最低賃金、実質25%減
2025年05月29日付 Cumhuriyet 紙
年始に予想を下回って上昇した最低賃金は、インフレに直面して下降を続けている。共和人民党(CHP)をはじめとする野党は、最低賃金の引き上げに言及する一方で、賃金下落を補填するために行われることになる賃上げも明確になり始めた。最低賃金の4分の1が蒸発する一方で、予想される中間引き上げは6000リラを超えた。
トルコで2025年に適用されることになる最低賃金は、2024年12月末に突如召集された最低賃金確定委員会によって30%上昇して2万2104トルコリラに引き上げられた。2024年に44.38%のインフレのもとで行われたこの上昇は、国民からも不十分だと見なされた。最低賃金の不足に続き、3月19日プロセス(訳者注:イスタンブル広域市長をはじめとする野党系首長に対する一斉捜査)以降価値の下落が加速したトルコリラと購買力の下降水準が注目を集めた。低下した購買力により、7月に行われる可能性がある中間引き上げが議論された。
■以前の暫定引き上げ
2022年に最低賃金は4253,40トルコリラと定められ、中間引き上げと共に30%の割合で上昇し、最低賃金は5500トルコリラになった。
2023年、最低賃金は8506,80トルコリラと定められたが、7月に行われた中間引き上げで1万1402,32トルコリラとなった。
2024に1万7002,12トルコリラとなった最低賃金は、今回は年の中頃に引き上げが行われなかったが、2025年はインフレの下に留まる形で30%の引き上げが行われ、2万2104,67トルコリラが適用されることになった。
■中間引き上げが再び議題に
今年の最初の4か月で上昇したインフレ率とトルコリラの価値下落のため、この賃金の購買力は大幅に低下した。トルコ統計機構(TÜİK)によると、今年の最初の4か月でのインフレ率は13.35%であった。経済学者たちの計算によると、最低賃金の実質価値は1万9000トルコリラの水準まで下落した。最低賃金に対して年始にインフレの下で行われた引き上げと、年始から今日までの価値の下落で、7月の「中間引き上げ」への要望が再び議論に上った。
■「中間引き上げを議論するのは尚早」
労働社会保障大臣のヴェダト・ウシュクハン氏は、最低賃金の中間引き上げの要求に関し、「最低賃金に関して中間引き上げのことを議論するのは時期尚早だ。時が来て、必要な評価を行う。」と述べた。共和人民党(CHP)をはじめとする野党から中間引き上げの声が高まり続けている一方で、労働組合もこの件における声明を出している。
■トルコ労働組合連合からの委員会構造条件
トルコ労働組合連合のエルギュン・アタライ会長は、最低賃金の中間引き上げの可能性への質問に関し、委員会の構造を変えずに最低賃金交渉のテーブルに着くことはないと述べた。委員会の構造が変革されなかった場合、何が起きるのかということに関する質問に対しアタライ氏は、「それを政府に考えさせ、雇用主に考えさせましょう。この過ちの責任を負う立場も、力も我々にはありません。法律を変え、公正な委員会を作ろうと我々はここにいます。トルコ革新労働組合連盟(DİSK)も、トルコ真の労働組合連盟(HAK-İŞ)もここにいてほしいのです。私は、トルコ労働組合連合だけがここにいてほしいとは思いません。私には権限がなく、投票機会もない、この失態や過ちの責任を私がなぜ負うのでしょう?」と答えた。
HAK-İŞのマフムト・アルスラン会長は、「7月まで我々が状況を評価し、それに基づいて判断すると述べました。インフレがどの方面で確認されるのか、常に予測できません。このように問題が生じれば、もちろん声を上げます。」と述べた。
■政党から賃上げの求め
共和人民党(CHP)党首のオズギュル・オゼル氏は最低賃金の中間引き上げ問題で注目すべき発言をした。最低賃金が2万2000リラに引き上げられた後、3か月で実質的に下落したことを指摘するオゼル氏は、7月に中間引き上げが行われないという状況の後の6か月が、昨年より「悪化」することになると強調した。オゼル氏は「今日時点の最低賃金は2万2000リラでした。トルコ統計機構が言うことが正しいとして、実質3000リラの減少がみられた。2か月がこのように過ぎることになるだろう。トルコ統計機構によると、この減少は4500リラを超えるだろう。今後6か月で昨年よりも悪い日々が始まるでしょう。トルコ統計機構は労働者を搾取する実情にそぐわないインフレ率の数値を明らかにしている。パンのために戦い、パンのために要求しましょう。最低賃金を変え、中間引き上げを行うための闘いを絶対に我々はともに行わなければなりません。」と語った。
人民の平等党と民主主義(DEM)党は、高インフレのために購買力を失った労働者と退職者の状況を改善するため、トルコ大国民議会に調査提案を提出した。DEM党会派副代表であるセザイ・テメルリ氏、ギュリスタン・クルチ・コチイイト氏が署名した提案において同党は、人間の尊厳に値する生活のために最低賃金と最低退職金を3万9000トルコリラまで引き上げることを要求した。7月を待たず、労働者と退職者に対する中間引き上げを行う必要性を述べたDEM党は、最低賃金と最低退職金を、最低でも貧困ラインの半分である3万9000トルコリラまで引き上げることを提案した。
トルコ労働党党首のエルカン・バシュ氏も、「国民の購買力は地に落とされている状況だ。スーパーも市場も価格が跳ね上がり、請求書も高騰しているが、国民は同じ最低賃金で生活を送る必要がある。」と語った。
■最低賃金との差額が25%を超える
2025年の44.38%のインフレ率に対し、30%の引き上げが行われたことで11.06%の差が発生した。トルコ統計機構によると最初の4か月のインフレ率は13.35%だった。これは最低賃金の価値下落が合計で25.89%に達したことになる。
5月、6月のインフレを加えずに行われる計算によると、今日差額が支払われた状況での最低賃金の予想水準は2万7828トルコリラだ。5月、6月のインフレを加えると、最低賃金は少なくとも6000リラの引き上げが期待される。
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翻訳者:佐田優美香
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