エルドアンとクルチダルオールは協働しているのか?目的は?
2025年06月29日付 Medyescope 紙
ジャーナリストのルシェン・チャクル氏は、共和人民党(CHP)党大会裁判(注:クルチダルオールが党首選に敗れた2023年11月の党大会投票結果を無効とするかどうかの裁判)において、レジェップ・タイイプ・エルドアン大統領とケマル・クルチダルオール前党首との間には間接的な同盟関係が存在すると主張した。
同記者によれば、その同盟関係の主たる目的はエクレム・イマムオール前イスタンブル市長を政治から排除することである。同記者は、CHP党大会裁判について述べつつ、トルコにおける裁判所の独立性にも疑問を呈し、「今日のトルコでは、裁判所は政権がそう望んだからという理由で主要野党に訴訟を起こすようになった」と述べた。
あわせて、トルコでは法の支配が存在しないと考えていること、裁判判決はエルドアン大統領が望む方向に進むと見ていることを明らかにした。
■「エルドアン大統領はイマムオールに四度敗北している」
チャクル記者は、エルドアン大統領はエクレム・イマムオール前イスタンブル市長の排除を望んでいると主張し、その理由を次のように説明した。
「エルドアン大統領は、エクレム・イマムオール氏に四度敗北している。イマムオールは今や強力な大統領候補としてエルドアンに対抗している」
同記者は、2023年選挙の際、イマムオールも立候補できるはずだったのにクルチダルオールが出馬を許可しなかったという経緯を持ち出し、「何百万という票がクルチダルオールとイマムオールに投じられた」と述べた。
■「クルチダルオールからイマムオールへの視線に変化」
チャクル記者は、2019年の地方選の際、イマムオールをイスタンブル市長候補に推薦したのはクルチダルオールだったと述べている。他方、その状況が変わってきており、「2019年と、それに続く2024年のイマムオールの勝利と奇跡の立役者はケマル・クルチダルオールだった」と述べた。しかし、2023年の選挙敗北以降、イマムオールが変わったと同記者は話している。CHP党はオズギュル・オゼル党首の下、新たな場所へ運ばれていった。チャクル記者は、「主要プロジェクトがなおもイマムオールのものであることは間違いない」と述べている。
■与党系メディアは 「公然の支持」
チャクル記者は、与党系メディアがあからさまにクルチダルオールを支持していると主張している。同記者は、「いつもなら(メディアは)エルドアン大統領が「CHPの連中がまたなにかやっている。私は私のことに専念する」と言うことを期待している」が、今回はそうではなく、公然とクルチダルオール支持の姿勢を見せたと主張した。
チャクル記者によれば、「与党系メディアのテレビ番組では、頻繁にケマル・クルチルオールのプロパガンダが画面に映し出される」。「ケマルがやってくる」というコピーも打たれている。
■「無力な指導者同士で抱き合う」
チャクル記者は、エルドアン大統領もクルチダルオールも無力な状況にあると主張し、「クルチダルオールはエルドアンにすがり、エルドアンはクルチダルオールにすがっている」と話した。こうした状況は、この二人が成功しそうもないことの表れであるとし、「負け組ふたりが抱き合って這い上がろうとしている」と表現した。
■イスタンブル汚職捜査との比較
クルチダルオールは、イズミル県での捜査と(イスタンブルでの捜査を)比較した。しかしチャクル記者は、「当時の汚職捜査と今日の汚職捜査には山ほどの違いがある」と、この比較は正しくないと主張している。今日の捜査とは、「本質的には政治操作であり、クーデター」であるとの弁を展開しており、国民の投票で選ばれた市長らに対するクーデターだと主張した。
■3月19日事件にも言及
チャクル記者は、3月19日に成功するかもしれなかった作戦(注:イマムオール前市長の逮捕)が、社会の抗議を受けて頓挫したことにも言及。今回、CHP党大会での党首選に関する判決が出れば、似たような抗議運動が組織されるかもしれないが、今回の場合、運動家は政治権力に加えてクルチダルオールとも戦わねばならないと述べた。
チャクル記者は、「トルコの変革を求める人々の声に誰が応え、誰が応えていないのか」を問うことが重要と強調し、クルチダルオールは2023年党首選での敗北以降、いかなる政治的撤退も見ていない」と述べた。
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翻訳者:原田星来
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