レバノン:舞台『英雄は決して死なない』は、トリポリで4世代にわたるパレスチナ難民の記憶を強く訴える
2026年06月11日付 al-Quds al-Arabi 紙

■舞台『英雄は決して死なない』が、大好評のベイルート公演を経てトリポリに
【ベイルート:ザフラ・ミライー、本紙】
レバノン第二の都市トリポリの「マルサフ」劇場で、今月13日午後6時30分から、劇『英雄は死なない』の制作チームが、北の都での公演を心待ちにしているファンと共に舞台の幕を開ける。ベイルートで好評を博し、ロングラン公演を経て、いよいよ(ここ北の都で)一夜限りの公演を迎える。
パレスチナ人アーティスト、アワド・アワドが脚本と主演を手がけた。演出は実力派、アリーヤ・ハーリディー、演出助手はムハンマド・ターリク・マジュズーブが努める。
アワド・アワドは自身の祖父を題材にして脚本を執筆した。彼は祖父の物語を集め、分析して、パレスチナ難民が4世代にわたって持ち続ける不屈の精神と民族的アイデンティを、故郷への帰還を目指す奮闘記風の一人芝居に仕上げた。
アワドは、祖父マンスールの言葉と、(レバノン南部シドン市にあるレバノン最大のパレスチナ難民キャンプ)アイン・ヒルウェ難民キャンプを家族の住まいに選んだ曽祖父イスマーイールの生きざまについて、真実・事実・背景を知る努力をした。彼は2人を知るすべての人から彼らにまつわる情報を得た。アワドが生まれたのは、レバノンからパレスチナ抵抗運動が撤退して11年経ってからだが、祖父マンスールが深く関わっていたパレスチナ武装闘争時代への徹底的かつ十分な理解を深めた。
「イスマーイールおじいさん」と「マンスールおじいさん」を通して、彼は2人の男の「人生の知恵」と「輝かしい功績」を知ることになる。アワドは不屈の闘士「祖父マンスール」の役と、洞察力の高い「曽祖父イスマーイール」の役を演じ分けている。イスマーイールは、ベイルート近郊のキリスト教徒の町ダームールへの攻撃*に参加しようする息子マンスールに、「この戦いは誓ってわれわれの戦いではない」と諭した。
「英雄は決して死なない」この言葉は、祖父マンスールの揺るぎない信念である。孫は「おじいさん」から繰り返し聞かされてきた。芝居では、時にシュールなコメディが織り交ぜられ、全てのパレスチナ民族に通じる悲劇が描かれている。これは、世代から世代へと受け継がれ、生き続けるパレスチナの物語である。占領された故郷パレスチナが受けた傷口は開いたままだ。
ダームールへの攻撃*:1976年1月20日、ベイルート南方のマロン派キリスト教徒の町ダームールがパレスチナ解放機構(PLO)などの武装勢力に襲撃され、数百人の市民が殺害された事件(ダームールの虐殺)。レバノン内戦における「憎悪の連鎖」を決定づける象徴的な悲劇とされている。
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翻訳者:原ななみ
記事ID:62278