SNSでのボイコット呼びかけに、検察捜査
2025年04月02日付 Medyescope 紙
イスタンブル共和国主席検察局は、ボイコットを呼びかけた人々に対して、独自に捜査を開始した。
検察が行った声明は以下の通り。
「伝統的メディアおよびソーシャルメディアといった報道機関で、国民の一部が経済活動実施を妨害するよう仕向け、世間で『ボイコット』喚起と知られる分断的な言説を述べた人々、及びこの言説を拡散した人々に対して、『憎悪と差別により国民の憎しみと敵意を助長した』罪により独自に捜査が開始された。」
◾️「金銭的損害を被った人々は、損害賠償請求を起こすことができる」
検察発表から間も無く発言したオメル・ボラト通商大臣は、「ボイコット呼びかけを行った人々に対して、取引上で金銭的損害を被った人々は、損害賠償請求を起こすことができる。」と述べた。
◾️「誤りに陥っていたことを理解するだろう」
大統領府のファフレッティン・アルトゥン情報通信長官は、4月2日のボイコットに関して、SNS上で声明を発表した。アルトゥン長官は、ボイコットを国益に対する妨害の試みと見なし、次のように述べた。
「反対意見を持つ国民の政治機関に向けた要求と期待を、まるで自らの私益を慮って犠牲にする者たちは、彼らの希望をあたかも小銭のように浪費する破綻した政商であり、自分たちの船に乗りあちこちに指図しようとする『文化的支配』の番人たちであり、彼らが見せたファシスト的姿勢の結果に直面した際に、どれほど重大な誤りに陥っていたのかを理解するだろう。トルコは揺るぎなく、強力である。そして、トルコは、国民の意思とレジェプ・タイイップ・エルドアン大統領指導のもと、道を進み続ける。」
◾️「野党は敗北する運命にある」
ジェヴデト・ユルマズ副大統領は、SNS上での声明で、ボイコットの決定に対して反発を示した。
「我々の課題は、外交、民主主義、開発の分野で我々の隘路をさらに先に進めることである。社会の平和、繁栄、国民の統一は、政治機関の共通の責任である。民主主義に不可欠な野党は、合法的な土台の上で、建設的な提案と批判により形作られる。街頭デモやボイコットの呼びかけにより、社会的平和と経済の安定を脅かす野党は、敗北する運命にある。分断的、脅迫的、対立を煽る言説を基本とし、法律を無視する政治スタイルは、歴史の前に、国民の良心を前にして報いを受けるだろう。」
アリ・イェルリカヤ内務大臣もボイコット決定に反対した。Xアカウントでの投稿で、次のように述べた。
「忘れてはならない。この呼びかけは経済的独立性に向けた妨害なのである。このボイコットの呼びかけは、何千人もの人々の生活を脅かすことを意味するのだ!この呼びかけは、国家経済への暗殺行為である!我々自身の生活を貧しくすることである。私たちの経済へのクーデター行為である!しかし、我々は『ボイコットではなく、生産によって成長する』のだ!トルコ共和国は、法治国家である。脅迫、指を振る威嚇、街頭デモやボイコットの呼びかけでは、屈服することはない。」
メフメト・ウチュム大統領主席顧問も、Xアカウントでボイコットに対して以下のように書いた。「狙いは、正当な要求を示すことではない。目的は何らかの権利を手に入れることではない。目的は、社会的、政治的、経済的混乱を引き起こすことである。目的は、グローバル帝国主義と新自由主義政治に奉仕するような政権交代を実現することである。」
共和自民党(CHP)党首のオズギュル・オゼル氏は公正発展党(AKP)党首であるレジェプ・タイイップ・エルドアン大統領の2008年の言葉に触れ、以下のように述べた。
「タイイップ・エルドアンに許されることは、国民にとって禁じられるわけがない!ボイコットは、民主主義における権利である。2008年にメディア・ボイコットを始めたのは、まさにエルドアン自身である。今日ボイコットを非難する無自覚な人々は、最も悪しき者の弟子達だ。矛盾を恥じず、嘘に縋る人びとは、またしても恥を晒した。さあどうぞ…」
◾️「見ようとしない者に知らせるためだ」
アンカラ広域市マンスル・ヤヴァシュ市長は、SNS上で出した声明で、ボイコットは犯罪ではなく、表現の自由であると述べた。ヤヴァシュ市長は、声明で以下のように述べた。
「一市民が憲法の枠内で消費選択をすることは、犯罪ではなく、表現の自由である。市民は、何を買うか買わないか、自分で決定する。問われるべきなのは、国民の選択ではなく、国民をこうした選択に追いやった者たちである。ボイコットはただの反応ではなく、叫びだ。それは、見ようとしない者に知らせるためのものだ。」
◾️「主席検察官は何をしようとしているのか?」
トルコ労働党(TIP)のエルカン・バシュ党首は、イスタンブル共和国主席検察局がボイコットの呼びかけに対する捜査を開始したことに関して、「明日、この国の何百万人もの市民が一斉に買わない自由を行使するだろう。それでは、イスタンブル共和国主席検察官は、タイイップ・エルドアンでさえ自由とみなしたボイコット呼びかけに向け捜査を開始して、何をしようとしているのか?どこへ辿り着こうとしているのか?」と疑問を呈した。
◾️どのように始まったのか?
