外相顧問「オバマの『チェンジ』が継続されるならば『アメリカに死を』のスローガンもなくなるだろう」
2009年11月25日付 Mardomsalari 紙

マヌーチェフル・モハンマディー外相顧問は、「イランでは、最高指導者のご命令から独立した行動を取ろうとした大統領や外務大臣が存在したことはなかった。アメリカとの話し合いは、いかなるものであれ、最高指導者の承認の下に行われる」と述べた。

〔中略〕

 同氏は「アメリカに死を」のスローガンはいつまで続くのかとの質問に答える形で、次のように述べた。「このスローガンは政府の公式のスローガンではない。これはイラン人民自身が〔アメリカ政府に対して〕示している〔自然な〕反応である。また、われわれが〔アメリカ政府との間で〕抱える問題は、アメリカ国民に対する敵意によるものではない。われわれがアメリカとの経済的・文化的な関係を断ち切ったことはないし、こうした関係はいまだに維持されている。彼らはわれわれとの関係を断ち切ったかもしれないが、私自身アメリカで教育を受けた人間〔であり、イラン国民にとってアメリカとの文化的関係は続いている〕」。

 同氏はさらに、次のように語った。「子供たちがアメリカの大学に行くのを禁じよう、などという意図は、われわれにはない。強要された戦争の時代、一時『アメリカに死を』だけでなく、『ソ連に死を』、『フランスに死を』のスローガンを、われわれは掲げたことがある。これはこうした国々の当時の敵対的行為・政策に対する人民の自然な反応であって、命令によるものではない。知っての通り、時代は変わっても、このこと〔=『~に死を』のスローガンは人民の自発的行為であるということ〕には変化がない。一時は、特にメッカ虐殺事件の際、『ファハド〔前サウジ国王〕とサウジアラビアに死を』のスローガンが叫ばれたこともある。今でも、イエメン問題で〔サウジアラビアに対する同様の反応がイラン国民の間に現れている〕」。

 モハンマディー氏はさらに、「〔アメリカなどの国との〕直接的関係をめぐる問題の根本には、我が国、及び世界の虐げられし被抑圧民に対するこうした国々の振る舞いがある。現在、『オバマに死を』のスローガンはイランでは唱えられてはいない。なぜなら、〔イランの〕人民はオバマに対して、政策の転換を期待しているからだ。もし『チェンジ』の流れが今後も続けば、『オバマに死を』が唱えられていないように、『アメリカに死を』のスローガンも徐々になくなっていくだろう」と指摘した。

 他方、第9政権とそれに続く第10政権の外交政策に対しては、政権支持派からでさえ、批判の声があるのも事実だ(もちろん、こうした批判は彼らの政権支持の声に比べればあまり目立たないが)。

 このことに関連し、ガーセミー司令官はヤズド医科大学で行われた「67年〔西暦1988年〕メッカ巡礼殉教者記念集会」の席上で、〔‥‥〕サウジアラビアでシーア派信徒に対して行われている殺戮について、イラン国営放送では十分な報道がなされていないと批判、〔‥‥〕「サウジアラビアにはアメリカナイズされたイスラームの溜まり場がある」と指摘して、「終末戦争は、アメリカとの間で起こるのではなく、むしろアメリカナイズされたイスラームとの間で起こるだろう〔‥‥〕」と述べた。

 同司令官は発言の別の箇所で、イランの敵について「もし抵抗すれば、彼らも後退する。もし沈黙を選べば、妥協を余儀なくされる」と喝破した。

 ガーセミー司令官はさらに、アフマディーネジャード政権の外交政策について、「アラブ首長国連邦やエジプトといった国々が、われわれに対して脅迫めいた発言をしてくるとは、なんと情けない外交か」と嘆いてみせた。

 とはいえ、ガーセミー司令官は政権が示している一部の立場については、それを支持する姿勢を示している。同氏はアフマディーネジャード大統領が提起している「ホロコースト」問題について、「この問題が提起されたことで、国内のシオニストたちがあぶり出された。彼らは『この問題はわれわれにどんな関係があるのか!?』などと言ってきた。彼らこそ、『ガザのためでも、レバノンのためでもない。私の命はイランのために捧げられる』などとシュプレヒコールを上げている連中に他ならない」と述べた。
〔※『ガザのためでも、レバノンのためでもない。私の命はイランのために捧げられる』はレバノンのヒズブッラーやパレスチナのハマースに支援を与える前に、まず国内問題の解決に取り組むべきだと主張するムーサヴィー派(の若者たち)のスローガンの一つ。ここで指摘されている「国内のシオニスト」もムーサヴィー派のこと〕

 サイード・ガーセミー司令官はイギリス人水兵がペルシア湾で拘束された事件について触れ、次のように語った。「われわれがイギリス人のスパイどもを逮捕したことに対して、ムーサヴィー氏は彼らを『水兵』などと呼び、われわれの行為によって国民的な名誉に傷が付いたなどと言った〔※〕。その一方でメッカで会ったナイジェリアのあるムスリムは、私に『あの日、私たちはナイジェリアでお祝いのお菓子を配ったよ』と言ってくれた。ムーサヴィー氏はまるでイギリス人の弁護士のような振る舞いをしている!」。
〔※大統領選の際、ムーサヴィー氏はアフマディーネジャード氏とのテレビ討論で、政権の外交政策を批判した際、イギリス人水兵拘束問題に触れて、「国民の名誉を傷つける」ものだと非難したことを指す〕

 同氏はさらに、最近の国内の政治的潮流について、「過去二回の大統領選挙によって、イマーム〔・ホメイニー〕の路線が復活を遂げた」と指摘、最後に「イマームの思想・路線を完璧に受け容れるか、それとも〔イラン・イラク〕戦争の時のある司令官〔※〕のように、『共通の利害をめぐってアメリカと話し合うべきだ』などと〔妄言を〕言うかのいずれかだ」と断じた。
〔※イラン・イラク戦争で「軍最高司令官」となったラフサンジャーニー元大統領のことを指すものと思われる〕

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:18050 )