アゼルバイジャン、トルコ抜きのスペインでの和平会談参加を拒否

2023年10月04日付 Milliyet 紙

アゼルバイジャン大統領がスペインでの会談を受け入れなかった、その舞台裏にはフランスとドイツの特別な努力があった。アメリカの雑誌「ポリティコ」は、カラバフの運命が変わる前にイスタンブルでアメリカ、ロシア、EUが秘密の会談を行ったと記した。

カラバフで武力によって作り出され、32年続く占領体制は2023年9月28日正午に署名された決議によって終了した。カラバフの分離主義アルメニア人が設立した体制に終止符をうった署名がなされた日付は、偶然にも3年前に始まった戦争開始日の翌日と重なった。アゼルバイジャンは、トルコの支援とともに勝利を収めた2020年の第二次ナゴルノ・カラバフ戦争の後、9月19日に開始した軍事作戦によって1日で南コーカサスの運命を完全に変えた。

カラバフの全領土を占領から救った一方、アルメニアから、特に集団安全保障条約機構のリーダーであるロシアへの大きな怒りがあった。約3年間ロシアとの大きな危機を経験したアルメニアは、ついにウラディミル・プーチン逮捕につながる国際刑事裁判所への加盟を承認した。

■30年続く同じ作戦

国際報道通信社のAFPによって、世界で最も長く、また明らかに最も合意への道が長い「凍り付いた紛争」の中の1つであるカラバフでは、アゼルバイジャンの勝利まで陽動作戦が主流であった。アルメニアがアゼルバイジャンの領土を、殺人を犯して侵略した後1994年にカラバフ問題の解決のため、欧州安全保障協力機構の主導でミンスクグループを設置した。フランス、ロシア、アメリカが議長をつとめたこのグループに、トルコ、ロシア、イタリア、ベラルーシ、スウェーデン、フィンランドが加盟した。何年も続いた交渉の末、2007年にはアルメニアとアゼルバイジャンが前向きに歩み寄る計画が提案されたものの、なんの成果も得ることはできなかった。

国境線で致命的な紛争が発生する中、アルメニアは多くの理由を主張してアゼルバイジャンの領土から撤退することを受け入れなかった。2020年9月27日に始まった戦争で、44日後のアゼルバイジャンの勝利、アルメニアの完敗に至るまで。第二次ナゴルノ・カラバフ戦争から約3年後、アゼルバイジャンが再び作戦のボタンを押し、地域で占領体制を崩壊させた。アルメニア分離主義者が武器を放棄し、紙の上での体制を解体した一方、アゼルバイジャン当局とカラバフの住民の間で再統合のための会談が始まった。

■世界でニュース速報

さらに、アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領とアルメニアのニコル・パシニャン首相が明日、スペインで会談することが見込まれていた。両者の間で停戦合意のみが存在し、和平交渉が議題となっていたからだ。しかし、アリエフ大統領は今日グラナダへ行き、パシニャン首相と会談することを拒否した。

アゼルバイジャンのメディアは、バクー政府はトルコが絶対に参加することを望んでおり、この提案が拒否されたためアリエフ大統領はスペイン行きを断念したと報じた。ニュースによると、フランス、ドイツはトルコが参加しないために特別な努力をした。

アゼルバイジャンの政府通信社APAによると、アリエフ大統領は5つの要因のために会談に参加しない。
・アゼルバイジャンに提案された「5カ国構想」(アルメニア、アゼルバイジャン、フランス、ドイツ、EU)において反アゼルバイジャンの空気が形成されていること
・フランス当局(防衛相・外務相)がアルメニア側であると明かしたこと
・フランス外務相のアルメニア訪問、軍事協力、フランス政府からアルメニア政府への武器と弾薬供給に関する声明
・シャルル・ミシェル欧州理事会議長のアゼルバイジャンに対する非難

■扉は完全には閉ざされなかった

しかし、アゼルバイジャン政府は扉を完全に閉ざしたわけではなく、「以前のEU・アゼルバイジャン・アルメニアの3者の形式となれば、アゼルバイジャンは会合へ参加する可能性がある」と述べた。これに加えて、アゼルバイジャンはフランスの参加するあらゆる会合には参加しないことを明確に表明した。政府通信社のニュースでは、「フランスの参加するあらゆる会合は、アゼルバイジャンにとって受け入れられるものではない。アゼルバイジャン政府はそのような会合に参加することはない。」と述べられた。フランス通信社のAFPも、アリエフ大統領が会談を拒否したことの裏側には、「高まる反アゼルバイジャンの雰囲気」があるとしている。

■秘密の会合はイスタンブルで

アメリカの雑誌「ポリティコ」は、アリエフ大統領とパシニャン首相の会談から1日前、アメリカ、EU、そしてロシアの当局者がカラバフ紛争を解決するためにトルコで秘密の会談を行ったと記した。各国の予定外の緊急に開かれた会談は、アゼルバイジャンの軍事作戦に先立って行われた。会談はロシアのウクライナの侵略後、西側諸国がロシア政府と触れる稀な機会として記録された。

匿名を希望するある上級外交官は「ポリティコ」に対して、イスタンブルでの会合ではこの地域に住む10万人への食糧と燃料の供給について話し合われたと述べた。

■誰が参加した?

秘密の会合では、アメリカは政府コーカサス交渉上級顧問であるルイス・ボノ氏が代表となり、EUはトイヴォ・クラール氏を代表として派遣した。ロシアはウラディミル・プーチン大統領のアルメニア・アゼルバイジャン関係におけるイーゴル・ホヴァエフ特権大使が代表として出席した。米露間での最後の主要なコンタクトは、3月に外務省レベルで行われたものであった。

■アメリカ政府から声明はない

またも匿名を希望するあるEU外交官は「ポリティコ」誌へ、「誤解を避けるために対話のチャンネルを開いておくことが重要だ」と語った。この外交官はまた、EUのロシアとの対話のチャンネルも開いておくように努めていると述べた。

アメリカ国務省のジョン・カービー報道官は、会談についてコメントを避け、「特別な外交協議に関してはコメントしない」とだけ述べた。しかし、この問題に詳しい別のアメリカ人外交官は、会合の動機はロシア政府がこの地域で未だ権力を握っているという理解にあると述べた。アメリカ人関係者は、「この問題に関して、ロシアには一定の影響力があるため、彼らと協力する必要がある」と述べた。

■トルコの要因

ロシアは第二次ナゴルノ・カラバフ戦争の後、地域へ平和維持軍を配置したが、この部隊の任期は2025年に満了となる。国際メディアは、アゼルバイジャンのカラバフの全領土を侵略から完全に救った「雷の動き」の後、ロシアの南コーカサスでの影響力が低下したこと、アゼルバイジャン政府の1番の同盟国のトルコがより強力な位置に立ったことを2週間で複数回報じた。


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翻訳者:伊永勇人
記事ID:56417