大統領選で落選した三候補の代表、護憲評議会との協議で選挙の不正を訴える
2009年06月17日付 E'temad-e Melli 紙

護憲評議会は昨日、大統領選の各立候補者たちを招き、抗議を受けていた大統領選の問題点について協議した。

 昨日の会合には、メフディー・キャッルービー氏の代理としてゴラーム・ホセイン・キャルバースチー氏が、ミール・ホセイン・ムーサヴィー氏の代理としてアリー・アクバル・モフタシャミープール氏及びアッバース・アーホンディー氏が、モフセン・レザーイー氏の代理としてダーヴード・ダーネシュ=ジャアファリー氏が、それぞれ護憲評議会の元を訪れ、同評議会のアッバース・アリー・キャドホダーイー報道官や一般法学者のホセイン・アリー・アミーリー氏、その他二名の専門家とともに、選挙の過程や実施方法について協議、各候補者の不満点を評議会に申し入れた。

 ホルダード月22日〔6月12日〕にアフマディーネジャード政権のサーデグ・マフスーリー内相をトップとする内務省が実施した大統領選挙に関して、ミール・ホセイン・ムーサヴィー、メフディー・キャッルービー、モフセン・レザーイーの三候補は結果の受け容れを拒否、改革派候補者の支持者らは数日間にわたって抗議活動を続けている。

 そのような中、ミール・ホセイン・ムーサヴィー氏は日曜日、ハーメネイー最高指導者と会談したが、最高指導者は平静を保つことが必要だと強調して、「過去の選挙でも、一部の人や候補者から問題が提起されたことがあった。それらはいずれも、選挙に関する訴えの法的な調査権限をもつ護憲評議会によって調査が行われた。当然のことながら、今回も問題は法的な方法によって解決が図られねばならない」と指摘していた。

 この会談の後、アフマド・ジャンナティー護憲評議会書記は抗議の声を上げている各候補者らに対して、問題の調査をするために、書面にて訴えを提出するよう求めていた。また、キャッルービー、ムーサヴィー、レザーイーの三候補はここ2日間、護憲評議会を訪れ、選挙結果に対する抗議の意志を伝え、大統領選挙の無効を要求していた。

 昨日の会合に参加したゴラーム・ホセイン・キャルバースチー氏は、護憲評議会代表らとの会合の詳細について明らかにしている。

 まず最初に、護憲評議会は公平無私の立場で問題に取り組むべきだということが話し合われたという。ミール・ホセイン・ムーサヴィー氏の代理として会合に参加していたモフタシャミープール氏は、過去の護憲評議会の対応には偏りがあったと指摘、その上で今回の大統領選では選挙の実施者〔=内務省、政府〕と監督者〔=護憲評議会〕が一体となっていたと強調し、この二つが互いに重なり合っていることが問題の根源にあると述べた。〔※訳注:例えばエルハーム政府報道官は護憲評議会の委員の一人である〕

 キャルバースチー氏によると、この会合の中でモフタシャミープール氏はさらに、マフムード・アフマディーネジャード大統領とその選挙本部が政府の特権を利用して選挙活動を行っていたと指摘、一部の政府関係者や閣僚らが選挙活動を行うために〔国のお金を使って〕各都市を回っていたと述べた。同氏によると、選挙期間中、政府が持つ特権的地位が〔アフマディーネジャード大統領の選挙活動のために〕大きく利用され、ホッラムシャフル解放記念日といった公的行事や祝日も、政府は〔選挙のための〕道具として使っていたという。

 同氏はその上で、もし護憲評議会がこれらの事例を知らなかったのであれば、なぜ知らなかったのか問題であるし、もし知っていたのであれば、なぜ〔公私混同して〕政府の特権を個人的な利益のために用いるような人物の立候補資格を認めたのか問題であると質したという。

 モフタシャミープール氏はさらに、投票用紙の不足があったことを指摘、「すぐに投票用紙がなくなり、補充もなかったとする報告を多く受けている」と語った。同氏はまた、夜10時まで投票が続けられていたにも関わらず、一部の地域では午後4時には開票作業が行われており、この点も問題だと噛み付いた。

