シェンゲン協定、過去に?

2025年07月08日付 Hurriyet 紙
ポーランドは、EU加盟3か国が国境管理を開始したのに続き、不法移民対策のために国境管理を始める決定を下した。EU加盟国間で自由な移動の権利を認めるシェンゲンビザはポーランドのこの決定により、困難に直面している。

EU加盟国において極右勢力の力が増し、不法移民の数が不当に増加していることが、1985年に署名され、1990年に実施されたシェンゲン協定を脅かしている。
EU加盟国の中ではオランダとベルギーに続き、ポーランドも、不法移民に関する世論の懸念に応える形で、ドイツおよびリトアニアとの国境で管理を実施し始めた。管理は8月5日まで続くとされている。
ドイツとの間に52か所、リトアニアとの間に13か所の国境通過点があるポーランドでは、数百人の警察官と兵士が配備された。実施初日には、800人の国境警備隊、300人の警察官、200人の憲兵、そして500人のボランティアが検査に参加した。
ポーランドの極右団体は、ドイツがEUの規則に違反して、ポーランドを通ってきた移民を自国に送り返していると主張した。しかし、ドイツの当局者はこの主張を否定した。
世界のメディアは、ポーランドのこの一歩を、シェンゲンビザ制度を困難に追い込む施策の最後の輪と評し、終わりの始まりと形容した。

■ポーランドの目的:移民密輸業者

ガーディアンに掲載された報道によれば、ポーランドのドナルド・トゥスク首相は、国境管理はEUの利益に適った形で取られたと述べ、「この管理はドイツ人、オランダ人、フランス人のためにやっている。我々はEUの国境なのだ」と述べた。
ポーランドのトマシュ・シェモニャク内務大臣は、この施策は国内を通過する不法移動を防ぐことを目的としていると表明した。管理は当初30日間行われると語り、「ドイツが管理を解除しなければ、我々も続ける」と述べた。
シェモニャク大臣は、リトアニアおよびラトビアとの国境を通ってポーランドに入る不法移民の数が著しく増加していることを強調した。ベラルーシ国境で強化された対策が、移民の通過ルートを他の経路に移らせたことを指摘した。
管理開始の直前に、4人の不法移民が国境で拘束されたことを報告したシェモニャク大臣は、これはこの施策の必要性を示していると主張した。また、この管理は不法移民の密輸業者を対象としていると述べ、「合法的に旅行する人々には心配すべきことはない」との説明を加えた。
トゥスク首相もシェモニャク大臣を支持し、拘束された4人は以前にベラルーシからの不法越境を試みたために記録されていた者たちであると述べた。
トゥスク首相はドイツへの批判を続け、新しい施策によって、ドイツが送り返してくるすべての移民について詳細に調査が行われると述べた。「今後は、不法に国境を越え、書類に不備がある、または疑わしい人物は、ドイツや他の国からポーランドに送り返されることはない」との発言をした。

■新しいドイツ政府が導火線に火をつけた

ドイツは2023年にポーランド国境で無作為な管理を開始していた。5月には、オラフ・ショルツに代わってフリードリヒ・メルツ政権が発足し、国境管理をさらに強化する決定を下した。
新政権のこの一歩は、アレクサンダー・ドブリント内務大臣が「庇護申請者を国境で送り返す」ことを意味する、より厳しい管理の指示を出したことにより、危機を引き起こした。
ドブリント大臣は7月18日に、シェンゲン圏への圧力の高まりに対処するための解決策を見つけるべく、サミットを開催した。しかし、EUの規定によれば、国境管理は重大な脅威がある場合に限り、限定された期間でのみ実施が可能とされている。

■ドイツ:恒久的な管理は望んでいない

ドイツのメルツ首相の報道官は、ポーランドの決定に関する声明を発表した。
報道官は、「国境を不法移動から守ることは、ドイツ、ポーランド、そして欧州の隣国たちの共通の利益である。恒久的な国境管理は望んでいない」と述べた。
ドイツ当局者のクヌート・アブラハム氏は、管理が国境地域にとって「重い負担」になるとコメントした。
ドイツのポーランド政府担当官でもあるアブラハム氏は、「ドイツ‐ポーランド関係にとって良い一日ではない。両国の国境での管理強化は、移民問題の解決にはならないだろう」との見解を述べた。


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翻訳者:小玉桃子
記事ID:60431