アサド大統領インタビュー(4)―トルコも痛い目にあう
2012年07月06日付 Cumhuriyet 紙

インタビュー1:撃墜事件はおこるべきではなかった
インタビュー2:エルドアンは神の啓示でも得たのか?
インタビュー3:すべて、想定外
インタビュー4:トルコも痛い目にあう
インタビュー5:「アラブの春」は世俗政権を脅かす

バッシャール・アサドシリア大統領は、PKKを支援しているとの疑惑に対して答えた。

バッシャール・アサドシリア大統領は、PKKの最近の攻撃の陰にシリアがいるとする主張について、「私自身頭の痛い問題を抱えているとき、あなた方にかまっている暇などない。私の問題はあなた方に影響するだろう」と話した。アサド大統領は、この地域に独立クルド国家が樹立されれば、他の国家も樹立されるということになりかねないと主張した。

ジュムフリエト紙がアサド大統領とダマスカスで行ったインタビューの第4弾において、シリア指導者アサド大統領は、PKKとシリアが手を結んでいるという噂に対し、考えを述べた。シリア指導者が本紙の質問に対し返した答えは以下の通りである。

■「治安の欠如はテロを助長」

― PKKがシリアで別の名前で組織化されていることは皆が知っています。トルコで一時期エスカレートしたテロの背後にシリア政府がいるという噂がある。このことをどのようにお考えか。

これは間違っている。おそらくこのように考える人々は私たちを悪者のように見せたがっている。私たちは悪者ではない。こうしたことは、こんなことを言う人びと、噂する人びと自身の中にこそ悪が存在することを示しているに他ならない。なぜなら、同じ論理で考えるなら、私たちも、シリアで活動しているアル・カイーダをどこからか誰かが連れてきたと考えなければならなくなる。こう言いたい、問題はこうである…もしあなた方に治安面での問題があれば、それは常に別の解釈が成り立つ。つまり、このような状況でもし治安面での欠如があるなら、テロの可能性はもっと増えるのである。

さらに考えてみてください、私たちが、シリアで国内の様々な問題に取り組んでいるときに、自分たちの任務を放り投げ、誰かを連れてきて、トルコ国民に危害を与えようと考える、これが論理的なことだというのですか?トルコにおいて治安の欠如がある。これはAKP政権の内外政治の結果である。問題を外に投げ出して他人に罪を着せるのは簡単だ。私が直面している問題があるなら、それは君にも隣人として影響する。君が直面する問題があるなら、私にも影響する。これは当然なことだ。

■「シリアが頭の痛い問題を抱えるなら、トルコにたいするテロ攻撃は増える」

私たちがこの大問題に直面しているとき、自分の問題を抱えているのに、出て行ってあなた方にこの問題において手助けできる状況にはない。

― 手助け、と言うが、それは何を意味するのか、説明してもらえるか。

あなた方とともにPKKに対して攻撃することを言っている。私があなた方をPKKから守るためにはまず自分自身を守ることができなければならない。自分自身を守れないのにどうやって手助けできると言うのか。

■「証拠を見せてほしい」

― 一緒に戦うということだが、活動しているPKK員がシリアから支援を受けていたという主張について聞きたいと思っていた。

証拠があれば見せてほしい。トルコは30年間PKKと戦っている。私が言及する必要もないほどに。私たちとトルコの関係が最良で、トルコ軍との軍事協力が続いている時期でさえPKKはテロ活動を行っていた。今少なくともシリアが自身の問題を抱えていて、治安上の問題が明らかになった時、トルコに対するテロ活動の増加はもっともなことだ。

■「エスニックな多様性は財産であると考えるべきである」

― クルド問題はどこへいくのか。

私たちがいるこの地域が、どれほど入れ子構造になっていて、複雑であるかあなたも知っているでしょう。どの社会も集団も、自らの文化を保持したいと思っている。実際これは立派で健全なアプローチである。ここでの問題は次のようなことである、誰かがやってきて、こうした状況から恩恵を得たい(利用したい)と考えた。しかしこの私たちの文化的多様性が国家利益と衝突した。どうなるのか?私の考えはこうだ。国家の力とは、その中のエスニックな、宗教的なそして文化的社会構造が豊かで、まとまりを見せていることによりもたらされる。これを、いかなる国家でもこれらを恐怖や不安の種のように見なしてはいけない。これを、豊かさをもたらす要因と受け取るべきである、そうした考えに基づいてふるまうべきである。しかしもちろんこの振る舞いは、分離主義的考えにつながるようなものではない。

■「他の国家も誕生するだろう」

― 中長期的に見て、この地域に独立クルド国家が樹立されるとお考えか

いかなる「国でもこの種の分離は起こらないと考える。もしこのようなことがおこる可能性があるなら、とにかくその時は、一つだけではなく複数の国家が誕生するはずだ。つまり各エスニック集団も宗教集団も自身の国家を望むからだ。私はシリア国民がこのようなことを考え、ここから離れて出ていくことを望んでいるとは思わない。何年もの間一緒に生きてきた。なぜこうした事態が最近起こったのか、それを考える必要がある。なぜなら帝国主義国家が関与しているからだ。ロレンス以降今まで起こった出来事をしっているでしょう。私たちは相互に尊敬しながら共存するべきだ。この地域すべてにおいて平等の原則に基づいた行動をするなら、この危機を脱出できる。帝国主義者たちの引いた国境を取り払うつもりだ。

■「もはや交易ではない、テロがやってくる」

― 最近の危機は二国間の貿易関係にどのように影響したか。

残念ながら、一時期貿易で潤っていた国境地域に、すでにトルコ側からシリアに武装テロリストたちが入ってきている。一方で、トルコ政府と大きなプロジェクトについて話し合っている。国境地域が二国にとっての開発拠点となるようなプロジェクトを計画している。しかし残念なことに、開発とテロがともに並ぶことはない(訳者註:テロが起これば開発は行われない)。

■「最後まで抵抗する」

― 経済制裁はシリアにどのような影響を与えるか。どこまで耐えることができるか。

好きなだけ経済制裁を行えばいい、皆知るべきである、私たちは決して自分たちの名誉、国家ヘゲモニーを、そして私たち自身を、ひとかけらのパンのために売らないことを。私たちは最後まで抵抗する。これを皆は知ることになる。3-5ドルのために降伏するような状況にはない。好きなだけ経済制裁を行えばいい、決して成果は得られないだろう。市井の人々はこのことを分かっている

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( 翻訳者:藤井彩香 )
( 記事ID:26954 )