シリア:中央銀行による制限措置が「平行経済」を助長するおそれ
2025年05月07日付 al-Mudun 紙

■銀行預金の引き出し上限が闇市場を増強させ、投資を遠ざける
【本紙】
経済専門家らが本紙に明らかにしたことによると、シリア中央銀行が課している引き出し・送金・預金への厳しい規制は、シリアへの投資流入を妨げているだけでなく、闇市場や非公式の送金ネットワークを活性化することにより、平行経済の役割を助長させ、これを非常に効果的にさせているという。
シリア中央銀行は今年1月に、シリアの大多数の銀行口座の凍結を解除すると発表し、この決定により、預金者が引き出しや送金を申請し、預金処理を制限なく実行できるようになる可能性が示唆された。しかし国内・経済系の複数筋が本紙に語ったことによると、これらの申請に関しては、銀行の流動性に基づいた審査がなされることを条件としていることや、預金が停止されているなかで一日の引き出し限度額が制限されていることなど、多くの障害が立ちはだかっている。
同複数筋によると、1か月以内に送金業者の法的な状態を是正する必要性について中央銀行が決定を行ったにもかかわらず、現時点では、銀行における流動性の欠如を理由に、シリアの国外送金は銀行ネットワークを介して行われていない。そのため、国民はシリアの全県でいまだ活発である闇市場の業者に頼ることを余儀なくされているという。
壊滅的な影響
経済学者ヤフヤー・サイード・ウマル氏は、現時点において、シリアでの銀行業務の実態は、特に引き出し制限に関して、経済を支えるものとはなっていないと考えている。大多数の銀行は一日あたりの引き出し額を30万シリア・ポンド(約25米ドル)以下、一週間あたり200万シリア・ポンド(約166ドル)未満と定めている。
同氏は本紙との対話で、こうした状況が個人や企業が銀行と取引することを阻んでいるため、当該の制限措置が「銀行の危険な麻痺」と考えられるとの見解を述べた。預金は停止されており、外国送金も銀行を介してではなく、民間業者もしくは平行市場の送金ネットワーク経由で行われているという。
さらに同氏は、これらの制限が投資に悪い影響を与えているとしつつ、それが銀行取引からの投資家離れのかたちで表れていると説明した。またこれらは銀行ネットワークを妨げ、非認可の送金業者の活動を助長しているとした。さらに同氏は、こうした制限は政府にとっても悪影響であるとしつつ、その理由として、平行市場における活動が国内金融市場に対する中央銀行の主導能力を妨げるだけでなく、銀行全体への信用を弱め、非認可の業者にとって有利なかたちでそれらを市場から締め出すことになるとの見解を示した。
(後略)
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翻訳者:田中友萌
記事ID:60095