収監中の元HDP党首デミルタシュ、裁判所で証言

2023年12月05日付 Cumhuriyet 紙
元人民の民主主義党(HDP)の共同党首セラハッティン・デミルタシュ被告が政府や国家機関を公然と侮辱した罪状で裁かれる裁判が始まった。裁判に音声画像情報システム(SEGIBS)で接続したデミルタシュ被告は、「私はクルド人で、クルド人の政治家だ、私が裁かれる理由はこれだ。私がトルコ人至上主義者だったら、捜査が行われることなど一度もなかっただろう。発言を撤回するつもりはない。」と述べた。

メルシン第14刑事第一審裁判所での審理に元HDPの共同党首のセラハッティン・デミルタシュ被告が、7年間拘留されているエディルネ刑務所からSEGBISを通じて参加した。人民の平等と民主党(HEDEP)メルシン選出国会議員のアリ・ボザン氏と、同党の幹部らが裁判を傍聴した。

法廷でデミルタシュ被告を弁護するために25人の弁護士が出廷した。弁護団は、訴えについて弁護を行った。

『プラスの真実』のアビディン・ヤームル氏の報道によると、オズギュル・オズベク弁護士は「10個の別個の捜査資料がまとめられたが、これは10名の検察官が関わったということである。被告に有利な証拠も集められるべきであるにもかかわらず、被告に不利な証拠のみある。問題になっている発言は、議員時代に行われた。国会で行われた発言に由来する不逮捕特権と免責は議会の外での発言にも適用される。検察側は、こうした発言が議会でもあったのかと調べるべきだった。まとめられた捜査資料では、ディヤルバクルの2つの資料が抜けている。この他、裁判所が求めた国会の議事録の一部が抜けている。このため、審理の延長を求める。捜査資料中の2つのDVDと一つのCDが破損している」と主張した。

■ベシュタシュと当時の内務副大臣に聞くべきだ

ジズレで発生した事件に関する発言を理由にデミルタシュ被告に対して行われた告訴に対しても反証したオズベク弁護士は、「マルディン初等刑事裁判所の資料のジズレ事件に関する裁判で、オスマン・バイデミル氏の証言は聞かれたのに対し、メラル・ダヌシュ・ベシュタシュ氏は聞かれなかった。依頼人とHDPが争いを止めるために行った努力を確認し、ジズレで何があったかを理解するには、メラル・ダヌシュ・ベシュタシュ氏と当時の内務副大臣の話を聞くべきだ。」と語った。

■普通の知性なら誰もがこれらの発言が同じであるとわかる

マフスニ・カラマン弁護士は、「デミルタシュ被告が起訴される原因となった発言が国会での発言と似ていることは、免責のうちに含まれるべきであると7年間主張してきた。残念ながら、これに注目してくれた裁判所も裁判官もいなかった。欧州人権裁判所(AIHM)は、依頼人のこの請求が裁判所によって配慮されなかったことに驚いたと判決の中で明言した。集会で行われた発言と国会の発言が同じであることは周知の事実である」と語った。

■デミルタシュ被告:あの軍人や警察官の中から7月15日のクーデター未遂後に企図者が出たのか?

弁護人らに続いて弁明を始めたセラハッティン・デミルタシュ被告は、「この裁判はヨーロッパ人権条約(AIHM)14条及び18条を侵害している。私がクルド人政治家であったために裁判の期間に差別がおこなわれた。イデオロギー的・政治的に物事を見て、国家の犯罪を隠蔽しようとしている検察は、軍人と警察官が[クルド組織が設けた]塹壕に対し戦ったと述べた。私が彼らを侮辱したと言った。ではあの軍人と警察官の中から[クーデター未遂が生じた]7月15日以降にクーデター企図者が出たのか。出た、では検察は彼らを調べたのか」と述べた。

デミルタシュ被告の主張は続いた。

「検察は、私が国民議会議員であり、野党の党首であり、国民であることを、当時の政治の雰囲気を、警察と軍に『全部めちゃくちゃに壊してしまえ』と国会から指示した者たちを、司法の政治化を、私やジャナン・カフタンジュオール氏、セルチュク・コザアアチリ氏に有罪判決を出した裁判官が昇格されたのを、顧慮しなかった。私について『テロリストのデミルタシュ』と1500万のツイートがあることを配慮しなかった。」

■デミルタシュ被告は拷問の写真を見せた

様々な県で遺体に対して行われた拷問に関する写真を見せたデミルタシュ被告は、「検察よ、私がでたらめを言ったのか、もしくは具体的な出来事に基づいて言ったのか、調査したのか?あなた方が守るべきなのは、この屈辱的行為を行っている人々ではなく、人道性である」と述べた。

■「10万年収監されても言い続ける」

「私はクルド人であることを理由に裁かれる」と述べたデミルタシュ被告は言葉をつづけた。「私がレイシスト、ファシストのギャングのリーダーであったなら、裁判にかけられることはなかった。10万年収監されても私は言い続ける。あの当時発言が少なすぎたくらいだ。私を選んでくれた何百万人もの人々は、私を、この真実を言うために選んだ。これを言わないことは恥である。私たちの主張は正当だ。裁判所が私の民族的アイデンティティや、政治的アイデンティティを理由に被る差別をなくせば公正な司法になる。」

■弁護側の請求は却下された

デミルタシュ被告の抗弁の後、裁判官団は弁護側の請求をすべて却下し、新たな審理期日を2024年5月15日と決定した。裁判所は不足している資料、DVD、CDと国会議事録を請求することを決定した。

(後略)


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翻訳者:佐藤はつみ
記事ID:56841