アメリカはなぜ日本円の救出につとめるのか

2026年08月03日付 Medyescope 紙

アメリカは、ここ30年で初めて何十億ドル相当の日本円を買い、通貨価値の下落を止めるよう努めた。では、なぜ円は下落しているのか。アメリカ政府は、なぜ介入したのか。また、日本の高市早苗首相の経済政策が危機にどんな役割を与えているのか。

アメリカと日本は、ここ40年の最低水準に近い日本円の価値下落を止めるため動いた。アメリカ政府は、日本通貨の価値を維持する目的で何十億ドルもの円を買った。

アメリカ政府がここ30年間で円を強化するために実施した最初の介入であるこの動きは、日本経済が輸入費用の増加とインフレの圧力に向き合っている時期に生じた。

エネルギーと食糧を大きく輸入に依存している日本にとって、円安は、日本への輸入額を上昇させている。この状況は、企業の支出を増加させ、消費者がより高い値段と向き合う原因となっている。

■日本円の価値はなぜ下落

日本は、2022年以来日本円の下落を制限しようと何十億ドルも費やしたが、通貨価値は下落し続けた。

下落の原因の一つは、投資家が日本円を売り続けたことである。グローバル化の進展も日本円への圧力を増加させている。

日本は、エネルギー需要の重要な部分を中東から賄っている。イラン戦争、この地域からの石油と天然ガスの流通の鈍化は、エネルギー関連支出を上昇させ、日本のインフレをも助長した。

日本政府は、消費者への圧力を減らすため、燃料費の補助に何十億ドルも費やしたが、この支援は公的支出を増加させた。

■低金利は円にどのように影響

日本銀行が政策金利を異常な低水準で維持したことも円の価値を下落させる要素の一つであった。

低金利は、日本円を国際的な投資家にとって、魅力の少ない状態にしている。投資家は、より大きな儲けをもたらす国と通貨に向かう一方、日本円売りの圧力が増している。

日本の高額な公的債務も経済に対する不安を増大させている。政府は、停滞する経済を活性化させ、高齢化する人口の需要に対応するため税収を大きく上回る支出を行なっている。

日本のすべての公的債務は、国内総生産の200%を超えている。日本はこれによりG20の国の中で最も公的債務が多い国である。

■トランプ政権はなぜ介入

アメリカが介入の準備をしていることに関する最初の兆候は、トランプ政権が8月(7月?)31日金曜日に行われた閣議で明らかになった。

アメリカのスコット・ベッセント財務長官の前にあるメモに「行うべきこと。50~100億ドルの日本円を買え。」と書かれているのが見られた。

アメリカのドナルド・トランプ大統領は何十億ドルもの円を購入したのを認め、介入が「世界経済にとっていいことである」と述べた。しかし専門家によると、アメリカ政府の介入の背後には、日本経済を支援する願望はない。

日本は、円を買うために必要な財源を作るためにアメリカ国債を売っている。アメリカ国債は、多くの国により外貨準備金の一部として保持されている。しかし、こうした国債の大量売却は、アメリカ国庫が発行する際、利払を増加しかねないことになる。

このこともアメリカ政府が公的支出を賄うため、より高額の借り入れをするということになる。

経済学者によると、トランプ政権は円を支援しながら、日本がアメリカ国債を売却するのを制限しようとしている可能性がある。

国際関係評議会上席研究員レベッカ・パターソン氏は、アメリカのベッセント財務長官にとって日本円を早急に安定させることがアメリカ政府の利益になると述べた。

◾️高市首相の政策は日本円の危機にどう影響している

高市早苗首相は経済を再度上昇過程に置くことを政府の主要な目標の一つとしている。

しかし日本円の下落、輸入費用の増加、中東を起源とするエネルギー危機は、高市首相の支持率に悪影響を及ぼした。

高市首相は物価高を軽減するために4月に食品の売上税を暫定的に下げるつもりと発表した。政府は同時に[経済]拡大を支援するために経済上の様々な分野に1000億ドル相当の投資を行うことを計画している。

しかし日本が目下抱えている相当の公的債務ゆえに、こうした支出をいかに賄うかは不透明にとどまっている。

専門家は、高市首相の政策が経済上でイギリスのリズ・トラス元首相時期に似た市場への影響に導きかねないと警告している。支出に関する不透明さは市場投機を増す一方で、日本円のさらなる価値下落の原因となる。

◾️アメリカは他の国の通貨に介入するか

アメリカが他国通貨を購入して支援するのは極めて稀な措置である。

アメリカ政府は昨年11月アルゼンチンの右派のハビエル・ミレイ大統領にとって極めて重要な選挙の数週間前に何十億アルゼンチン・ペソを購入した。

ベッセント財務長官は、その時期の介入がアルゼンチンの支出を制限し経済改革プログラムの成功を容易にする目的で実施されたと発表した。

一部のアナリストは、トランプ大統領が高市首相をメレイ大統領に似たイデオロギー的同盟者と捉え、こうした近しさが新たな支援を決める際に影響を及ぼした可能性があると考えている。


この記事の原文はこちら

同じジャンルの記事を見る


翻訳者:新井慧
記事ID:62620