エコノミスト誌「トルコが武器市場を根底からかえる」

2023年09月21日付 Milliyet 紙
エコノミスト誌は、トルコが軍艦から無人航空機まで世界の武器市場へと急速な参入を果たし、アメリカ製より安く、中国製より信頼性のある製品を提示していると明らかにし、特に湾岸諸国がトルコの武器販売を待っていると書いた。

英国エコノミスト誌は、「世界の新たな武器輸出国の紹介」というタイトルで発表した記事の中でトルコに多くのページを割いた。同誌は記事のスポットで「安い無人航空機、戦闘機、戦車はどこで購入できるのか」と表現し、北朝鮮の「ぽっちゃりとした」指導者キム・ジョンウンが装甲した緑の列車に乗り向かったロシアでウラジーミル・プーチンと握手を交わし、武器販売について注目を集める発言をおこなったと記した。

■根本を覆す

同誌は、現在世界でトップ5の武器輸出国であるアメリカ、ロシア、フランス、中国、ドイツが貿易総額の4分の3以上を占めていると述べ、新進気鋭の武器輸出国は新たな変化を好まない旧態依然の面々に根本からの変化をもたらしていると明らかにした。また、新進の国々が変化する地政学によってもたらされた機会を利用し、ロシアによるウクライナ侵攻で利益を得ていると指摘し、モスクワは現在の状況では北朝鮮とイランからのみ武器を得ることができると述べた。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のデータによれば、韓国は、ロシアのウクライナ侵攻を好機に変えた「敵国の兄弟」北朝鮮より良い状況にある。ウクライナで戦争が起こるよりずっと前に武器輸出を増やしていた韓国政府は、世界で9位まで浮上した。それどころか、韓国の目標は2027年に世界第4位の武器輸出国になることである。

■1000両の戦車の注文

去年170億ドルの武器を輸出した韓国政府の最大の顧客は145億ドルの東欧ポーランドである。エコノミスト誌によれば、ロシアと対峙しヨーロッパを守る際、自らを最前線に置くポーランドが、韓国政府と結んだ武器取引は驚くべき規模である。一連の武器には1000両のK2ブラック・パンサー戦車がある。180両の戦車は韓国自国の軍隊の在庫から送られ、820台の戦車がポーランドでライセンス生産される。

エコノミスト誌は1000両の戦車の注文の規模について、英国、フランス、ドイツ、イタリアの軍隊でもこの数の戦車は保有していないとして強調した。

また48機のT-50ゴールデンイーグル戦闘機も含む発注リストには、数百両の多連装ロケットシステムと自走迫撃砲も含まれている。ウクライナの西隣国、そして最も友好的な同盟国の一つであるポーランドは、ウクライナ政権との穀物輸出紛争を理由に、ウクライナへの武器援助は今後行わないと発表した。

■トルコの急成長

エコノミスト誌は、速やかな引き渡しで際立った韓国にトルコが続くと明らかにし、トルコ政府はこの20年に行ってきた投資により武器生産をほぼ自国で調達することを目指していると書いた。

同誌は、欧米諸国が課した制裁が先述した武器生産をより喫緊なものにしたとし、SIPRIのデータによると、トルコの武器輸出は過去5年間で69%増加し世界の武器市場におけるシェアを2倍に引き上げた、と明らかにした。

トルコ国内防衛組織が7月発表した報告書についても言及したエコノミスト誌は、トルコの防衛・航空製品輸出が2022年に前年比38%増加し、44億ドルの水準に達したと報告した。

■軍艦の新たな販売が期待されている

トルコ政府の2023年目標は60億ドルであると記述した同誌は、パキスタンがトルコから新型の潜水艦と軍艦を購入したと書いた。エコノミスト誌は、トルコが生産した軍艦は価格競争力があり新たな販売が期待されると述べつつも、無人戦闘機がアンカラの武器輸出を牽引していると記した。

■アメリカより安く、中国より信頼性がある

同誌は、トルコが7月18日に無人戦闘機アクンジュにつきサウジアラビアと30億ドルの契約を結んだことに触れ、同無人戦闘機がアゼルバイジャン、ウクライナ、リビア、エチオピアの戦闘で使用された無人戦闘機バイラクタルTB2を販売したバイラクタル社により生産されていると伝えた。

エコノミスト誌は、アメリカがドローンのMQ-1プレデターをトルコに売却するのを拒んだことを受けてバイラクタルTB2が開発されたと述べ、トルコの無人戦闘機を手にするため現在では20を超える国が待機していると伝える。バイラクタルTB2が、アメリカのドローンよりもより安く、容易に手にできるものだとし、トルコのドローンが中国のものよりより信頼性が高いとも付け加えた。

■アクンジュは湾岸諸国から買い手を見つける

エコノミスト誌は、無人戦闘機アクンジュはより強力であるとし、空対空ミサイルや、射程250キロメートルの国産ステルス巡航ミサイルSOMなどのより重い兵器を搭載できると述べた。また同誌はアクンジュは米国への武器依存を減らしたいアラブ首長国連邦、オマーン、カタールなどの湾岸諸国の中から買い手を見つけるだろうとコメントし、これらの国々は、トルコのことを後続したい模範例として考えると同時に即戦力のパートナーとしても考えていると付け加え得た。

■少なくとも一カ国がトルコ政府と交渉

エコノミスト誌は、トルコが注力しているものが取り組んでいる他のプロジェクトからも明らかであると指摘し、最近進水した艦隊の旗艦アナドルにはバイラクタルTB2が搭載されると述べた。同誌によれば、少なくとも湾岸諸国の一つが同様の2万5千トンの船の購入に向け交渉を行なっている。

■F-35への対応:カアン

第五世代戦闘機カアンが2023年内には飛行する予定であると述べた同誌は、カアンはトルコがF35計画から除外されたことへの対応として見ることができるとコメントした。エコノミスト誌によれば、トルコは、アメリカがF-35を販売しなかったり、アメリカ政府の条件を受け入れないすべての国に航空機を販売するという。ここでも湾岸諸国が最初に購入を希望する可能性がある。

■中国は顧客をうんざりさせ、トルコに扉が開かれた

同誌よると、インタビューを受けた国際戦略研究所のトム・ウォルドウィン氏は武装無人航空機市場の支配を目指す中国は低品質と脆弱なサポート体制に耐えかねて顧客を失っていると述べた。同氏によれば、この状況はトルコへの道を開いたという。

エコノミスト誌は、トルコと韓国を各国が収益性の高い武器産業を確立するための例として挙げた。インドはどうするとこうなれないのかを示す教訓であった。


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翻訳者:芝田幸恵
記事ID:56361