エジプト:米紙がエジプトにおける「チップ文化の肥大化」に言及

2025年11月03日付 al-Quds al-Arabi 紙

◾️ニューヨーク・タイムズ紙:エジプトの経済危機が新たな難題を突きつける…「チップ」文化の肥大化

【ロンドン:本紙】

米『ニューヨーク・タイムズ』紙は、深刻なエジプトの経済危機が、ついに「チップ」までもが過剰な負担となる事態を招いたと報じた。同紙は、チップがもはやレストランや運転手だけに限られず、官公庁や病院の職員にまで広がっていると指摘したうえで、インフレと賃金の下落が「感謝のしるし」であったはずの心付けを、「生き延びるための手段」へと変貌させたと述べている。すなわち、感謝と生活、礼儀と生存が混じり合う経済が生まれているという。

ウェイターや配達員がチップを受け取るのは当然としても、いまでは受付職員、公務員、看護師にまでその慣習が及んでいる。経済危機が国を揺るがす中、「感謝の代償」ですらエジプト国民にとっては新たな重荷となった。

映画『ビター・ハニー』の主人公ミスリーが、20年間を米国で過ごしたのちカイロへ帰国した場面を思い出させる。祖国の日常に再び馴染もうとした彼を待っていたのは、意外な現実だった。最大の衝撃は、新しいパスポートを申請しようと官庁を訪れたときに訪れた。

担当の職員は「お茶を砂糖100杯で」と頼んだ。これは賄賂を要求することを婉曲に示す言い回しである。ミスリーが驚いた表情を見せると、職員は皮肉っぽくこう尋ねた。「手助けしてほしいのか? それとも清い良心で列の最後に戻りたいのか?」

エジプトでは、手続きを早めたり列を飛ばしたりするために金銭を支払うことが、今ではごく普通のこととなっている。そのため、一部の企業では、それが運営経費の一部として計上されることさえある。

他の多くの国と同様に、ウェイターや配達員、駐車場係などがチップを受け取るのは一般的だ。しかし、エジプトではその範囲がさらに広がり、病院の受付係や公務員、さらには看護師にまで及んでいる。中には、水を持ってくることや患者の着替えを手伝うことの見返りに「チップ」を求める看護師もいるという。


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翻訳者:伊藤万結香、門野陽飛
記事ID:61122