8月20日にエルドアン大統領、ハンガリーを訪問

2023年08月20日付 Cumhuriyet 紙

レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領は、8月20日にハンガリーを日帰り訪問する。

ハンガリーメディアは、伝統的にハンガリー政府により大変な名誉で歓迎される国賓の一人であるエルドアン大統領の訪問の理由よりも、今回の訪問がなぜこれほど短いのか、その内容はどのようなものなのかという問いに対する答えを求めている。

この類の訪問におけるこれまでの慣例に反して、ハンガリー政府が整然とした声明を発表せず、訪問中も訪問後もマスコミに情報が公開されないことが、訪問を取り巻く謎めいたムードに拍車をかけている。

ハンガリーとトルコの間で近年構築された戦略的パートナーシップの枠組みで話し合われる議題がどれほど多いとしても、そのどれもが全く話題にされない訪問の目的は何なのか?これこそ、答えが必要な真の問いだ。

■「返礼訪問」

ハンガリーの情報筋が沈黙するなか、トルコのマスコミを引用して報道されたニュースは、今回の訪問でハンガリーに国際的な信用を与えることがエルドアン大統領の狙いだと指摘している。

8月20日はハンガリー最大の祝日である。千年前にこの地にハンガリー国家が建国されたことを記念するこの日は、伝統的に盛大な式典で祝われる。夜にはブダペストで大きな花火が打ち上げられる。

エルドアン大統領は今年、数か国の首脳とともに式典の主賓となることが予想されている。

タイミングで2番目に重要な要素は、8月19日にブダペストで開幕した世界陸上競技選手権大会だ。

ハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相はサッカーやスポーツ全般に高い関心を持っていることで知られており、ハンガリー史上最大のスポーツイベントであるこの選手権大会を重要視している。

世界陸上競技選手権大会の開会式にエルドアン大統領が参加できなくとも、日曜日には主賓として選手権大会に出席し、100メートル決勝をオルバーン・ヴィクトル首相とともに貴賓席から観覧する予定だ。

トルコ大統領がハンガリーでこういった式典やイベントに参加する背景には、もちろんトルコがハンガリーやハンガリー政府を評価しているということがある。

しかし、これに加えて個人的な関係を非常に重んじることで知られるエルドアン大統領が、今回の訪問でオルバーン首相に一種の「返礼」のジェスチャーをしたと噂されている。というのも、オルバーン・ヴィクトル首相は、トルコの選挙前に記者団に「エルドアン大統領の勝利を祈っている」と言い、選挙勝利後はエルドアン大統領を最初に祝福した外国首相だったからだ。

■二国間の「戦略的パートナーシップ」は何を意味するか?

トルコとハンガリーの間には、ここ暫く多面的な関係をカバーする極めて深い協力プロセスが築かれている。

このプロセスはここ数年、両国によって「戦略的パートナーシップ」という名のもと、生活のあらゆる分野を包括する長期的な「運命共同体」へと進化している。

両国政府にとって「西側と北大西洋条約機構(NATO)の同盟」であることが自然なことであるのと同じくらい、自国の利益のために加盟している同盟のスタンスからさらに独立した政策をとることや、自治的な国際同盟に取り組むことは自然なことなのだ。

二国ともロシアに対する態度をめぐって米国やNATOから一定の非難を受けており、中国やアラブ諸国との関係でも緊張を生じさせている。

ハンガリーは欧州連合(EU)内のV4と呼ばれる東欧諸国と地方連合を形成している一方で、トルコはテュルク諸国機構によってアジアで同様の協力関係を実現しようとしている。

ハンガリーはゲストメンバーとしてテュルク諸国機構を通じてアジアに進出しようとしており、トルコもハンガリーやV4諸国の力を借りてEUでの地位を得ようとしている。

そして、おそらくこの戦略的パートナーシップの最も興味深い点は、このパートナーシップが今や公然の事実であり、両国が外交政策をはっきりと協調させていることだ。

その最近の例は、北欧諸国のNATO加盟承認にあたり、ハンガリーがトルコの懸念を汲んだことだ。

トルコ政府が、もちろん正当な理由を示したにせよ、特にスウェーデンの加盟を承認していなかった時期に、ハンガリー政府はこの二国の加盟に―適当な口実で―拒否権を行使すると発表した。

■トルコはハンガリーにとってなぜ重要か?

もちろん、ハンガリーがトルコを親密な友好国とみなす経済的、地政学的、国家保障上の理由はたくさんある。

オルバーン首相からすればトルコはエネルギーの供給元であり、欧州への難民の流入を阻止している国である。どちらの要素も今日、極めて重要である。

しかし、さらに底深くに横たわる真の理由は、ハンガリー首脳のオルバーン・ヴィクトル首相が、西側諸国において今日の主流でありながらも自身が反対するリベラル政治の弱体化や、より保守的な西側世界の創造において、トルコや―ある程度―ロシアとの良好な関係を重要な要素とみなしているということだ。

現在、トルコ政府にはオルバーン・ヴィクトル首相が考える欧州、世界モデルの実現に寄与できる政治家が一人いる。

だからこそ、長期ビジョンの実現のためにオルバーン・ヴィクトル首相はレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領の選挙勝利を神に祈ったと述べている。

そして、選挙に勝利したエルドアン大統領とともに新たな歩みに備え、「我々に注視し続けよ」と述べている。


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翻訳者:安井悠
記事ID:56181