レバノン:復興担当顧問にヒズブッラー出身者

2025年06月04日付 al-Quds al-Arabi 紙

■「ヒズブッラー」出身の元大臣が大統領顧問に任命されたことを受け、レバノンでは広範な議論が巻き起こる

【ベイルート:本紙】

注目すべき動きとして、ナジーブ・ミーカーティー政権で「ヒズブッラー」を代表していたアリー・ハミーヤ元公共事業大臣が、ジョゼフ・アウン大統領の復興担当顧問に任命された。

この人事は、「ヒズブッラー」およびその同盟勢力の間に安堵をもたらしたた。またこれは、大統領が、特に、ムハンマド・ウバイド元情報省長官や、大統領府のナジャー・シャラフッディーン報道官などのシーア派に属する人物らの経験や能力を積極的に活用しようとしている姿勢を示すものと見なされた。

ヒズブッラーの支持者たちは、この人事に喜びを表し、これをイラン外相の訪問とあわせて、「レバノン軍団」およびユースフ・ラジー外相の「敗北」であると考えた。

一方で、一部の人々は、大統領府によってイランのアッバース・アラーグチー外相の訪問と同じタイミングで、この人事が発表されたことに疑問を抱いた。というのもレバノン軍団の支持者らは、この人事が米国政府に対し、レバノンはイラン主導の枢軸に留まり、米国やアラブ諸国などからなる同盟を拒んでいるという否定的なメッセージを送るものだと見なしているのだ。したがって、この人事は、レバノンが復興のためにアラブ諸国や湾岸諸国からの資金援助を当てにせず、むしろイランからの支援を待ち望んでいるというメッセージとも解釈されている。

彼らは、レバノンが危機から脱し、非正規武装を撤廃することを目的とした新政権の時代に対して大きな期待を抱いていたが、その期待が裏切られたとして失望感を表明した。
また彼らは、SNS上で、現在起きていることは国内での真の変革が実現していないことを物語っており、このような人事は、復興が、いつも通り政治的取り分や利害関係、利権の分配に左右されることを示していると述べた。


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翻訳者:大森耀太
記事ID:60262