シリア:カタールの支援金がシリア経済にもたらす影響

2025年05月13日付 al-Mudun 紙

■カタールからの支援金によって公務員の給与はどうなるか?

【本紙】

シリア政府がカタールから受け取った公務員給与を支払うための支援金によって、2つの重要な要素が保証された。すなわち、公務員給与をほぼ倍増させることとなった給与支払いのための資金確保、そしてシリア市場への流動性の流入である。

しかしシリアの複数筋によってリークされた、公務員給与の400%もの上昇という莫大な数値は論理的なものとは思えない。単純計算で2,900万米ドルに達する毎月の支援金は、年金受給者の分を除いて38米ドル以下である現在の平均賃金・給与額を倍増させるに十分であるようにみえる。

これまでシリアの複数筋は、カタールの支援金が総額8,700万米ドルに達し、延長の可能性もある3か月間で分配されると明かしてきた。そしてこれが、百万人以上の公務員の給料を、数か月にわたって最大400%にまで段階的に引き上げることを可能にするだろうとしてきた。

給与支給

学者で経済専門家のフィラース・シャアブー氏は、カタールの支援金はある程度給与支払い問題の解決に役立つものの、3か月間におよぶ一時的な解決策であると述べた。同氏は本紙に対し、この支援金はもっとも良くて、公務員の給与支払い額の約25%を補い、それと同率の給料増加に貢献できるにすぎないと明らかにした。

さらにそのもっとも重要な影響は、この動きがもつ「ポジティブなサイン」にあると続け、「この支援金は米国の承認後、各国に同様の措置を取るよう促す可能性がある」とした。

同様に複数の情報筋は本紙に対し、カタールの支援金は、7月から8月にかけて予定されている政府による給与の100%引き上げ計画に貢献するだろうと述べ、これは「給与の400%引き上げ計画に関する政府の言説が、約束の域を出ないことを意味している」とした。

さらに同複数筋は、シリアの経済状況が現状のままであり続けるのであれば、給与が400%引き上げられる可能性は低いと付け加え、「数千人の公務員を解雇することで、政府が給与引き上げを決定することは可能になるかもしれないが、それは大幅な割合とはならないだろう」とみなした。

さらに「カタールの支援金により、約百万人いる公務員一人当たりの給与が29米ドル増加することになる(現在の平均賃金は38米ドル)」と説明しつつも、「特にシリア政府が政府機関に新たに多数の人員を雇い入れているため、公務員の数に関する正確なデータは存在しない」と注釈した。

しかし同複数筋はカタールの支援金は「国家が経済面で経験している困難な時期を鑑みると、重要である」としつつ、「シリアに流入するこうした資金が、大多数のシリア人が陥っている厳しい生活状況を改善すること」への期待を表明した。

効果なしの400%

経済学者アドハム・クダイマーティー氏が本紙に述べたことによると、仮に政府が給与を400%引き上げられたとしても、それによって生活状況が改善するとは限らない。

同氏は現在の平均給与が40米ドル以下であり、つまりこの平均値を400%引き上げても200米ドルを下回るということを意味するとしつつ、この金額はシリアの物価やインフレ、生活費の高騰に対して全く見合っていないと説明した。

また給与引き上げは、通貨の流動性が増加することから事実上シリア・ポンドの価値下落と同義であるとし、「それゆえ、我々は経済的ジレンマの面前に立たされている」と語った。

さらに専門の経済筋は、シリアの中産階級の家庭における生活費は、最低でも月に900万シリア・ポンドを超えると推測している。

クダイマーティー氏の見解によると、シリアにおける全ての経済的解決策がシリアへの投資の流入と関係しており、「投資や生産プロセスの推進、国家への富の回復こそが、シリア経済をどん底から救い上げ、復活させることを保証するものである」と述べた。


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翻訳者:田中友萌
記事ID:60147