アーリヤー議員「夫の複婚の際、条件として第一夫人の許可を明記すべき」:家族保護法案に注文
2007年09月01日付 Iran 紙

【社会部:ハミーデ・アミーニーファルド】夫が二人目以降の妻を娶る場合には、第一夫人の許可を得るよう義務づける文言を、家族保護法案第23条の補足に明確な形で追記すべきである。

 国会の女性問題委員会のファーテメ・アーリヤー委員長は、イラン紙との会見で、53条からなる家族保護法案に関し、夫の複婚について規定した第23条についてのみ、一層の説明と修正が必要であるとの見方を示した上で、次のように述べた。「第23条を〔このままの形で〕支持する論者たちは、この条項には夫の複婚に対する第一夫人の許可に関する内容がすでに含まれていると主張している。裁判所が夫の状況について確認するためには、第一夫人を裁判所に呼んで、夫が複婚を裁判所に申請してきたことを説明しなければならず、そのため〔一番目の妻の許可なく夫が別の女性と結婚する可能性があるのではないかとの〕懸念は自動的に排除されるからだ、というのがその根拠となっている。しかし、第一夫人の許可を得ることを複婚の条件とする旨、法律に明記するべきだというのが、われわれの考えである」。

 家族保護法案の第23条には、「通常婚によって別の妻を娶る際には、夫の経済能力や、複数の妻を公正に扱うとの約束の履行能力について確認が行われた後、裁判所から許可を得なければならない」と規定されている。

 この条項の文言には、夫の複婚に対する第一夫人の許可についての記述はない。そのため、女性たちの間からは同法案に対して懸念する声が起きており、実際、家族保護法案についてのリポートが本紙で初めて掲載されて以降、ここ数週間この問題について多くの反響が本紙に寄せられている。

 「第23条の文言には、夫が複婚する際、第一夫人の許可は必要ないことが示されているが、国会は同法案、及びその文言について問題視しない構えか」との質問に対し、アーリヤー議員は次のように答えている。「先週司法省の連絡役として、政府を代表してヘンマティー氏が、この法案について弁明するために、部会として家族保護法案を検討している国会の文化委員会に出席した。その際私からは、『裁判所の確認』とはいかなる意味なのか、問い質した。どの法廷にも、《原告》と《被告》がいるが、第二夫人を娶るために必要とされる夫の条件を確認する法廷では、裁判所は第一夫人を《被告》として招致し、問題の検討を行わねばならない。社会の女性たちには不安が生じており、大抵の人々は法的な問題や手続きについて十分な知識がない。このような状況に鑑みるならば、裁判所が確認すべき条件というものを、法律の中に明確に記載するべきだ、というのが私の考えである」。

 理由なき複婚は単なる享楽に過ぎない

 本紙はまたアーリヤー議員に対し、「家族保護法案には、夫が複婚する際の第一夫人の許可について直接的な言及は全くないが、それは〔女性の許可を複婚の条件とすることは〕イスラーム法に背反するとの理由からではないのか。司法権のイスラームの専門家たちはそのために、そのことに言及しようとしなかったのではないか」との質問をぶつけてみた。

 これに対し、アーリヤー議員は次のように答えている。「われわれは殉教者モタッハリーがその著書『イスラームにおける女性の権利』において示した立場を、自らの基準としている。同書でモタッハリー師は次のように仰っている。『もし男性が理由なく、次から次へと結婚を繰り返そうとするならば、それは享楽である』。それゆえ、第一夫人の許可について直接的な言及がないということの理由が、イスラーム法学上のものであるというようなことはあり得ないと、われわれは考えている」。

 アーリヤー議員はさらに、「われわれの考え方は、『いかなる法律であれ、それがもたらす結果は家族の基礎を強化するものでなくてはならない』とする憲法第10条の条文に基づいている。第9政権〔=アフマディーネジャード政権〕は第7期国会と同様、家族というものを中心に据えている。そうであれば、たとえ裁判所が〔実際上〕自らの責務として〔第一夫人の意向を〕きちんと確認するとしても、〔女性たちに無用の〕不安を生じさせぬよう、裁判所のすべき義務を明確・明瞭に家族保護法案第23条補足に追記すべきではないか」と指摘する。

 アーリヤー議員はその一方で、次のように語る。「私は第23条を問題視しているわけではなく、前向きな一歩であると考えている。というのも、1353年〔1974年〕の家族保護法の第16条には〔夫の複婚の際の条件として〕第一夫人の許可が言及されていたにもかかわらず、1363年〔1984年〕以降、時代の要請により〈第一夫人の許可〉が法律から削除され、今日に至るまで夫の複婚について法律は沈黙し続けているからだ。そのため、男性は裁判所の許可を得ることなく、〔第一夫人とは別の女性と〕こっそりと結婚することができるようになってしまった。しかし今回の家族保護法案第23条は、最低でも男性に裁判所への申請を義務づけている点で、一歩前進であると理解できるのだ」。

 テヘラン選出のアーリヤー議員はまた、家族保護法案を政府に差し戻すための署名集めといったことは一切していないが、国会には法案を欠点のない完全なものにする権限があると釘を刺した。

Tweet
シェア


現地の新聞はこちら
関連記事(各界の関係者、一時婚をめぐって議論)

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:11831 )