■「エジプトの状態」展…エジプト人の生活と儀礼の詳細な描写
【カイロ:ムハンマド・アブドッラヒーム、本紙】
(前略)
家とカフェ
画家が用いるもうひとつの表現法は、さまざまな場所をクローズアップして町の全体像の一部として描写する手法である。その画風は、オマル・ファィユーミーの作品に顕著である。彼は多くの作品でカイロ中心部のファルキー通りにある有名な「フリーダム・カフェ」を描いている。カフェはいつも客でにぎわっているが、ファィユーミーはしばしば孤独さを描写している。彼は、カフェに一人で座り、無表情に誰かを見つめる男を描くことでそれを表現している。その男は相手の気持ちも考えず自分の世界に(相手を)巻き込んでいるかのようだ。彼が描く孤独さは、ムハンマド・アブドゥルガニーの鮮やかな人物像や色彩とは対照的だ。アブドゥルガニーは多くの人物(生体も死体も)を宗教的な習慣や背景で結びついたひとつの塊として具象化した。キャンバス内に収まらない絵画のモチーフは、キャンバスを越えて広がる幻想的なフレームを作り出している。ユースフ・マカーウィーは、家とそれを取り巻く環境を、家の全体像やそれに隣接する一群の家々で体現している。前景にラマダーンの装飾が施された家や大通りをクローズアップすることで、典型的な庶民の聖なる月ラマダーンの雰囲気を伝えている。
(後略)
