原理派は最終的に誰を推すのか?:「連合政府」をめぐる思惑
2009年03月04日付 E'temad-e Melli 紙

【アクバル・モンタジャビー】「原理派は《連合政府》を樹立しなければならないのか」。恐らくこれこそが、原理主義諸派が今問いかけている、しかし答えの見つからないもっとも重要な問いであろう。

 ガーリーバーフはここ数日で、選挙への出馬に向けた決意をより固いものにしている。彼が視野に収めているのは、中間層と知識人層の票だ。しかし彼が対ハータミーだけでなく、対アフマディーネジャードについても考えをめぐらせていることは、間違いない。

 ガーリーバーフは一部で伝えられているように、〔ハータミーから票を奪い、アフマディーネジャードを有利にするための〕当て馬候補としてアフマディーネジャードに相対するつもりはないと語ったとされる。つまり、もし出馬するならば、現大統領の「影」としてではなく、原理派の最重要候補者となることを望んでいるのである。


 事の発端は、原理派の一部政治グループ内で最近、「体制の上級幹部の一人」がアフマディーネジャードに対して支持を表明したとの話が持ち上がったことに遡る。この話はここ最近、定期的にこれらのグループ内で取り沙汰されてきたもので、実際、原理派内部の分裂が表面化するのを嫌い、原理主義者全員が一致してアフマディーネジャードを支持している〔ことを強調するのに躍起な〕政権支持者らは、アフマディーネジャードが体制の上級幹部の一人から「特別な」支持を受けていることを、しばしば口にしてきた。
〔※訳注:「体制の上級幹部の一人」からの「特別な支持」とは、ハーメネイー最高指導者の支持表明を暗に示唆しているものと思われる〕

 このような情報はしかし、反応を引き起こさないわけにはいかなかった。そもそもガーリーバーフは何のために出馬し、誰がなぜ自らに出馬を促しているのかを知っているし〔※〕、「特別な支持」といったことについては寝耳に水だったからだ。
〔※訳注:ガーリーバーフは最高指導者から出馬するよう促す旨の「特別なメッセージ」を受け取ったと、一部で示唆されていることを指す〕

 〔保守派の代表的な新聞である〕ジョムフーリーイェ・エスラーミー紙はこの種の議論に対し、即座に注目に値する反応を示している。同紙は「最高指導部に近いグループ」の発言として、次期大統領に特定の人物がなるべきだといった発言を最高指導者が行ったとされる事実を否定し、次のように報じている。「最高指導者は次期大統領に関し、特定の個人を視野に入れていると、一部の政治グループに所属する人物が語ったとされているが、最高指導部に近いグループはこのような事実を否定している。彼らは、法に基づき大統領選挙で最大の票を獲得した人物なら誰であれ、最高指導者は支持するだろうと指摘している」。

 〔中略〕

 さて、今話題の中心となっているのは、「連合政府」に関する議論だ。「連合政府」の提唱者であるモフセン・レザーイーは、最近ハーシェミー=ラフサンジャーニーとともにイラクを訪問したが、その一方で、原理派の一部関係者とともに「連合政府」の樹立を模索していることは、周知の通りだ。

 モスタファー・プールモハンマディー全国査察庁長官〔元内相〕、ガーリーバーフ・テヘラン市長、イスラーム革命献身者協会の一部関係者、第8期国会原理派議員の幅広い層や技術者イスラーム協会といった党派は、アフマディーネジャード以外の人物を中心に連帯する必要があることを認めている。

 彼らはもちろん、アフマディーネジャードの排除を明確に表明しているわけではない。しかし彼らは、「奉仕の芳香」選挙本部にいるアフマディーネジャード支持者らに対して、もし「原理派大連合」に加わりたいならば、原理派の前提条件を受け入れることが必要だと迫っている。

 しかしアフマディーネジャード支持者らは、この要求に対していまだ回答していないと言われている。彼らにとって、アフマディーネジャードは原理派内部の諸党派の垣根を越えた存在であり、〔原理主義諸派の支援を受けなくとも大統領選で勝利を収めるのに〕必要な支持は集まっているとのスタンスを取っているからだ。

 このような中、イスラーム連合協会は4年前に彼らを襲った出来事が今回再現するようなことのないよう、中間的な立場を崩していない。彼らは4年前の大統領選挙で、「ナーテグヌーリー=アリー・ラーリージャーニー」連合を全面的に支持したが、結果はアフマディーネジャードの勝利に終わった。そのため、アフマディーネジャード政権の閣僚やその他高官が選ばれる際、彼らは〔ポストの〕配分をまったく受けることができなかったのである。

 しかし今回、イスラーム連合協会はハビーボッラー・アスギャル=オウラーディーをアフマディーネジャードとの面会に送り込むなど、政権と伝統右派との間の冷え切った関係の雪解けを模索している。その一方で彼らは、その他の原理派にも秋波を送っている。彼らは「連合政府」構想の詳細を提示するよう求め、それらを「検討」する姿勢を見せているのだ。

 イスラーム連合協会は、一方でアフマディーネジャードを視野に入れつつ、他方でアフマディーネジャードの名を「連合リスト」から外すことを内心望んでいる原理主義者たちの「地下」連合にも視線を送るなど、いまだにどっちつかずの態度を取り続けている。

 原理派の動向、及び彼らの間の新たな合従連衡に関しては、今後さらに多くの情報が明らかとなるであろう。われわれはこのコラムの中で、逐次これらの情報を追っていきたいと考えている。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:15993 )