
7月19日土曜日、シリア南部のスヴェイダ市でに停戦が発表された。同地域では先週日曜日(13日)以降、少なくとも940人が死亡しており、各部族が厳戒態勢を敷いている。トルコ時間の明け方にかけて、米国もこの件についての声明を発表した。
土曜日、シリア大統領官邸はシリア南部スヴェイダ市内での包括的停戦を発表し、全当事者に対し、直ちに停戦に従うよう通達。その際、いかなる違反行為も「国家主権への明白な侵害とみなされること」、「憲法に基づき、必要法的措置がとられること」を伝えた。
ハナディ・オベイド医師(39)は、AFP通信に、「この一週間、街中は経験したことがないほど静かだった」と語った。AFP通信現地特派員とシリア人権監視団も停戦を証言した。
■死者数は1000人
一方、英国拠点とするモニタリング機関は、先週日曜日から停戦までの死者数が1000人に及んだことを明らかにした。
ドルーズ派ルハーニー教会のヒクメット・アル・ヒジュリ師が教会から発した声明によれば、「各保証国の支援を受けて実現した交渉に基づき」(ドルーズ派は)シリア政府と合意に達した。しかしアラブ側メディアによれば、同地の各部族の人々は葬儀の必要性や衝突エスカレートがあり、同地域から完全には撤退していない。
■米国から「統一シリア」呼びかけ
米国マルコ・ルビオ国務長官は、日曜朝、ソーシャルメディア「X」で、「ダマスカス当局は統一されたシリアというビジョンを持ち続けなければならない」と発信。また、シリア南部での衝突に関わる誰もが責任を負ねばならないと強調し、ドルーズ派と遊牧民武装勢力(ベドウィン)の衝突がただちに終結することをもとめた。
■米アンカラ大使からも呼びかけ
米国トーマス・バラックシリア特使兼アンカラ大使は、全関係者に向けて、「当事者は皆、直ちに武器を捨て、敵対行為を止め、部族間の復讐の連鎖を捨て去らねばならない。シリアは和平と対話を優先すべき非常に重要な岐路に立っており、(和平と対話の優先は)ただちに達成されねばらならない」と呼びかけた。
■部族評議会からの発表
シリア部族評議会の発表によれば、停戦決定に従って戦闘員が全員スヴェイダ市から撤退した。アル=イフバリイェ放送が報じた。
■シリア軍が市の北部と西部に展開
シリア内務省のヌレディン・アル・ババ報道官はソーシャルメディアで、内務省は停戦合意を実質化すべく集中的に取り組んでおり、内務省管轄の治安部隊がスウェイダ市の北部と西部に展開していると述べた。ババ報道官は部族戦闘員が市内から完全に一掃されたと発表した。
同時に、シリア保健省はフル装備の救急車20台と専門医療チームからなる救助隊をスウェイダ市に派遣したと明らかにした。
■停戦合意の詳細
シリア内務省情報筋が、アル・アラビーヤ/アル・ハダス放送に対し、スヴェイダ市での停戦合意の基本条項を明かした。条文の詳細は以下のとおり。
・内務省治安部隊は、スヴェイダ市の西部と北部エリアに『衝突停止部隊』として展開する
・シリア治安部隊は主要道路にのみ駐留し、市街地には立ち入らない
・合意された条項は48時間以内に実効化される
・民間人や負傷者の退避用として、ダラア市とスウェイダ市の間に人道的回廊を設置する
・非合法グループによって拘束された遊牧民勢力の解放を調整する。なお、この措置は、当事者間の信頼を確立し、新たな紛争を防ぐために不可欠であると強調された
■シリアの緊張状態の背景?
シリア南部での緊張状態は、7月13日にスヴェイダ市で発生したドルーズ派と遊牧民武装勢力(ベドウィン)の衝突によりエスカレートした。
7月15日、シリア治安部隊が事態安定化のためスヴェイダ市に入った。直後、イスラエルがスヴェイダ市市に向かうシリア軍車両を標的にした。7月16日にもシリア首都ダマスカス市内の複数の戦略的要所に空爆をおこなった。
7月16日夜、シリア国防省は、衝突は続いているものの、停戦要請に従ってスウェダに展開していた全軍が撤退したと発表
7月18日明朝、国内アラブ系部族がスヴェイダ市に入り、再び激しい衝突が起きた
7月19日、当事者間で新たな停戦合意が成立し、治安部隊が市内に展開したことが報じられた
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翻訳者:原田星来
記事ID:60508