モロッコ:モロッコ人アーティスト、国内の音楽番組に物申す

2025年06月20日付 al-Quds al-Arabi 紙

■歌手ファッターフ・マスナーウィー、モロッコのテレビに不満:アーティストへの関心は国外の方が大きい

【ラバト:アブドゥルアジーズ・ベンアブー、本紙】

モロッコでは、スポーツ、特にサッカーがそうであるように、アートも海外で活動するモロッコ人アーティストらによって、世界にモロッコの魅力を伝えるプラットフォームの一つになっている。中には「音楽大使」の称号を与えられたアーティストもいる。例えば、都市を中心に栄えた叙情詩「マルフーン」の演奏家ミフターヒーやベドウィンに人気の音楽「アイタ」の巨匠ファッターフ・マスナーウィーなどである。「アイタ」は、モロッコに起源をもつ伝統的な民族音楽スタイルで、モロッコ人の心の中で今も輝き続けている。

ファッターフ・マスナーウィーは、国内外におけるモロッコ音楽の現状を比較せざるを得ないと痛感している。彼は本紙に、「皮肉なことに離郷の地ではみんなが耳を傾けてくれる。モロッコの人々が私たちと一体となって応えてくれる」と断言した。「実際、フランスをはじめヨーロッパ全土の観客の多さに誰もが驚くだろう。モロッコ人コミュニティはわれわれの音楽に特別な関心を寄せている」と語った。

2023年にアルバム『ターリブ』をリリースしたマスナーウィーは、モロッコ国内よりも国外の方がモロッコ人アーティストへの関心が高いことも明らかにした。そして、国外のモロッコ人コミュニティで高い評価を得て第一線で活躍している海外在住の(モロッコ人)アーティストがモロッコ国内では隅に追いやられている状況に言及した。

ファッターフ・マスナーウィーは本紙のインタビューで、モロッコのさまざまなテレビ番組で、海外在住のモロッコ人アーティストがどのような立場にあるかという問題を取り上げた。そして彼自身が、アーティストとその作品に注目し、評価することによって間接的に彼らを支援する強力なツールとしてのメディアから長い間遠ざかっていたことを認めた。

遠ざかっていた理由について、「自発的なのか、強制なのかは分からないが、テレビ番組や夜のテレビショーにいつも同じ顔ぶれが出演しているから」と述べ、この状況をモロッコの方言で「あなたのお父さんは私の友達」や「道のオイルは容易い」(縁故主義やコネを指す慣用句)と表現した。

(後略)


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翻訳者:荒岡麻里
記事ID:60347