イラン・米、45分間にわたり直接協議: 過去30年間で初
2009年10月03日付 Jam-e Jam 紙


【政治部】イランと米国で生じたここ1〜2年間の変革の波がきっかけとなって、30年前の国交断絶以来となる二国間の直接協議が、ジュネーブ会議の一幕において行われた。

 イラン・イスラーム共和国は過去数年間のうちほんの数回、米国代表が参加した〔多国間の〕会議に同席したことはあるが、先の木曜日、ジュネーブ会議の一端においてイラン・米国両代表の間で行われた協議は、代表のレベルや協議の場を支配した雰囲気といった観点からも、米国メディアの表現を借りれば、「異例の協議」と言えるものであった。

 ジュネーブ会議の午前と午後の基本会合の合間の休憩中に行われたこの協議では、イランのサイード・ジャリーリー国家安全保障最高評議会書記と米国のウィリアム・バーンズ国務次官が顔を合わせた。

 ジュネーブ発非公式情報によると、45分以上にわたって続いたこの協議は、単なる簡易的な協議でなく、その中で双方は一定の合意にまでこぎつけた、とされる。AFP通信が「試案」として報じているこの合意事項は、以下の通りである。イラン・イスラーム共和国は自ら濃縮した4%以下の濃縮ウランの大部分をロシアへ送り、そこで約20パーセントにまで濃縮させる。ロシアが濃縮するウラニウムは、フランス人専門家の手で、燃料棒の製造のために使用され、その後イランに送られて、テヘランの原子炉で使用される。イラン政府当局はこれまでのところ、この情報について確認も否認もしていない。

 イランと米国の代表同士の今回の協議に加えて、木曜日に米国から発せられた情報によると、イランのマヌーチェフル・モッタキー外務大臣はワシントンを訪問し、在ワシントン・パキスタン大使館内にあるイラン・イスラーム共和国利益代表部の職員らと面会したという。イラン政府高官がこの都市を訪れるのは、10年ぶりのことである。前回は、当時のキャマール・ハッラーズィー外務大臣が1999年に、ワシントンを訪問している。

 確かに、報道によると、モッタキー外務大臣のワシントン訪問は、イラン利益代表部との面会のみが目的であり、この訪問中、米国要人との面会は全くなかった。しかしながら、オバマ政権に近い筋はこの訪問について、イラン・米関係を覆う氷を打ち破る可能性を秘めたものと指摘している。

 米国のフィリップ・J・クローリー国務次官補(広報担当)はこの訪問について、「確かに、この訪問は通常のケースとは違う。しかしながら、この結果がプラスに働くか、マイナスに働くかは、将来判明することである」と述べた。更に同次官補は、イラン当局の今回の動きが、両国間の関係の本格的な変化を意味するものであるとは期待できないが、にもかかわらず、将来の変化へ向けた兆候として指摘することはできる、と述べた。

イラン暦1358年の外交関係断絶後のイラン・米国間の過去の対話

 米国がイラン暦1358年〔※〕にイラン・イスラーム共和国と国交を断絶した後、最初に米側と協議を行ったのは、ベフザード・ナバヴィー氏であった。ナバヴィー氏はイマーム・ホメイニーの代理人として、アルジェリア会談に臨み、米国人人質問題の終結について、話し合いを行った。彼の後、1度だけモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ国連代表(当時)が米国外交団と協議したことがある。この協議の後、アフガニスタン及びイラクという2つの隣国の諸問題に関連して開催されたいくつかの会議で、イラン代表らが米国代表らと同席したこともある。
〔※訳注:イラン暦1358年は西暦1979年3月21日〜1980年3月20日に相当するが、米がイランとの国交を断絶したのは1980年4月7日のことであり、それゆえイラン暦で表現するなら1359年の誤り〕

 ところで、しばらく前、具体的には先の米国大統領選の頃から、イラン・米関係を支配する雰囲気に、少なくとも口先のスローガンのレベルにおいて、変化が生じてきた。米共和党の好戦的政策に反対したことで米国大統領に当選したバラク・オバマ氏は、イラン・米間の直接的で前提条件のない対話を唱え始めたのである。

 イラン政府はホワイト・ハウスのこの動きに対する反応として、「もしこの提案が誠実なものであるならば、この提案を歓迎する」と発表した。今からしばらく前には、イランはこの〔米側の〕呼びかけの真意を測るために、5+1グループ諸国〔安全保障理事会常任理事国+ドイツ〕に対して、明確に章立てされた包括提案を提示した。こうした一連の〔米側の〕呼びかけと、イラン・イスラーム共和国による包括提案の提示によってもたらされた成果こそ、木曜日にスイス・ジュネーブで行われた協議なのである。

〔後略〕

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( 翻訳者:清水悠史 )
( 記事ID:17618 )