医薬品、あと2ヵ月で底:イランで医薬品危機が進行中
2012年11月22日付 Mardomsalari 紙

 ここ1〜2ヵ月の間に報じられた報道は、人々の健康や保健の領域、特に医薬品の確保をめぐって危機的状況が生じていることを物語っている。この危機は直接的、ないし間接的にイラン政府に科せられた制裁に関係しており、一部の専門家はこうした状況に警告を発して、目前に迫った危機打開に向けた解決策を見つけ出すよう、政府に求めざるを得ない状況にまでなっている。

 食糧・医薬品機構のアフマド・シェイバーニー長官は先日、海外の企業が今後イランへの医薬品の販売を停止することになれば、大いに憂慮すべき事態が生ずるだろうとの認識を示した上で、「こうした問題を考えるならば、国の責任者たちは外交チャンネルを通じた医薬品への制裁解除に向けて努力すべきだ」と指摘した。またこれより前に、国会の保健委員会の委員長は、「国が抱える医薬品の在庫は、今後2ヵ月で底をつく」と述べていた。

 ホセインアリー・シャフリヤーリー委員長は、政府の責任者たちを強く批判した上で、次のように指摘した。「国の医薬品をめぐる展望は決して楽観できるようなものではない。残念ながら、政府の責任者たちは、自分たちが病院に行って治療を受けられるのと同じように、一般の国民も〔病院に行けば〕問題は解決するなどと〔安易なことを〕考えている。社会の健康は、遺憾なことに、政府の責任者たちにとって重要なことではないのである」。

 また先週、保健委員会の副委員長も、医薬品の確保・備蓄に対する保健医療教育省のパフォーマンスについて、極めて貧弱なものだと指摘し、「そのため、現在国は医薬品の不足という危機的状況に直面している」と述べている。その他の国会議員らも、今後の医療分野の状況についてきちんとした予測をしていれば、保健省の責任者たちは現在の危機を回避できたはずにもかかわらず、残念なことにこうした将来予測は行われなかったと口々に指摘している。

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医薬品の不足は制裁の結果

 これまでのところ、血友病患者支援財団や特殊疾患財団といった一部の組織は、国際機関に対し、医薬品に対する制裁は反人道的であるとして、それを非難する書簡を出している。こうした書簡は政治的・プロパガンダ的側面以上に、イランでの医薬品危機が極めて深刻であることを示している。

 このことを確認するには、約10日前に複数の通信社で報じられた「デズフール在住の15歳の血友病患者の青年マヌーチェフル・エスマーイーリー=リーヴェスィーが、医薬品を手に入れることができなかったために亡くなった」との驚くべきニュースを、そのままの形で繰り返すだけで十分だろう。

 この報道と時を同じくして、イラン血友病協会の代表は次のように語っている。「現在、血友病患者が治療薬にアクセスできる可能性は、医薬品への制裁のために極めて低いものとなっている。事実、現在の医薬品の不足のために、患者は自宅での投薬治療ができず、危険な状況にあっても医薬品を利用できないでいる」。

 アフマド・ガヴィーデル代表はさらに、「アメリカやヨーロッパ連合は、医薬品や食料品は制裁品目から外す人畜無害な〔制裁〕決議のウラで、我が国の銀行に制裁を科すことで、最も過酷な非人道的圧力をイラン国民、特に患者という弱者にかけていると、イラン血友病患者は考えている」と述べている。

 同氏はその上で、「ヨーロッパ連合ならびにアメリカを含む、西洋による制裁がイランに科された瞬間から、われわれは医薬品の確保で問題に直面してきた。ところが西洋は、医薬品は制裁品目には含まれていないなどと言っている。確かにわれわれは、アメリカ国務省のウェブサイトで、同国が医薬品を制裁対象としていないことを示す資料をみたことがあるが、しかし実際には、これは中身のない主張に過ぎない。というのも、西洋が我が国の銀行に制裁を科せば、医薬品市場における輸入・経済取引に根本的問題が生じることになるからである」と説明している。

 国家医療制度機構のセイエド・シャハーボッディーン・サドル長官も、この件について「確かにわれわれはイスラーム革命以降、様々な分野で様々な制裁に直面してきたが、しかし数年前から、制裁はより広範囲に国民〔生活〕に対して行使されるようになっている」と指摘する。

 サドル氏は政治的・軍事的側面をもたない制裁がイラン国民に対して行使されていると述べ、「特に健康や医薬品、医療設備に対して科されている制裁は、世界では法的正当性が認められていない」と続けた。

 その一方で、一部の専門家は、問題は別所にあるとの見方を示している。彼らによれば、医薬品の原材料を確保するために割り当てられている《公定外貨》が、別の分野に流用されているのではないか、というのである。

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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
( 記事ID:28331 )