トヨタヨーロッパ社、「トルコはトヨタの希望の星」
2010年12月09日付 Radikal 紙


トヨタヨーロッパ社のミシェル・ガルデル環境兼渉外担当取締役は、トヨタにとってトルコのマーケットはヨーロッパの中で最も急速に拡大しており、シェア四位になったとし、「トルコのマーケットは安定していないと主張するものもいる。しかしトヨタにとってトルコはとても有望なマーケットである」と述べた。

ガルデル氏はトヨタの環境哲学について語り、各ブランドが、特にプラグインハイブリッド車に関して、一つのマーケットとなっていると述べた。

ガルデル氏はまた、プラグインハイブリッド車は短期間の内に市場を席巻することはないとしながら、ハイブリッドテクノロジーの技術的な面について以下のように説明した。ガソリン1キロから一時間当たり10,000ワットの出力が得られるのに対し、バッテリー1キロからは一時間当たりわずか200ワットしか得られず、その比率は50:1であり、エネルギー密度の不足が、電気自動車の前に立ちはだかる最大の障害となっていると説明した。

ガルデル氏は、技術の進歩に希望が持てるとし、特にプラグインハイブリッド車を用いることでエネルギー密度の不足という問題が解消され、短距離では電気自動車として、そして長距離はガソリン車と電気自動車を一つにしたハイブリッドシステムが使えるようになると明らかにした。

ガルデル氏は、柔軟性という点でプラグインハイブリッド車もしくはフルハイブリッド車技術の予備はまだないと強調し、現在のバッテリー技術が不十分な為であると述べた。

ガルデル氏は、将来ハイブリッド車が市場の15%を占める事を期待していると述べ、特にフランスやノルウェーのように二酸化炭素を排出しない電力生産で実績のある西側諸国で、この割合が増えることになると語った。
ガルデル氏は、電気自動車を使用する際、利用する電気が生産される際二酸化炭素を発生させているかどうかに注目する必要があるとし、「電気を生産する際に、パーム椰子が使われる場合、これが二酸化炭素発生の原因となる」と述べた。

■環境にやさしい車を高額で買おうとはおもわない

ガルデル氏は、ハイブリッド車の価格に言及し、この技術には多大なコストがかかっているが、彼らが手掛けた製品(車)を市場には通常価格でお届けしたとし、この件について国からの助成を期待していると語った。

ガルデル氏は、我々はメーカーとして仕事をしてきたが、ここで国としても何かをすべきだと強調し、「例を挙げる必要があるなら、フルハイブリッド車をヨーロッパに投入した際、国は、ハイブリッド車を購入するにあたり2千ユーロ補助金を出してハイブリッド車の普及に一役を担っている。これにより我々はハイブリッド車をディーゼル車の価格で提供するのが可能となっている」と述べた。

ガルデル氏は、環境にやさしい車が、日に日に関心を呼んでいるとし、「人々は環境にやさしい車に多くのお金を払う用意がない。このテクノロジー車に多くのお金を支払いたくはないのだ。市民はこのことで国から援助が成される事を望んでいる」と語った。

ガルデル氏は、「環境にやさしい」車の生産を増やすためには、国の援助が条件となっているとし、ハイブリッド車が適正価格で提供されない場合、売り上げは期待できないこと、なぜなら購入の最終決定権は購入者にあるからだとした」

■360度(循環型社会への)視点

トヨタは“緑(環境)”を重視し、また“360度(循環型社会への)視点”を確立させたとするガルデル氏は、このプロジェクトの役目はただ環境にやさしい車の生産で終わるものではなく、車の原材料の構成や車体重量の軽減化といった、これから更なる進展がみこまれる開発だけでなく、生産段階で二酸化炭素の排出がない植物由来のエネルギー(バイオエネルギー)といった多くの点が注目されていると述べた。

ガルデル氏は、商品(車)輸送において、車がTIRに積載され運搬されることにも、環境という点を配慮し、制限が加えられたと説明し、特にヨーロッパをはじめとして販売する側も、二酸化炭素の揺れ幅をさらに少なくする「緑の建物」の建設に入ったこと、これらの建物は雨水を貯めて洗車用に用いること、そしてその雨水をさらに再利用するようにしていると説明した。
360度(循環型社会への)視点は、車のリサイクルを確かにすることに重点を置くとするガルデル氏は、リサイクルは現在85%程度であるところを、95%に上げたいと述べた。

ガルデル氏は、「ハイブリッド技術がより普及するために、エネルギー生産者、石油会社、政治家達は、より環境に配慮し、クリーンで、Co2排出量の少ない世界の実現に向けて一緒に取り組み続けてもらいたい」と述べた。

■イギリスとトルコでの生産増を計画中

ガルデル氏は、国外の生産に関して、円高と関税問題により日本からの輸入が難しくなっていると説明し、「そのため生産を、ヨーロッパやトルコでさらに集中的に行っている。こうして関税や為替の問題は解決している。なぜならこれらは販売の際に価格に影響を与える非常に重要な要素だからだ。販売する車の70%を今やヨーロッパで生産している」と語った。

ガルデル氏は、さらなる計画の中に新しい車種の生産をトルコで行うことは含まれていないが、これは将来は可能性があるということを示唆し、トヨタの投資をこれ以上は増やさないこと、そして現在利益の出る価格帯を拡大し、特にイギリスとトルコでの生産を増やすことを考えていると語った。
さらにトヨタとして、トルコをヨーロッパの一部とみなし重視していることを強調し、「トルコ市場は、ヨーロッパでもっとも急速に拡大している、ヨーロッパ第四の市場です。トルコ市場は不安定だという声もあります。しかしトヨタにとってトルコは希望を与えてくれるような経済力を有しています」と話してくれた。

ガルデル氏は、環境にやさしい車のために、トルコ政府による推進策や減税措置を期待するとし、「特にイスタンブルの交通事情を考えると、こうした車は必要である」と述べた。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:有田潤 )
( 記事ID:20915 )