ヒズボラ指導者ナスルッラー、沈黙を破る

2023年11月03日付 Hurriyet 紙

ヒズボラの指導者であるハサン・ナスルッラーフは今日始めて一般向けに演説を行い、イスラエル・ハマス間の戦争に関する沈黙を破って「我々はパレスチナのために連帯している。抵抗勢力がイラク・シリアの米軍基地を攻撃する予定だ。米国がこの代償を払うべきだ。戦争と暴力を終わらせなければならない。この抵抗運動におけるハマスの勝利を保証せねばならない。我々はこの戦争に10月8日から加わっている」と述べた。

ヒズボラが戦争の開始後ハマスを全面的に支援しているということが判明した後もなお、ヒズボラが全体的な形で戦争に参加するのかしないのかはここ最近の最も注目される事柄だった。ヒズボラはわずか数週間の間に戦闘員およそ50人を失った。

死者のために行われた追悼式典における、ヒズボラの指導者であるハサン・ナスルッラーフの演説は次の通りだ。

アクサの戦闘は2つ以上の戦線に拡大した。これは神のための戦争だ。通りに出て、デモであなたたちの反応を示してほしい。アラブ諸国、イスラーム諸国に話しかけている。我々はこの道に心を決めた。我々はパレスチナのために連帯している。イラク、イエメンのヒズボラに対しても、この戦争への参加を感謝している。国連や国連総会、EUもアラブ連盟もパレスチナのためには何もしなかった。このシオニスト政権とワシントンにおける協力者に対しては何かがなされるべきだ。

我々の主要な軍勢は揺らがないと信じている。我々は決断しているし、このプロセスに注力している。

ナスルッラーフの背後には「悔悟」の第14節が書かれている。「彼らと戦いなさい、神はあなたの手で彼らを罰し、彼らを辱め、あなたを彼らに勝たせ、ムスリムの社会を癒やす」

■我々の立ち位置を明確にする。これは神の道における戦いだ

パレスチナの人々、ガザ地区の人々に敬意を表する。彼らの姿をテレビで見た。男性、女性、子供や赤ん坊が瓦礫の下から這い出ていた。彼らが市民に対して行ったことは言葉では言い表せない。彼らの勇気や忍耐は言葉では説明できない。同じことはヨルダン川西岸地区のパレスチナ人にも言える。

今日我々の立ち位置を明確にする。これは神の道における戦いだ。10月7日に何があったか?言うべきことはあり、短くまとめる。パレスチナ人が味わってきた痛みは不思議なことではない。ここ数年、このような馬鹿げた、そして暴力的な政権の下でとても難しい時間を過ごしてきた。

第一に捕虜だ。パレスチナ人の捕虜は死の淵に立たされている。誰も指を動かせない。人質の命はより難しい状況にある。

第二にエルサレムだ。1976年のエルサレム占領以降、見ることができていない景色がある。正当でない包囲が20年間続いている。誰も指を動かせないでいる。

第三にヨルダン川西岸地区周辺の脅威だ。イスラエル人が違法に入植している。

■作戦については我々も知らず、決定は指導者が下す

ハマスが10月7日に下した決定は二面性を示した。いつわりの表現をする者たちを示した。アクサ洪水作戦は100%のパレスチナ人が対象だ。作戦の秘密は我々にも隠されていた。これはパレスチナ人のために行われた。誰が仲間で誰が敵なのかを明らかにしてほしい。アクサ洪水作戦で起きていることは、次のようなことを証明している。実際に決定を下している人たちは抵抗組織の指導者だ。

■米国の支援は、イスラエルがうまく行っていないことを証明している

作戦により大きな衝撃が走った。アクサ洪水作戦の影響と結果が忘れられることはないだろう。この作戦により扉が開き、次のようなことがわかった。イスラエルの脆さが明らかになった。蜘蛛の糸よりも脆い。イスラエルの市民は次のことを信じている。仮にイスラエルが蜘蛛の糸より脆いならば、このような現実となるであろう。

米国政府は、バイデン大統領に代表される。米国がイスラエルを支援しないという決定を迅速に下したことにより、次のようなことがわかった。イスラエルが勝利しないことがわかった。その後、彼らはガザ地区を完全に包囲した。

イスラエルは侵攻初日以来、新しい武器やミサイルを米国に要求した。これは強い国家なのか?これは不可侵の軍なのか?

■イスラエルはまだ学習していない

すべての物事が落ち着いたとき、世界は次のようなことを学ぶだろう。ガザ地区のすべての人々が軍の残虐な行動により殺害された。この事件に反して、イスラエル政府はまだ学習していない。

彼らが望んでいるのは、ハマスを完全に殲滅することだ。他の目標は人質を奪還することだ。イスラエルは、ただ軍事的な成功だけを収められなかった。イスラエル軍はハマスに勝てない。

イスラエルは地上作戦を開始しようとしている。しかし、彼らの限度のある作戦を勇敢なパレスチナ人組織が迎え撃つ。

■戦争の全面的な責任は米国にある

戦争の全面的な責任は米国にある。米国はイスラエルへの批判を黙殺し、停戦の目前で立ち止まっている。米国は世界最大の悪魔である。広島からベトナムまで、アメリカが責任を追うべきだ。彼らはその行為によって罰せられるべきだ。

■米軍基地を攻撃する

抵抗勢力がイラク・シリアの米軍基地を攻撃する。米国はこの代償を払うべきだ。イラクで、そしてガザで行われて来たことの代償を払うべきだ。

■ハマスの勝利を保証するべきだ

我々は戦争と攻撃を終わらせるべきだ。ハマスのこの抵抗運動の勝利を保証するべきだ。ガザ地区での勝利はパレスチナ人の勝利を意味し、その地域のすべての人々の勝利を意味する。

■イスラーム諸国は行動すべき

イスラーム諸国は行動すべきだ。イスラエルに対する石油・天然ガスの輸出を止めるのだ。思いとどまり、彼らにガスを売ってはならない。

イラクでのイスラーム抵抗運動が始まった。イエメン軍とイエメンの人々は脅威にもかかわらずミサイルを発射した。

■我々はもうこの戦争に加わっている

我々が戦争に参加するだろうと言われている。我々はこの戦争に10月8日から既に参加している」

■イスラエルは警戒している

イスラエル軍の報道官は、ナスルッラーフの声明の前に発した声明で、同国の北部が「厳重警戒状態」にあると述べた。

イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は、イスラエル軍が全ての戦線で反撃する準備ができているとしたうえで「北部は厳重警戒状態にある」と述べた。

■西側メディア「転換点になりうる」

ナスルッラーフの声明は何日もの間期待されていた。西側メディアの分析では、ナスルッラーフの声明がイスラエル・ハマス間の戦争における転換点になりうるとされている。

■米国「ヒズボラはハマスより遥かに大きな脅威」

米国の高官は、ヒズボラがハマスより遥かに大きな脅威だと考えている。ヒズボラが戦争に参加したという状況で、米国政府は米国とイランとの間でも戦争になることを懸念しており、イスラエルが「多方面の戦線で戦っている」ことについて何度も警告している。

■イスラエルにとっての最悪のシナリオ

ヒズボラの常備軍ならびに予備軍も含む総戦力は60000人と推測される。2006年には14000発とされていたミサイルの弾頭数は現在150000発に増加していると考えられる。

ハマスよりも強力で経験豊富な軍を保有するヒズボラの参戦が、イスラエルにとっての最悪のシナリオだと評されている。


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翻訳者:神谷亮平
記事ID:56640