エジプト:キリスト教徒のための身分法改正案…新たな離婚事由の導入や相続における平等性の確保を含む
2026年04月17日付 al-Quds al-Arabi 紙

エジプトで棕櫚の主日を祝うキリスト教徒たち
■エジプト:キリスト教徒のための新しい身分法…改宗による離婚が合法に
【カイロ:ターミル・ヒンダーウィー、本紙】
エジプト政府は、キリスト教徒のための包括的な家族法案の準備を終了したと発表した。教会関係者によると、主要諸教会は、すでに数か月前に法案に署名し、可決に向けた議会提出の準備のため、これを司法省に提出した。身分法廷の裁判長経験のあるナギーブ・ギブラーイール顧問は、キリスト教徒が関わる離婚訴訟の約27万件が依然として係争中であると明らかにした。そして、この新法を歴史的転換点と評し、施行されると現存の係争の70%以上が解決されると予想している。
同氏は、「この新法の真の強みは、全教会的合意に達したことである。エジプトの五つのキリスト教宗派が法案に署名したことで、数十年にわたる法的な矛盾が解消され、エジプトの裁判官がキリスト教徒に関わる事件を円滑に裁くための明確かつ統一された道筋が示される」と述べた。そして、新法における最も重要な改正点として、ギブラーイール氏は、現行法にはない離婚に関する規定が導入されたことを挙げた。
同氏は「新法では、3年以上の長期不在による離婚請求、改宗による離婚請求、AIDS感染による離婚請求、推定姦通(判断に基づく不貞行為)による離婚請求が認められる。加えて、不貞行為を立証する代替証拠の範囲が拡大された」と付け加えた。求愛の手紙または動画、その他婚姻上の不貞の存在を指し示すいかなるものがある場合、それらすべてが証拠とみなされると述べた。また、夫の性的不能や、妻が処女だと偽った場合も離婚の事由になると指摘した。
新法により詐欺の定義も拡大される。例えば、男性が「博士」と名乗って女性と結婚し、結婚後に博士号を取得していないことが発覚した場合、これは詐欺にあたり、相手側には離婚を求める権利が生じる。これは「詐欺はすべてを無効にする」という原則がこの場合にも適用されるためである。加えて、新法では妻の相続分が夫の相続分と同額になる。他方、現行法では妻の相続分は、夫の半分と定められている。
この法案は、婚約と結婚に始まり、(婚姻上の)権利と義務を経て、離婚と扶養料、子の監護に至るまで、家族生活の全側面を網羅する諸部門により構成される。法案には家族紛争調停委員会の設置も盛り込まれ、委員会の決定は裁判所の指針となる。これは、裁判所への訴えを減らし、紛争解決を迅速化するための試みである。
教会関係者によると、この法案の最も注目すべき点は、近年、離婚を得るために既存の法律をすり抜ける方策として利用されてきた、宗教帰属の変更という現象を根絶するところにある。法案は婚姻契約がもとづく法の遵守を定めている、すなわち、結婚は契約時に合意された取り決めに従うべきであり、たとえ夫婦の一方が結婚後に宗派または宗教を変更しても「離婚の際には婚姻時に帰属していた法に従う」と教会関係者は強調した。この規定は根本的な転換であり、紛争の大きな原因を断ち切り、いわゆる「改宗マフィア」に終止符を打つものである。
離婚に関しては、この法案により、離婚事由がより明確かつ広範囲に再規定された。離婚事由は、姦通に限定されず、長期不在、改宗、未公認宗派への加入なども含まれる。また、「別居による民事離婚」の概念が導入され、別居が一定期間を越え、夫婦間関係が修復不可能と判断された場合、裁判所が婚姻関係を解消できるようになった。
離婚後の再婚に関する規定も厳格化された。姦通、他宗教への改宗、異なる宗派への加入を理由に離婚した者は、教会の許可がない限り、再婚をすることは絶対的に認められない。これは、この問題の統制に関する宗教組織の役割を強化するものである。法案では、結婚は同一宗派間に限定される。各教会で異なる教義上の特性を保全し、教会の考え方の違いから生じる争いを防ぐためである。
