ハーメネイー最高指導者「西洋はイランに制裁を科し、自ら経済危機に陥っている」
2011年08月09日付 Jam-e Jam 紙

 イスラーム革命最高指導者のアーヤトッラー・ハーメネイー閣下は日曜日の午後、行政権、立法権、司法権の各首脳、専門家会議議長、閣僚、国会議員、各機関の責任者、金曜礼拝導師、各州に派遣された最高指導者代理、及び軍の司令官らと面会し、演説を行った。

 極めて重要なその演説の中で、同氏は周辺地域ならびに世界が直面している前例なき状況について指摘し、さらに国の現況について総合的な分析を行った。ハーメネイー最高指導者はその上で、次のように強調した。

革命から32年を経たイスラーム体制の〔世界における〕位置を現実的な視点から評価するならば、国は今、〔‥‥〕偉大かつ想像を絶する成果・進歩を遂げたと言えるだろう。その一方で、〔可及的速やかに解決が図られるべき〕優先課題や、やり残された仕事の数々もいまだ存在することも事実である。

団結し、心を一つにし、昼夜を問わず努力を続け、基本原則や価値を守り通し、人民の体制に対する比類なき信頼を活用し、若者の間にみなぎる高いレベルの国民的自信に依拠することで、今あるチャンスを最大限利用し、周辺地域や世界におけるイスラーム的イランの地位を自らに相応しいレベルへと引きあげることが必要だ。

 イスラーム革命最高指導者は、国の現状を評価するに当たっては、つねに現実的な視点をもつことが重要だと指摘し、次のように続けた。

国が置かれた状況について正確で現実的な見方をするには、周辺地域や世界の現況をきちんと考慮に入れることが必要だ。なぜなら、周辺地域における現在のイスラームの目覚め、西洋に降りかかる驚くべき経済危機、そして西洋で伸張する過激主義〔※ノルウェーで起きた極右による銃乱射・爆破事件を指す〕は、イスラーム革命の勝利以来、これまでに前例のない域に達しているからだ。

 アーヤトッラー・ハーメネイー閣下はさらに、次のように指摘した。

周辺地域や世界を取り巻く、こうした前例のない状況は、イスラーム体制に対して大いなるチャンスを与えるものだ。もし国の置かれた状況を現実的な視点からきちんと評価することができなければ、こうしたチャンスもあるいは失われ、あるいは脅威へと変わってしまうだろう。

 同氏は、国の状況を正しく評価するためには、現実主義的な見方を保ち、一方的な判断は控えることが必要だと指摘し、「国の現状を検討するに当たっては、強みだけでなく、弱点も直視する必要がある。行き過ぎたマイナス思考も、また同様に行き過ぎたプラス思考も、ともに控えるべきだ」と続けた。

 同氏は一部の関係者や政治エリートたちの間で、行き過ぎたマイナス思考が見られることに不満を表明した上で、こうした見方がもたらす社会的結果は絶望であるとして、さらに「残念ながら、私利私欲のために否定的なタイトルばかり並べ立てているプレスも一部に存在する。こうしたやり方は間違っている」と指摘した。

 アーヤトッラー・ハーメネイー閣下はその上で、「単なるプラス思考もまた誤りである。それは偽りの満足をもたらすだけだ」と強調した。

〔‥‥〕

「政治や経済の領域で血縁主義が横行していることも、イランの弱点の一つである」

 アーヤトッラー・ハーメネイー閣下は、政治や経済の領域で血縁主義が横行していることも、〔イランが抱える〕弱点の一つであると指摘した上で、〔‥‥〕「経済の領域で多くの仕事がなされてきたことは事実であるとしても、雇用やインフレ、労働文化など、いまだ解決されていない問題も残っている」と指摘した。

 革命最高指導者は、これまで以上に真剣な眼差しを向けるべき領域の一つとして、大衆文化を挙げ、「忍耐、感謝、〔神の名の〕唱和、善行、他者への愛情、自主的な奉仕、同胞への暴力の抑制、こうした精神が日一日と社会の中で拡大していくことが大切だ」と続けた。

 同氏はイスラームの信仰基盤や革命について、〔民衆の中で〕正しい議論が行われていないことも〔イランが抱える〕弱点の一つだと指摘し、これらの議論の総括として、次のように強調した。「強みは〔人々の間に〕希望を増大させ、弱点は取り組むべき優先課題を指し示すものである。それゆえ、国の現状を評価するに当たっては、つねにプラスの点とマイナスの点をともに見比べることが必要だ」。

「地域の現状はアメリカの思惑とは反対の方向に進んでいる」

 アーヤトッラー・ハーメネイー閣下は続けて地域の状況についても触れ、「現在地域を支配している状況は、アメリカや国際的シオニズムの想像・思惑とは反対の方向に進んでいる」と強調した。

 イスラーム革命最高指導者はその上で、「世界の列強は、経済制裁を科すことでイランを麻痺させようと企んでいる。しかし現在、神の運命により、〔イランに制裁を科している西洋こそ〕自ら厳しい経済危機に見舞われている」と続けた。

 ハーメネイー閣下はさらに、「彼らはイスラーム共和国体制を転覆させるために、88年の反乱〔※2009年大統領選後にイランを襲った暴動のこと〕を支援、あるいは準備した。しかし状況は反転し、今やアメリカに従属する中東地域の体制・政府こそ、次々と打ち倒され、あるいは動揺をきたすようになっている」と指摘した。

 同氏はその上で、「アメリカと一部の西洋列強はイランを包囲するべく、アフガニスタンやイラクを軍事攻撃した。しかし今や、彼らはこれら両国において泥沼にはまり込み、逆に彼らが包囲されるようになっている」と述べた。

〔‥‥〕

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:23699 )