最高指導者「西洋の模倣は自由と対立」
2012年11月15日付 Jam-e Jam 紙

 約150人の思想家や選良、大学や神学校の教授、研究者、ならびに学術書の著作者らが火曜日、イスラーム革命最高指導者のアーヤトッラー・ハーメネイー閣下とともに、第4回「イスラーム共和国戦略思想会議」の場で、「自由」という問題の諸側面について議論・検討を行った。

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 ハーメネイー最高指導者はこの会議で、イランでは自由という概念の諸側面について認識・明示することに対し、大いなる空白・不足があったと指摘した上で、「西洋ではここ数世紀、その他のテーマと比べて、自由に関する議論が特に注目されてきた。その総体的な理由としては、西洋ではこのカテゴリーについて、一種の知的激変へと帰着するような出来事が生じたことが指摘できるだろう」と述べた。

 同師は「ルネサンス、産業革命、フランス大革命、そしてソビエト10月革命」こそ、西洋において自由に関する大規模な知的うねりを生みだした根本的な出来事・要因だったとの見方を示し、次のように付け加えた。「西洋とは異なり、われわれは立憲運動が起こる前まで、自由について知的うねりが生じるような状況にはなかった。こうした状況は〔立憲運動を経ても〕、知識人たちの西洋思想への模倣という重要な問題が存在したために、自由という概念についてこれといった成果を生みだすには至らなかった」。

 アーヤトッラー・ハーメネイー閣下はこの問題について、さらに次のように指摘した。

他人から知識や動機付けを得るような場合、もしそこに思考運動が伴うのであれば、〔新たな〕思想を生みだすこともあるだろうが、しかしもし何らかの思想を別所から得て、それを模倣するだけならば、当然何も〔新しいものは〕生まれない。こうした事実から、自由に関する西洋思想を知識人たちが模倣したことが、立憲革命後、斬新な思想や新たな思考体系が〔イランで〕生まれなかった原因だといえるのである。

イスラームには自由について豊富な文献が存在する

 革命最高指導者は、イスラームの文献には自由について豊富な記述があると指摘した上で、「こうした文献が存在するにもかかわらず、今日われわれは自由について多いなる空白を抱えている。自由という概念をめぐって提起されている問題や疑問のすべてに、思考をめぐらせて答えることで、〔自由に関する思想の〕体系作りに邁進する必要があるのだ」と付け加えた。

 同師はさらに、「この目的を達成するには、真剣に仕事をし、イスラームおよび西洋の様々な文献を渉猟することが必要となる」と強調した。

 革命最高指導者はこの会議で議論されているテーマについて説明する中で、「自由と言うときに意図されているのは〔通常〕、世界中の大学関係者や知識人らの間で広まっている例の一般的な意味、すなわち個人的・社会的自由のことであり、精神的自由や、神への道の自由のことではない」と指摘、その上で自由をあらゆることからの絶対的解放と見なす思想を批判し、「自由について論ずる際、〈制限〉を恐れてはならない」と続けた。

 革命最高指導者はまた、われわれは自由という概念についてのイスラームの見解を知ろうとしているのだと強調した上で、自由に関するイスラームの視点と西洋の視点の最も重要な違いは、自由の源泉・基礎にあるとの見方を示し、「リベラリズムの思想では、自由の源は人間中心主義、すなわちユマニスムにある。しかしイスラームでは、自由の基礎は神への信仰と偶像に対する不信仰という意味でのタウヒード(神の唯一性)にあるのである」と付け加えた。

 アーヤトッラー・ハーメネイー閣下はその上で、「イスラームの見解では、人間は神への隷属を除いて、いかなる束縛からも自由である」と強調した。

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 アーヤトッラー・ハーメネイー閣下は「イスラームにおける自由という概念」に関するこれまでの自らの議論をまとめる中で、「イスラームと西洋とでは、自由という概念に極めて深い基本的違いが存在する。そうであるならば、果たして西洋的な視点・見解からの《自由》に関する研究を参照することに、価値はあるだろうか?」との問いを提起した。

 同師はこの問いに答える前に、西洋社会における自由の現実について、いくつかの例について指摘した。イスラーム革命最高指導者は、・経済的資本家のグループに位置づけられ、〔その地位から得られる〕特別な特権が利用可能である場合に実現される「経済的な領域における自由」、・二大政党による〔権力の〕独占を前提とした「政治的領域における自由」、・同性愛といった〔道徳的・性的〕堕落の発生を伴う「道徳的問題における自由」、などを西洋社会における自由の一つの結末であると指摘した。

 同師はその上で、「こうした問題〔=経済的富と政治的権力の独占、および道徳的放縦〕は、極めて悪質かつ不快・醜悪で、ときに忌むべき西洋社会の現実を示すものであり、その結果、差別と権力主義、好戦主義、そして人権や人民主権といった高貴な概念に対する選択的対応〔※あるケースでは人権問題を強く主張し、別のケースでは人権問題に触れないといったダブルスタンダードな対応のこと〕が生みだされているのだ」と付け加えた。

西洋の思想家の見解を参照することも必要

 アーヤトッラー・ハーメネイー閣下はその上で、「こうした遺憾な現実があるにもかかわらず、西洋の思想家の見解を参照することは自由という概念に関する研究にとって有用である。なぜなら、西洋人は自由についての思想体系を作り、それについて互いに意見を戦わせることにおいて、豊富な経験を有しているからだ」と強調した。

 同師は最後に、「模倣的な視線を慎むことが、西洋の思想家たちの見解を参照する際の基本的条件となる。なぜなら、模倣は自由とは対立するからだ」と指摘した。

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(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介
されています。)

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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
( 記事ID:28264 )