 モフタシャミープール氏はまた、護憲評議会は最高宗教指導者たちや検事総長、司法権長、護憲評議会、内務省、各候補者たち、及び独立した法学者一名からなる真相究明委員会を立ち上げ、今回の選挙に絡む15項目に及ぶ根本的問題について調査すべきだとも述べた。

 同氏はさらに、「イマーム・ホメイニーはかつて、護憲評議会に対して市民が路上デモになだれ込むような事態を避けるべく行動すべきだと語ったことがある。しかし月曜日に多くの群衆がアーザーディー広場に集まったように、〔護憲評議会は〕イマームのお考えとは逆の行動を取っている」と指摘した。

 キャルバースチー氏によると、続けてモフセン・レザーイー候補の代理として会合に来ていたダーヴード・ダーネシュ=ジャアファリー氏が発言を行い、次のように訴えたという。「〔‥‥〕市民一般の〔体制に対する〕信頼は地に落ちてしまった。この失われた信頼を取り戻すべく行動しなければならない。選挙問題に対しては巨視的な視点を持たねばならない。そのためには、政府が3ヶ月前から様々な名目で行ってきた政策、例えば《公正の株》〔※国営企業の株を、低所得者層を中心に配布する政策〕や〔公務員の〕給与アップなどの政策を通して、人々の間にお金を注入するようなやり方が、いかなる影響を〔有権者の投票〕行動に与えたかについて見直す必要がある」。

 ダーネシュ=ジャアファリー氏はさらに、護憲評議会の代表たちを驚かせるような報告を行った。同氏は資料を示しながら、一部の選挙区では投票数が有権者の数よりも最大で120%多かった例もあるとし、有権者の数よりも投票数の方が多いという問題があった選挙区160箇所を実名で挙げたのである。

 同氏はまた、全選挙区の5%及び1万2千の移動投票所の票の再集計を行い、違反がどの程度だったのかはっきりさせることが必要だと訴えた。

 会合に出席したキャルバースチー氏も、最近発表された声明でのキャッルービー氏の発言を引用して、アフマディーネジャード氏は選挙を安心して任せることのできるような人物ではないと指摘した。〔中略〕

 同氏はさらに次のように続けた。
アフマディーネジャード選挙本部はさらに、政府の特権を最大限に活用して選挙活動を行った。大統領は過去3年間、数十兆トマーン〔日本円で約数兆円〕の資金を国民にバラまいた。そのうちの一つが《公正の株》だ。《公正の株》によって〔国営〕企業の利益が〔配当として〕国民の手に渡った。そのため〔‥‥〕各企業はどれも、いまや破産寸前だ。これは国民の買収に他ならない。アフマディーネジャード氏のこのようなやり方は、選挙の雰囲気を不健全なものにした。

アフマディーネジャード氏はまた、テレビに出演し、ハーシェミー=ラフサンジャーニー専門家会議議長や最高指導者事務所のナーテグヌーリー査察室長を、〔金権腐敗に陥っているとして証拠もなく〕告発した。このような行為は犯罪行為だ。護憲評議会にお伺いしたいのは、アフマディーネジャード氏はアッバース・パーリーズダール氏とどう違うのか、ということだ。一方は数年もの禁固刑に処せられ、もう一方は大統領になるというのは、どういうことか。

 キャルバースチー氏はさらに、選挙当日の問題について、「この日、我が方の監視員3000名には投票所の監視が認められなかった。投票所で何が起きたのか、投票箱がきちんと封印されたのかどうかも分からない。さらにわれわれのもとに届いた情報によると、一部の選挙区では投票用紙が極端に少なくなっていたという。選挙のために刷られていたはずの投票用紙は、誰の元にとどまったのか?果たしてこれは前もって決まっていたことだったのか?」などと疑問を投げかけた。

〔後略〕

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:16750 )