トルコで最近高まっているボイコットの波は、CHPのオゼル党首が、イスタンブル広域市エクレム・イマムオール市長が逮捕されたことに対する反発として、抗議活動を無視するメディア機関や一部の企業に対してボイコットを呼びかけたことによって始まった。
この呼びかけののち、ボイコット対象の企業をリストアップした「boykotyap.com」という名前のウェブサイトが作られた。アンカラ第4初等刑事裁判所の決定により、このサイトへのアクセスが制限された。
「yandaslarboykot.com」と「boykot.web.tr」もアクセス制限がされているサイトの中に含まれている。
サイトが禁止されると、サイトは新しいドメインで「boykotyap.net」として開かれた。
イマムオール氏も、拘束されているシリヴリ刑務所から声明を出し、オゼル氏が始めたボイコット呼びかけを支持し、メディアとビジネス界を選択をする時が来たと述べた。
抗議活動をしている多くの大学生は、反応として学校で「授業ボイコット」を始めた。
学生たちは、キャンパスでのボイコットを経済ボイコットへと発展させることを決定した。
トルコの多くの県の大学生たちは、「私たちは、経済的な力を行使し、バイラム後、消費を一日休止します。」と述べ、4月2日に経済ボイコットを実施する予定である。
経済ボイコットの呼びかけを行った人々の中には、ボアジチ大学、中東工科大学、ガラタサライ大学、イスタンブル大学までに及ぶ多くの大学の学生が含まれている。
オゼル氏が始めたボイコット呼びかけは、文化芸術イベントを主催するDBLエンターテイメントにも波及した。
◾️DBLエンターテイメント、全てのプロジェクトから撤退
ドルマバフチェ株式会社傘下で活動をしている会社のオーナー、アブドゥルカディル・オズカン氏のSNS投稿が大きな反発を招き、世界的に有名なアーティストたちのコンサートイベントがボイコットの対象になった。
反発を浴びる人物、アブドゥルカディル・オズカン氏は、SNS上で出した最新の声明によって、DBLエンターテイメントとして全てのプロジェクトから撤退したと伝えた。
◾️オゼル氏のボイコット呼びかけ
オゼル党首は、SNS(X)上で、大学生たちの消費ボイコットを支持すると表明した。全ての人を4月2日のボイコットへ誘ったオゼル氏は、「全ての人に、このボイコットに参加し、消費から生まれる力を行使するよう呼びかけます。国民が、国の真の所有者である。」と述べた。
オゼル氏の投稿は以下の通り。
「3月19日不法行為に対して最前線で抵抗しながら自分たちの未来を訴えた大学生たちのうち301人が不当に逮捕され、バイラムを家族と離れて過ごしている。学生、母親、父親、兄弟に対して行われたこの不正に対して、若者たちが始めた消費ボイコットを、私は心から支持します。全ての人に、このボイコットに参加し、消費から生まれる力を行使するよう呼びかけます。国民が、国の真の所有者である。国を国民に対して対立させた一握りの不法勢力は敗れるだろう。勝つのは国民だ。」
AKP報道官のオメル・チェリキ氏は、オゼル氏がボイコット呼びかけを支持したことに対して反発し、次のように述べた。
「彼が今行っているのは、もはや政治的な野党ではなく、トルコ全体を脅かすことである。オゼル氏は社会生活を分断すること以外に、野党としての能力がないことが明らかになった。国民は、偽りの政治と攻撃的な政治家たちをボイコットすることになるだろう。」
この記事の原文はこちら
翻訳者:田端咲希
記事ID:59908