シリア:国連報告書「シャーム解放機構とアル=カーイダの間に活発な繋がりなし」
2025年07月11日付 al-Mudun 紙

■国連報告書:シャーム解放機構とアル=カーイダの間に活発な繋がりはなし
【本紙】
国連制裁監視チームは報告書で、同チームは今年を通じて、シャーム解放機構とアル=カーイダの間にいかなる「活発な繋がり」を観測しなかったと伝えた。同報告書はこの変化について、「(シャーム解放機構の)組織自体と、シリアのアフマド・シャルア大統領を筆頭とするその指導層に対する国連安保理制裁の解除に向けた米国の取り組み」を強化する可能性があるとみなしている。
『ロイター』通信が確認し、今月中に発表される予定のこの報告書は、今年の上半期を検討するものであり、シャルア氏やアナス・ハッターブ内務大臣のような組織の指導者らが、より強硬な意見をもつ現場の戦術的要員と比べて「より現実志向」を有していると結論付けている。一方で報告書は、いくつかの加盟国が、組織の戦闘員の一部、特に「新シリア軍」に統合された戦闘員らがアル=カーイダと「イデオロギー的な結びつき」を持っていることに依然として懸念を表明していると指摘している。
〈国際制裁解除への圧力〉
米国のドナルド・トランプ大統領は同国の政策における注目すべき転換点として、今年5月にシリアへの制裁解除を発表し、6月末には「シャーム解放機構」の「外国テロ組織」指定を解除する大統領令に署名した。米国務省はこの措置を、「平和で統一されたシリアへのための、トランプ大統領のビジョン」の一環とし、国連制裁リストにおけるシャーム機構とシリアに対する残りのすべての分類を見直す必要があることを確認した。
外交・人道方面は、制裁解除が崩壊したシリア経済の再建に貢献し、新政権に専制の遺産から離れて権力を固める機会を与え、過激派グループの求心力を低下させるものと捉えることで、米国の動きを歓迎した。また米国政府は、シリアの新指導部との(国交)正常化は、米国企業に(シリア参入への)門戸を開き、ロシアとイランの影響力を抑え、将来的に米国が直接軍事介入する必要性が軽減される可能性があるとみている。
〈ロシアと中国の障害〉
米国の熱意にもかかわらず、同国政府は国連安保理内で大きな課題に直面している。ロシアと中国は、特に外国人戦闘員に関する安全保障上の彼らの懸念が解消されないかぎり、いかなる制裁解除にも反対することが予想されているためだ。
国連報告書は、これらの外国人戦闘員は5,000人以上と推定しており、ほとんどは中央アジアと中国の出身で、なかには中国政府が自国の国家安全保障に対する直接的な脅威とみなす「トルキスタン・イスラーム党」の構成員も含まれている。
中国の傅聡国連大使は、シリアの新指導部の方向性について深い懸念を表明し、「テロとの戦い」のために真摯な行動をとるよう訴えた。またロシアのワシーリー・ネベンジャ国連大使は、シリアの軍と警察が「潔白な経歴を持つ専門家」で構成されることを要求し、非正規戦闘員らを公的機関に組み入れることへの反対の意を示した。
報告書によると、一部の戦闘員が新しい軍への加入を拒否することで、シャーム解放機構の内部で亀裂が生まれた。多くの過激派人員はシャルア大統領がジハードの信条を「裏切った」とみなしている。これはシリア国内で対立を起こす恐れがあり、移行期の不安定性を高めている。
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翻訳者:鈴木美織
記事ID:60410