Özay Şendirコラム「イスラエルの最悪のシナリオ:

2023年10月20日付 Milliyet 紙
「この戦いが終われば、ハマスはガザからいなくなるだろう。それと同時に、ガザの土地は縮小してしまうだろう。」

イスラエル軍のラジオ局から流れたこの言葉は、イスラエルのエリ・コーヘン外相が発したものだ。

「ガザの土地は縮小してしまうだろう」とは、イスラエルが緩衝地帯を設けようとしていることを指す。

イスラエルの都市とガザの間にさらに無人のエリアを設けようとするのは、平和ではなく継続的な衝突を意味する。

ガザは端から端まで凡そ360平方キロメートルであり、この狭い地域に200万人もの人々が住んでいる。

狭い海岸線沿いに押し込められた人々を、さらに狭い土地に住まわせて平和は実現することがない。

圧力鍋に詰め込みすぎれば破裂するように、イスラエルのシナリオも同様の結果になり、結果としてさらなる血が流れる原因となる。

イスラエルが追及する政治がパレスチナ人のみならず自国民の生活も危険にさらしていると気付くには、あとどれほどの人が死ななくてはならないのだろうか...。

■アメリカのイスラエル熱の理由とは…

・アメリカでは、誰が大統領に選ばれようと、イスラエルと良い関係を保つことは不可欠だ。例えばオバマは、大統領時代の初期に入植者政策を理由にイスラエルを批判していたが、撤回を強いられた。

・このイスラエル熱の発端は、あまり注意していなかったところから説明する必要がある。福音派たちは、アメリカで徐々に力をつけていた。プロテスタント教会の最も保守的なグループといえる福音派たちは、1980年代のレーガン大統領の時代以降、アメリカ政治において徐々に力をつけていった。

福音派たちの信条によると、将来地球上の覇権をイスラエルの民が握り、来世はキリスト教徒のものとなる。しかし彼らの信仰によると、最後の審判はイスラエルの民が覇権を握ることで始まるため、キリスト教徒が天国にたどり着く道は、イスラエルの民の願いが実現することで可能となる。神学上の要旨はおよそ以上のようなことだが、政治的な現実はもっと明白だ。トランプを大統領の座につけた投票は、総有権者の20%近くを占める福音派たちから得ている。

・アメリカで政治を行う者にとって、寄付を集めることは半ば当選するということを意味する。ユダヤ人達の資本力、メディアの影響力、ロビー活動規模は寄付を募り当選するために決して無視できない力である。アメリカでは、選挙まで12か月と16日しか残っていない。すなわち、イスラエルへの支援はさらに増加することになる…。

■これは宗教戦争ではない…

・西欧のメディアは、イスラエル政府のパレスチナ政策を非難することをユダヤ人への憎悪のように捉えている。しかし、これは宗教戦争ではない。

・ヨーロッパの極右は、現在の展開をイスラムフォビアを拡大させるために利用しているが、ヨーロッパでは何百万人ものムスリムが平和のうちに暮らしている。

・トルコでは10月7日以降、[パレスチナの]民間人に企てられたあらゆる行動を非難することに成功した。これに対し、「文明化された世界」を自称する西欧は、ガザにおける民間人の死亡や集団的報復を見て見ぬふりを決め込んでいる。

・平和とは対象を見分けながら、また、死者や加害者の信仰・言語・肌の色から判断して訴えはできまい。

■ガザのためにCHPは…

・政治的左派の信条は、ある場所で集団的報復が行われ、子供たちが殺されているなら黙っていることはできない。

・共和人民党(CHP)は、社会主義インターナショナルのメンバーとガザで殺された子供たちの名の下に行動を起こし、緊急会合を要請できる。

・会合が開かれるか否かはそれほど重要ではなく、大切なのは亡くなったすべての子供たちに心配りを示し、反発が示されることである。各国政府と武装闘争を行うグループが同じような方法を行使できないと強調することである。


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翻訳者:関口ひなた
記事ID:56553