法案は結婚と関係する健康上および社会的側面にも触れ、婚姻を妨げる事由の明確な一覧を挙げている。これには、慢性疾患や末期疾患、精神疾患や知的障害、依存症などが含まれ、両当事者がこれらの状態を事前に知ることを婚姻要件としている。法案では、離婚以外で婚姻を取り消すことができる約10の婚姻無効事由も規定された。詐欺、虚偽、配偶者の一方に根本的な欠陥がある場合などが挙げられる。これは不正な婚姻を防ぎ、法的安定性を保つことが目的である。
相続に関しては、法案は、イスラーム法に従う代わりに、キリスト教の法を適用することを定めた。これまでは明確な法令がなかったために、イスラーム法が適用されていた。同様に、法案では、キリスト教徒のフルウ(イスラーム法において妻が請求し、婚資等の返還を要件とする離婚形態)の実施を廃止し、宗教帰属の変更を離婚の理由とみなすことを認めた。
法案は、扶養料と(別居する親と子どもの)面会交流に関して改正点を加え、情報通信機器の使用を許可し、オンライン面会交流を認めている。また、婚姻契約に付帯条項を設けることで、夫婦間のすべての条件が記載された契約書が付属するようになり、仕事、教育、責任分担といった共同生活の詳細について事前に合意できるようにすることで、将来の紛争の可能性の低減を図っている。
離婚問題は、エジプトのキリスト教徒にとって最も重要でデリケートな側面である。コプトキリスト教徒のいかなる夫婦も、国家の前で当事者の意思を示すだけでは結婚できないし、離婚も成立しない。婚姻契約は、国家から認可を受け、その手に法務省発行の婚姻登録簿を持つ聖職者が執行した場合にのみ、合法的かつ宗教的に有効となる。夫婦間に争いが生じた場合、教会の承認なしに別れることはできない。なぜなら教会は婚姻を解消できる唯一の機関であるからだ。
近代における家族法の変遷に目を向けると、1938年、コプトキリスト教徒の身分に関する規則が制定され、同年、コプト総評議会によって公布された。評議会は、聖職者を除くコプトの信徒から選出された。評議会が初めて設置されたのは1874年である。評議会の役割は、教会の行政および財政を監督する点で、(行政府に対する)議会の役割に類似していた。この対立と論争に歴代の教皇が加わり、ついには、2011年4月に選出された評議会の最後の任期が終了して以来、現在ではその存在は確認されていない。
1938年のコプト身分法には、9つの離婚事由が規定されていた。そこには、姦通、配偶者の一方のキリスト教からの離脱、5年間の長期不在、7年以上の収監、精神疾患または不治の病、夫の性的不能、身体的暴力、素行の悪さ、夫婦関係の悪化、配偶者の同意を得た上での修道生活などを含んでいた。2008年、教皇シュヌーダ3世は1938年の規則を改正し、姦通以外のすべての離婚条項を廃止した。これは教皇自身の見解に基づく決定で、彼の有名な言葉「姦通以外の離婚なし」は半ば神格化されている。
離婚事由を姦通に限定したことが「キリスト教への再改宗者」危機を引き起こした。これは、特に2008年から2010年にかけて宗派間問題の原因となった。この時の法改正によって、配偶者の一方をコプト正教会以外の(キリスト教)他宗派に変更させることで離婚手続きを容易にしていた、キリスト教徒宗派変更条項が制限されたためである。当時、離婚を希望する者は、イスラームへの改宗以外に選択肢はなく、離婚後にキリスト教徒への再改宗を望んでも国家当局に拒否された。
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翻訳者:田中友萌
記事ID:61961