大学生諸君、逸脱した思想に気をつけよ:新興神秘主義思想の大学への流入の実態
2010年02月10日付 Jam-e Jam 紙


【社会部】ここ最近、数十ものいわゆる「新興神秘主義思想」と呼ばれる宗教・宗派が、我が国の350万人に及ぶ大学生の中から信奉者を得ようと躍起になっている。その一方で、こうした宗派の影響下に置かれている学生たちの多くは、それがいかなる思想的ルーツをもつものなのか、しっかりとした知識をもっていないのが現状だ。

 こうした逸脱的な宗教(アーイーン)が信じる「神秘主義」は通常、快楽主義、安逸な生活、イスラーム法(シャリーア)の無視、合理的思考からの逃避、神の法からの離脱などを特徴とし、社会的無関心を喧伝することも多い。良く言っても、彼らは人間と神の関係を単なる心の問題へと貶め、自らの信奉者たちに神聖なるシャリーアで禁じられているさまざまな行為(例えば無規律な性的関係)への道を開こうとしている。彼らはそうすることで、懐疑心を持ちながら宗教(ディーン)の道を歩む人々にとって、自らを魅力的な存在として提示するのだ。
〔※訳注:「ディーン」はイスラーム教やキリスト教など一神教の宗教を指す時に用いられ、「アーイーン」はその他の多神教的な「誤った」宗教を指す時に用いられる〕

 メフル通信の報道によると、大学や寮などで、〔新興宗教における導師と弟子といった〕悪しき「師弟関係」が目に付くようになっているという。こうした現象には、新興神秘主義思想のごとき逸脱に対する盲目的な信奉が影響している可能性が高い。実際、人格的な弱さゆえに、自らを〔悪しき目的を追求する〕便宜主義者どもの支配下に置き、師弟関係的なつながりの中で(〔‥‥〕人間を自然な状態から逸脱させてしまうような食べ物を口に入れたり、といった)逸脱した行為に身を委ねてしまう人々がいるのである。

 ある人物が「ハーン」や「サーラール」〔※いずれも「長」という意味〕、「マルド」〔※神秘主義を極めた賢者のこと〕などと称し、虚弱なる思考に陥ったその他多数がこうした権力主義者の下に集まり、宗教的・社会的価値に反した環境に絡み取られ、さらには自らの人生の価値の隅々を権力主義者の支配の下に置いてしまう‥‥。一部学生団体に見られるこうした状況は、驚くべきものだと言っていいだろう。彼ら〔=神秘主義に陥った学生たち〕は、悪名高き「偽りの神秘主義」とは〔直接的な〕関係はないのかもしれない。しかし彼らは、イスラーム的な〔真の〕神秘主義が何を特徴とし、何を教えているのか、それを教える環境が脆弱であるために、〔‥‥〕快楽主義、安逸な生活、合理的な思考からの逃避などのニセ神秘主義思想が示す一部の特徴にはまり込んでしまうのである。

「神秘主義団体の跋扈は誇張」

 科学技術省文化担当次官は、ニセ神秘主義思想が学生たちの間に潜り込んでいるという事実を否定することはできないと指摘しつつ、「大学から伝えられる情報からは、ニセ神秘主義思想に〔一部の学生たちが〕引き寄せられているのは事実であり、確かに危険なことではあるが、しかししばしば誇張されているというのも事実である」と述べている。

 ゴラームレザー・ハージェ=サルヴァリー次官は、学生たちの間に見られる新興神秘主義思想への傾倒について、さらに「ニセ神秘主義思想への傾倒が学生たちの間に見られるということは、一つの事実である。しかしニセ神秘主義思想、ないしはわれわれの文化・習慣にそぐわない現象が、すべて、あるいは広範囲の学生たちに浸透しているというわけではない」とも指摘している。

学生たちの逸脱と社会の逸脱

 他方、科学技術相文化問題局局長は、〔学生たちが〕ニセ神秘主義思想に傾倒する兆候が大学で見られることについて、「ニセ神秘主義思想が大学に浸透し、学生たちがそれに傾倒しているといっても、その割合は小さなものである。とはいえ、全文化機関が逸脱した思想に真剣に取り組む必要があるというのも、まったくその通りである」と指摘する。

 ジャリール・ダーラー氏はさらに、「教育を受けた人々や大学関係者たちは、社会に大きな影響力をもっている。それゆえ、もし学生が偽りの神秘主義に走るようなことがあれば、社会にも多いに影響しうる。とはいえ、一部学生たちの逸脱傾向は、それ自身社会の影響だとも言える。つまり、大学も社会から無縁ではないということだ」と述べた。

 ジャリール・ダーラー氏は、ニセ神秘主義思想のごとき逸脱した思想に真剣に取り組むためには、文化機関が一致して、組織的な努力を行うことが求められるとし、次のように語った。「真の神秘主義思想が大学に普及することが、ニセ神秘主義思想に対抗する一つの方法である。国際社会が精神主義の方向に向かって進んでいる時代にあって、イランの大学環境が精神主義的な思想を求めることは自然なことである。それゆえ、真の精神主義が好ましい形で、また広範に〔大学に〕提供され普及することが重要だ。もしこの重要課題を実行に移せば、現在少数ながら見られるような新興の、ないしは世俗主義的な神秘主義思想への逸脱もなくなるはずだ」。

 同氏はまた、一部学生たちの間に存在するとされる「神秘主義者(ダルヴィーシュ)への崇拝」や〔神秘主義の師匠と弟子の間の濃密な〕「師弟関係」について調査が行われていることに関し、次のように述べた。「神秘主義者への崇拝や師弟関係的なつながりが〔学生たちの間で〕生じた原因の一つとして、〔利己的な〕利益追求主義者や権力主義者が自らの支配欲を満足させるために、一部の人々を自らの支配下に置き、彼らの個人生活にまで入り込もうと企てていることが挙げられる」。

 ジャリール・ダーラー氏はその上で、「もちろん、意識的かつ計画的に、イスラーム教国イランとその大学を知識の獲得と倫理の普及という真の道から逸脱せしめ、堕落を広めんとする流れも存在する。当然のことながら、一部の学生が麻薬や非健康的な薬を利用することは、こうした逸脱した潮流の受容という悪しき結果を招く可能性がある」と続けた。

科学技術省、対策に奔走

 科学技術省文化担当次官の宗教問題担当顧問は、宗教的に逸脱した潮流が大学に浸透しつつあるとの各大学からの報告について、「ニセ神秘主義思想についての報告は比較的少数であり、むしろ多いのは、思想問題における逸脱についての報告である。こうした逸脱はすべての大学に見られるものではなく、一部の大学に特に見られるものである」と述べた。

 モフセン・エスラーミー氏は、大学で見られるニセ新興神秘主義思想に対する啓発活動がここ数年間実施されてきたことについて触れ、次のように語った。「ニセ神秘主義思想について、大学関係者や文化関係者、大学の文化の専門家らを啓発するためのセミナーが開かれた。インドや中国などさまざまな流派〔の神秘主義思想について知るための〕研修が、各大学の幹部たちに用意された」と語った。

 同氏は大学関係者らの出席のもと、今年のエスファンド月〔2月20日〜〕から「判断力訓練プログラム」と題された研修が開かれる予定だと述べ、「こうした研修は、ゴム工科大学の協力の下で開かれることになっており、信仰〔に適した〕環境やニセ神秘主義思想についての講義が一つのパッケージとして提供される予定である」と述べた。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:18461 )