波紋を呼ぶアフマディーネジャード大統領の発言
2010年06月16日付 Mardomsalari 紙

【政治部】マフムード・アフマディーネジャード大統領のバッドヘジャービー(女性のヘジャーブの乱れ)に関する発言が、原理主義者たちの間で波紋を呼んでいる。ケイハーン紙は記事の中で、アフマディーネジャード発言を批判し、また行政公正院長も演説のなかで、この発言に厳しい反応を示している。またアフマド・ハータミー〔専門家会議議員〕も、アフマディーネジャード大統領に対しコメントをしている。

 これに関し、行政公正院長は社会に悪習やバッドヘジャービー、〔性的〕放縦が蔓延している状況を批判し、次のように述べた。「イスラームの価値観を守ると誓った人が、敵や社会規範を守ろうとしない人たちに悪用されるような発言をするとは、思ってもみなかった」。

 ISNA(イラン学生通信)によると、ホッジャトルエスラーム・ヴァルモスレミーンのモハンマド・ジャアファル・モンタゼリー氏は行政公正院の一般委員会の会合の中で、ラジャブ月1日(西暦6月13日)のイマーム・ムハンマド・バーキルの誕生日に際して、次のように述べた。「〔‥‥〕社会に悪習が広まり、バッドヘジャービーや〔性的〕放縦が生じている状況に対して、すべてのウラマーや宗教的権威(マルジャ)が抗議し、また敬虔な信者やヘズボッラーな人々〔=イスラーム共和国体制を熱烈に支持している人々〕が各都市でデモ行進を行い、シュプレヒコールをあげて、関係者に対してバッドヘジャービーに対策を講じ、事態を改善するよう〔‥‥〕求めている、そういうときに、大統領が国営メディア〔=イラン国営放送〕の生放送でのインタビューで、大統領にふさわしからぬ発言をしないよう指摘することが、自らの義務であると自覚している」。

 同院長はさらに、「今年を“文化の年”と名付け、国会の中でコーランに対して、イスラームと聖なるシャリーア、そしてその光輝く法規定に誓いをたてた人〔=大統領〕は、敵や一部の社会規範を守らない人が悪用するような発言をすべきではない」とも述べた。

 モンタゼリー氏はまた、「われわれは神の命令の実行に抗い、不道徳な本を出版したり、この種の〔不道徳な〕文化を吹き込もうとしようとしている者の手に、武器を手渡してはならない」と明言し、さらに次のように述べた。「ある一人の警官の行いや、規範を守らない人の取り締まりの仕方に問題が生じても、その問題を取り除く必要はない、と言うつもりはない。我々は問題を解決しなければならない。そうではなく、我々が批判しているのは、なぜ彼〔=アフマディーネジャード大統領〕はイスラームの教えの中にないようなことを言わねばならなかったのか、ということだ」。

〔中略〕

 モンタゼリー氏はその上で、次のように述べた。
社会の中で慣習的に善といわれていることが、善なのではない。神が善として指摘していることが善なのであり、イスラームの聖なるシャリーアが善だと指摘していることが、善なのである。次のように仮定してみる。もし社会がイスラーム的禁忌をある日突然善であるとみなしたら、果たしてこれは、西洋のように、新たに善となるのであろうか。

〔‥‥〕ちょうど今朝、スカーフを取って車を運転している女性を見た。これは誰の責任なのだろうか?社会にイスラーム色をいきわたらせるのは、誰の義務なのであろうか?果たして社会の〔あるべき〕環境とは次のような個人の環境をいうのか。たとえば、ご婦人や若い女性が好きなように服を着て化粧をする。あるいは好きなものを国外から取り入れ、道徳的堕落の背景を用意する、そういった環境のことなのだろうか。

ヘジャーブについて、また男女が〔互いの姿を〕見るときのエチケットについて、また〔男女の〕相対し方はどうあるべきかについて、〔コーランには〕多くの章句が存在する。これらの章句は、どのような状況のためにあるのだろうか?イスラーム体制では、慣習を守らない人々の数が最小限になるよう状況を整備する責任は、関係者にはないというのだろうか。

なぜ一部の人は、ある日突然、護憲評議会のように振る舞い、法律を憲法違反だなどと指摘し、またあるときはイスラーム法学者のように振る舞って、ファトワー(教令)を出そうとするのだろうか。〔※〕

〔※訳註:「護憲評議会のように振る舞い、法律を憲法違反だなどと指摘し」とは、先日アフマディーネジャード大統領が国会が可決し、護憲評議会が正当と認めた一部の法律を憲法違反だと批判したことを指す。法律を憲法違反だと批判する権限は大統領にはなく、それゆえモンタゼリー氏はアフマディーネジャード大統領の行動を職権を超えているといって批判している〕

〔後略〕

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( 翻訳者:加藤祐大 )
( 記事ID:19536 )