ストックホルム大学レポート「イランの次はトルコ?」

2026年06月10日付 Cumhuriyet 紙
ガザ戦争、イランに対するアメリカとイスラエルの攻撃、そしてシリア情勢の展開の後、トルコとイスラエル間での緊張は新たなフェーズに移っているなか、ストックホルム大学のトルコ研究センターから発行されたある報告書は、トルコとイスラエルの間の競争が中東地域における次の大きな衝突の発端となり得るとの警告を行った。

中東史の専門家であるハワード・アイゼンスタット教授が執筆した「トルコとイスラエルの競争は、次の大きな中東の衝突なのか?」という見出しでの政策報告書では、イランおよび同地域の同盟ネットワークが大幅に弱体化したことにより、トルコとイスラエルが地域での影響力競争で対立するようになったと指摘された。

報告書によると、トルコとイスラエルが近い将来、直接的な戦争状態となることは計画されていない。しかし両国とも、自国が中東地域の秩序を形成する際における中心的なアクターとしての認識をもつことにより、緊張関係が構造的な性質となっていると述べられた。アイゼンスタット教授は、現在の平静が恒久的な和解を意味するものではなく、誤算のリスクがますます高まっていると述べている。

■危機の最初のサイン

報告書では、2025年4月に、トルコ軍がその使用の可能性を検討しているシリアにおける空軍基地へのイスラエルの攻撃が、新たなフェーズの最初の具体的な兆候の一つであることが述べられた。

アメリカのトランプ大統領が、イスラエルのネタニヤフ首相に、エルドアン大統領との「合意が必要」と述べたことが記された報告書では、アメリカの介入によって、緊張関係が一時的に低下したが、 基本的な対立が解消されていないことが強調された。

■アンカラによれば「最も近い脅威」

アイゼンスタット教授によるとトルコ政府は、イスラエルを益々、「最も緊急の地域における脅威」として認識している。これに対し、イスラエルの政策決定者たちも、イランの軍事力が弱体化した後、トルコを同国の地域における優位性に対する「次の大きな挑戦」と見なしている。

報告書では、両国は当面、衝突を望んでいないものの、地域における力の空白が拡大するにつれ、競争が必然的に激化すると指摘されている。

■「イランの弱体化は均衡を変えた」

報告書で注目される評価の一つは、アラブの春以降に関するものであった。

著者によると、トルコはカタールへ行った支援、エジプトのスィースィー政権の樹立への反対、サウディアラビアとの間の緊張によって長年、地域で孤立していた。

同時期にイスラエルは、湾岸諸国のイラン不信を利用し、地域における立場を強化した。このプロセスの象徴として2020年に署名されたアブラハム合意が挙げられる。
報告書によると、直近で起こった最も重要な変化は、イランと地域の代理勢力の弱体化であった。

アイゼンスタット教授は、イスラエルがイランに対して展開している軍事作戦が、湾岸諸国がテルアビブと親密な関係を築く根本的な理由を消滅させたと主張している。一方、これに対しトルコについては多くの地域の国々からますます有益かつ不可欠なパートナーとして見られ始めていると指摘している。

そのため、トルコとイスラエル間の対立はもはやパレスチナ問題に限られたものではなく、新たな地域秩序の主導権をめぐるより広範な競争へと変化していると指摘されている。

(後略)


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翻訳者:伊藤颯汰
記事ID:62268