修正を受けることなく委員会を通過した。

■本会議での「否決」投票

一方、共和人民党と善良党は、法案に関する本会議での審議の際も法案を拒否するため、集団で反対票を投ずることが明らかになった。法案を用意し支持する公正発展党、民族主義者行動党、大統一党、至福党の議員数は、法案を国民投票に持ち込むには不足している。このため、共和人民党、善良党、人民の民主主義党が本会議の審議において法案に「ノー」と投票するか、投票に参加しなければ、法案は不成立となる。

(注)トルコ憲法の41条は「家族の保護及び子供の諸権利」という見出しをもつ条項である。現行の条文では「家族は、トルコ社会の礎であり、パートナー間の平等に依拠している」と言う文章で始まっている。与党案では上記見出しは「家族の保護、婚姻による結びつき、子供の諸権利」となる。また与党案では婚姻による結びつきを「女性と男性が結婚することによってのみつくることが出来る」と再定義している。


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翻訳者:田原紗樹
記事ID:54882