トルコ「得るものを得た」-スウェーデンNATO加盟

2023年07月11日付 Milliyet 紙

スウェーデンのNATO加盟が話し合われたビリニュスの3者首脳会談で、トルコは望みをかなえた。NATOは史上初めて「テロ対策調整官」を任命する。スウェーデンはNATO加盟の見返りとして、トルコのEU加盟を強力に支援する。

長い間議論されてきており、そのために集中的な外交を進めてきたトルコは、スウェーデンのNATO加盟を承認することに関し、リトアニアの首都であるビリニュスで合意に至った。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領とスウェーデンのウルフ・クリステション首相の間の意見の相違を解消する点で、合意に至ったと発表した。

エルドアン大統領は、昨日7月11-12日に開催されるNATO首脳会談のためにリトアニアの首都ビリニュスを訪れた。同大統領は、NATOのストルテンベルグ事務総長とスウェーデンのクリステション首相と会談した。代表団間で行われた2度の会談の後、報道関係者の前へ現れたストルテンベルグ事務総長は、スウェーデンのテロ対策法とテロの財源に関する法改正実現について、動きが加速されると述べた。ストルテンベルグ事務総長は、これに伴い、スウェーデンとトルコとの間で安全保障作業班が設置されることが決定したと述べ、トルコ向けの、テロとの闘いに関するスウェーデンの支援はNATO加盟後も継続すると強調した。

■NATO史上初

ストルテンベルグ事務総長は、NATOがテロ対策調整官を任命する決定を下したと述べ、テロとの闘いが、同盟にとってきわめて重要であることに触れた。この点から、NATOのテロ対策調整官が同盟国のテロに対する取り組みを支援し、加盟国間の調整を行うとも述べた。

■EUが約束

ストルテンベルグ事務総長は、トルコのEU加盟の過程でスウェーデンが包括的な支援をする約束をしたと強調し、スウェーデンはトルコのEUビザ免除、関税同盟更新の作業を促進する上で支援を提供すると明らかにした。これらの発言は、会談の後行われた3者共同声明でも見られた。ストルテンベルグ事務総長は、会談が建設的で温かな雰囲気の中で行われたことに触れ、昨年マドリード・サミットで署名された三か国の合意の覚書に含まれる条項を実施する点で、より詳細で包括的な合意が得られたと強調した。

ストルテンベルグ事務総長は、NATOの仲介でクリステション首相とエルドアン大統領の間で合意に達したことが「歴史的」なことであると述べ、この合意が長い時間がかかって初めてNATOがテロ対策調整官を任命するきっかけにもなったと言及した。それと共に、スウェーデンのNATO加盟の過程に関連して、トルコが加盟証書をトルコ議会で承認する過程を可能な範囲で開始する予定であると述べ、この過程が尊重されるべきであると強調した。ストルテンベルグ事務総長は、スウェーデンの加盟証書がトルコ議会でいつ承認されるかという点に関して、未だ明確な日付は述べられないとしたが、重要なことは、トルコがその過程を始めようという意思があることと述べた。また、両国リーダー間で達した合意に満足していると言及した。

■EU加盟への支援

3者首脳会談の後、NATOから発表された合意文書では次のように述べられた。

スウェーデンとトルコは、2022年NATOマドリード・サミットで設立された3カ国常設共同メカニズム、及び毎年の大臣レベルで開催され必要に応じて作業グループを設置する新たな2カ国安全保障合意、この双方の枠組みにおいて、協力を継続することに合意した。この安全保障合意の最初の会合で、スウェーデンは第4条を含む、3カ国同意の全ての条項を完全に実施することに向け、テロのあらゆる形態・発現に対し進める闘いの基礎となるロードマップを提示する予定だ。スウェーデンは、人民防衛隊(YPG)/民主統一党(PYD)及びトルコでギュレン派テロ組織(FETÖ)として認識されている組織を支援しないことを改めて表明する。

スウェーデン・トルコの両国は、テロとの闘いにおける協力が、スウェーデンのNATO加盟後も継続される長期的な営為であることに同意した。ストルテンベルグ事務総長はまた、NATOがあらゆる形態で発生するテロを断固非難することを再確認した。NATOは、事務総長のNATO初となるテロ対策調整官の設置を含め、この分野での活動を大幅に加速する予定だ。我々は同盟国間の防衛取引および投資に対し如何なる制限・障害・制裁があってはならないという方針に沿っている。そのような障害を取り除くために取り組んでいく。

スウェーデンとトルコはまた、トルコ・スウェーデン合同経済貿易委員会を通じて経済的な協力を強めていくことに関しても合意に達した。

スウェーデンは、EU・トルコ関税同盟の更新とビザ免除を含め、トルコがEU加盟プロセスを再開する努力に積極的に支援する。このことを基本に据え、ヨーロッパ・大西洋地域の抑止力及び防衛に関する必要性を考慮し、トルコはスウェーデンの加盟議定書をトルコ議会へ提出し、承認を得るために議会と緊密に協力していく。

■バイデン大統領:喜ばしいこと

アメリカ合衆国大統領ジョー・バイデン氏は、ストルテンベルグ事務総長の記者会見の後、「喜ばしいことである。ヨーロッパ・大西洋地域における防衛と抑止力を向上させるために、エルドアン大統領、トルコと共に活動する準備はできている。」と述べた。一方、アメリカ合衆国国務省のマシュー・ミラー報道官は、スウェーデンのNATO加盟とF-16の売却は別の問題であると指摘し、「F-16の売却に関して、我々は以前からトルコを支持していると公言しているように、彼らにもプライベートの会合で伝えていく」と述べた。

■「スウェーデンにとって素晴らしい日」

スウェーデンのウルフ・クリステション首相も合意に関する最初の論評の中で、「スウェーデンにとって素晴らしい日だ。我々は、トルコとフィンランドと共に結んだ3カ国合意の全てを実行し続けていくことを約束する。組織犯罪やテロとの闘いでの共同の取り組みのために、トルコとの協働フォーマットである、新たな安全保障対話を行う。」と述べた。

■「まずはEU側でトルコの前途を開け」

エルドアン大統領は、リトアニアの首都ビリニュスに向かう前にアタテュルク空港で声明を発表した。エルドアン大統領の首脳会談で重要な署名がなされると発表し、次のように述べた。

制裁の呼びかけ:一部の同盟国が不当に我が国に課している制限や障害は我々を抑え込んでいる。首脳会談ではトルコへ制裁や制限を課している同盟国に対し、この過ちを速やかに撤回するように繰り返し呼びかける。

我が国民の期待:現在NATO加盟国のほとんどがEU加盟国である。トルコをEUの門前で50年以上待たせているこれらの国々に対して、この場から呼びかける。また、ビリニュスでも呼びかける。まずは、さあトルコの道を開けよう、その後で我々がフィンランドの道を開けたように、スウェーデンの道も開けよう。この問題で、バイデン大統領に昨晩こう語った。そしてビリニュスでもこの発言をしなければならない。我が国民が我々に期待していることだ。

私の願いはF-16問題を克服すること:バイデン大統領は、「私は手を尽くしてあらゆる手段に訴えかけている。」と述べている。我々が大統領に言っているのは、F-16の件に関して、あなた方とNATO同盟国となる2カ国は、ここで我々が取る措置によってNATOの全ての敵に対して強力となる、ということだ。あなた方には支払いを行なっている。F-35のために我々が支払った金額は14億5000万ドルである。この支払いの見返りをまだ受け取っていない。大統領とはこれらについて話し合う。我々は今回の会談で、この問題を克服できるものと望んでいる。


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翻訳者:伊永勇人
記事ID:55954